青森の名店がまさかの上京を決めた理由とは?

東京ウォーカー

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2018年7月30日、東京・小川町にオープンした「長尾中華そば 神田店」。青森に本店を構え、その名を全国にとどろかせる人気店だ。しかし以前から店主の長尾大さんは「東京には進出しない」と公言していた。それがなぜ?今回の出店に至った経緯を聞いた。

看板メニューの「こく煮干し」(850円)を差し出す店主の長尾大さん。「青森独特の煮干しラーメンをお楽しみください」


東京の煮干しラーメンブームのきっかけを作った「長尾中華そば」


「長尾中華そば」は2004年に青森市で創業した。昔から津軽地方で親しまれていた、あっさり味の煮干しラーメンを独自に改良。煮干しをガツンと効かせた“新・津軽ラーメン”を編み出し、一躍脚光を浴びた。

その噂は東京にまで伝わり、2000年代後半、「すごい煮干ラーメン 凪」(新宿本店ほか)や「田中そば店」(足立区六町ほか)などの登場によって、東京ラーメン界で巻き起こった空前の煮干しラーメンブームに多大な影響を与えたといわれている。

そんな「長尾中華そば」が東京に出店するのは、実は今回が2度目。1度目は2013年11月から翌年5月まで、ラーメン評論家・石神秀幸さんがプロデュースする「極み麺 selection」(池袋)に期間限定で店を出していた。

「その時は半年間限定という約束で、しかも石神さんが熱心に誘ってくださったので出店しました。しかしもともと東京には興味がなく、その時は『(東京出店は)最初で最後』と決めていました」(長尾さん)

しかし、それから約4年。「東京でも『長尾中華そば』を食べたい」というファンからの根強いラブコールに加え、ある想いが長尾さんの心をついに突き動かした。

「昨今、東京には濃厚煮干しの店が増えていますが、これでもかと煮干しを使って濃度を追求しているところが多い。それとは異なる、旨味のバランスを重視した“青森煮干し”を知ってほしいという想いが強くなり、再出店を決めました」(長尾さん)

【写真を見る】小川町にある「長尾中華そば 神田店」。オープン初日からその味を待ちわびていたファンが殺到。現在も1日180杯近くを売り上げている


「こく煮干し」のほか、昔ながらの「あっさり」もおすすめ


看板メニューは“新・津軽ラーメン”と呼ばれる「こく煮干し」(850円)。鶏ガラ・豚骨の白湯(パイタン)に、シロクチ、ウルメ、ヒラゴの3種の煮干しを合わせている。ガツンと濃厚だが、粘度はそれほどなく、動物系のコクと煮干しの風味のバランスが絶妙だ。

スープとともに、“青森煮干し”のもう一つの特徴が太麺を使っているところ。東京ではパツパツの細麺を用いている店が主流だが、本場の“青森煮干し”はうどんのような太麺が定番。また、中華麺には必ず練り込まれている「かん水」というアルカリ塩水溶液が不使用で、小麦の香りがより楽しめる。

そして「こく煮干し」と並ぶ、もう一つの人気メニューが「あっさり」(700円)。こちらは2種の煮干しのみを煮出したあっさりスープで、“津軽煮干しラーメン”として古くから地元で愛されている味だ。

今や青森県内で7店舗を展開している「長尾中華そば」。その味を県外で食べられるのはここ東京・神田だけ!

「あっさり」(700円)。昔から青森で愛されているあっさりタイプがこちら。煮干しの苦味はなく、ほんのりとした酸味と甘味が感じられる


長尾さんは中華料理出身。「中華は得意でしたが、煮干しラーメンだけはうまく作れず、それが悔しくてどんどんハマっていき、気づいたら店を出していました(笑)」


店内はカウンターのほか、テーブルも2卓あり。壁に飾られた「魚」や「ニワトリ」などの絵は青森のねぶた師が描いた


取材・文=河合哲治郎/撮影=岩堀和彦

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