伊藤園は、伊藤園中央研究所主催
「第6回 伊藤園健康フォーラム」
を、2022年6月24日に伊藤園公式YouTubeにて開催した。「お茶で人生100年時代を豊かに生きる知恵 緑茶による健康寿命延伸への新たな視点-慢性炎症の抑制-」をテーマに、近年注目されている慢性炎症と緑茶の知られざる力について専門家を交えて議論が展開された。
近年の研究で、「慢性炎症」が多くの疾病の基盤病態となっていることがわかってきた。働き方、休み方も変わり、脂質異常症などの生活習慣病も増加していると言われている。そこで、本フォーラムでは慢性炎症にフォーカスし、慢性炎症の原因や予防に向けたお茶を取り入れた食習慣などについて、専門家を交えて議論が行われた。
パネルディスカッションで学ぶ「慢性炎症を防ぐ食習慣」
パネルディスカッションでは、最前線で研究を行っている専門家の合田敏尚氏と立花宏文氏、伊藤園中央研究所 所長の衣笠仁氏らが登壇。慢性炎症を防ぐ食習慣について議論した。
■慢性炎症は何が問題?
合田氏:
「慢性炎症の原因のひとつは食後高血糖にあり、食後の血糖値スパイクに注意が必要だ。食後高血糖になると、免疫細胞が過剰に活性化するため、それらの抑制が必要。また、生活習慣病は、肥満からくるものが多いため、肥満にならないような生活が求められている。そして、肥満だけでなく、早食いやドカ食いなども起因する。現代は、栄養過多、栄養不足の問題があるが、その両方に対して、いかに慢性炎症を防ぐかが重要」
立花氏:
「急性炎症は熱が出たり、赤く発疹が出たりとわかりやすく、治癒したことも自覚しやすい。一方で、慢性炎症は目に見えず、自覚症状もないため、時間がたってから“疾病”という形で出てくる。日ごろから慢性炎症になりにくい生活習慣を身につけることが重要。さまざまな疾病の根底にあるものは『炎症』であるため、『慢性炎症』を抑えることが、疾病になることを防ぐと考えている。カテキンなどを摂取するということも、そのひとつの手段となる」
■慢性炎症にならないための食習慣とは?
合田氏:
「予防のポイントとしては、早食い・ドカ食い・深夜の食事などは、効率的に脂肪を蓄積してしまうため、食事のタイミング、量を気にすることが大事」
「また、食事による血糖値の急激な上昇を防ぐことも重要で、食事とともにお茶を飲むという日本の文化は非常に利にかなっている。血糖値が上がらないような食事として、お茶をゆっくり飲みながら食べる、というのは効果的であると考えている。お茶を飲むということは水分補給をしながら血糖値の上昇を防ぐことに繋がるため、非常に良いことだ。緑茶は1日に4~5杯(1リットル程度) 飲むと良いと考える」
「また、近年、肥満の子供が増えるなど、非常に若い頃から生活習慣病リスクが上がっているため、家庭でも学校でも食事や生活スタイルに配慮し、慢性炎症を予防する必要がある」
立花氏:
「カテキンの健康効果は世界中から注目されているが、実は一緒に食べるものによってカテキンの効果は変わる。緑黄色野菜に多く含まれるビタミンAの元となるβカロテン、ポリフェノールなどはカテキンの効果を上げることが我々の研究で明らかにすることができた。実際に柑橘由来のポリフェノールと緑茶を摂ると、従来言われているほどカテキンを摂取せずとも、抗肥満作用があるということが明らかになっている」
「お茶とみかんを頻繁に摂取しているある地域の方は、ほかの地域と比較してがんの発症率が低いという論文もある。また、ガレート型カテキンには、脂肪の吸収抑制効果があるということがわかっている」
衣笠氏:
「肥満の要因としては、過食が大きな要因のひとつであると考えている。健康長寿の秘訣としては、食べすぎずに食事は腹八分にしていくことが非常に良いと考えている。当社の研究では、緑茶は旨みの多い食事と非常に相性が良いことが明らかになっており、若い方にもおすすめしたい」
■実は万病のもと?! 話題の慢性炎症って?
炎症とは、体内の異物や異常な状態を取り除き、体を元の状態に戻すための防御反応で、さまざまな要因で組織が破壊されると、免疫細胞(マクロファージ)がそれを感知して炎症を誘発する物質(サイトカイン)が放出される。
症状が出て短時間で収まる「急性炎症」と、多くは無症状だが炎症が長期にわたって収まらず免疫の暴走を招く「慢性炎症」がある。慢性炎症による免疫系システムの暴走は、本来攻撃対象ではない健康な体内の組織を攻撃し、生活習慣病などの疾病や老化の加速を招くことに。内臓脂肪の蓄積は慢性炎症を生み、全身に影響する。早期に生活習慣を改め、慢性炎症を防ぐことが重要だ。
<慢性炎症を防ぐ生活習慣のまとめ>
1.早食い・ドカ食い・肥満は慢性炎症のもと。食事と一緒にお茶習慣
2.柑橘系のお茶の食べ合わせで効果的に肥満を解消
3.食事は腹八分目。食べ過ぎないことが健康の秘訣