まるで“読む水族館”!魚専門書店「SAKANA BOOKS」で魚にまつわる意外な事実を聞いてきた

東京ウォーカー(全国版)

日本人にとって、趣味としても食材としても欠かすことができない「魚」。その世界は実に奥深く、魚について調べようとインターネットで検索をかけただけではわかることが少ない。たとえば同じ魚種に対してもまるで違う意見や認識がヒットするなど、調べれば調べるほど余計わからなくなるなんてこともある。

そんななか、2022年7月に日本で初めて“魚の専門書店”がオープンした。その名も「SAKANA BOOKS」。店は東京・曙橋の住宅街にある株式会社週刊つりニュースの本社1階にあり、この書店の運営は同社によるもの。扱う書籍類は魚をはじめとする水生生物やそれらが棲む自然環境に関するものが中心で、一部魚に関する雑貨や水産加工品も扱うという。

今回は同書店に行き、さまざまな魚の文献を覗くとともに、知られざる魚トリビアについて聞いた。

東京・曙橋にオープンした魚の専門書店「SAKANA BOOKS」


「SAKANA BOOKS」&「釣り文化資料館」に行ってみた

曙橋駅から徒歩5分ほど、靖国通りから住宅街のなかに入ったところに週刊つりニュースの本社がある。モダンな自社ビルなので、すぐに見つけることができた。

そのビル1階の左手の一角に「SAKANA BOOKS」があるのだが、開店してからまだ2カ月ということもあってか、そのスペースは思いのほかこじんまりとしていた。しかしそのラインナップは実に幅広く、マニアックな図鑑、魚種ごとの研究書、釣りや海にまつわる紀行書、子供向け絵本などが陳列されている。魚は人によって有識度が大きく異なるものだが、単にマニアックだったり、あるいは逆に入門書ばかりだったりしないところに「SAKANA BOOKS」の配慮を感じて好感を持てた。これなら老若男女、誰でも楽しく魚の文献に触れることができるはずだ。

「SAKANA BOOKS」の棚。特定魚種の図鑑や研究所から、環境にまつわる報告書や紀行までさまざま

子供向けの絵本や図鑑、釣り入門書なども多数陳列している


「SAKANA BOOKS」に陳列されている本を興味深く見ていたが、ふとその隣を見ると、「釣り文化資料館」の入口が目に入った。こちらは週刊つりニュースが運営する伝統的釣具などを展示するスペースで、1989年から継続して公開しているという。日本の釣り文化の長い歴史を物語る和竿などの名工の技を目で見ることができる貴重な展示。「SAKANA BOOKS」とあわせて見学するのがおすすめだ。

「SAKANA BOOKS」のすぐ隣にある「釣り文化資料館」

日本の釣り文化の歴史を感じさせる和竿の名工の技を見ることができる

1965年創刊の「週刊つりニュース」のバックナンバーも閲覧できる


なぜ出店した?リアル書店ならではのメリットを意識

魚・釣りにまつわるファンにはたまらないスペースだが、よく考えてみると日本人にとって馴染み深い分野であるにもかかわらず、こういった専門的な書店やスペースが今まであまりなかったことを不思議に思う。今回「SAKANA BOOKS」開店に踏み切った経緯を、週刊つりニュース代表取締役の船津紘秋さんに聞いた。

「確かに魚は日本人に馴染み深いものですが、魚だけに特化させるというのはあまりにニッチなのか、一部のオンライン書店さん以外ではあまり見かけませんでした。デジタル全盛の時代ではありますが、だからこそ1つのリアルな場所に集約させて陳列させる意義があると思い、出店に至りました。個人的にも、たとえばAmazonであらかじめ欲しかった特定の本を買うことはありますが、それ以外の本に出合うことは少ないです。その点リアル書店であれば、特定の本を買いに行ったとしても特に買うつもりもなくふらっと訪れたとしても、意外な本に出合うことがあります。リアル書店だからこそできることはあるはずだと思い、出店することにしました」

現状、本のラインナップは船津さんともう1名のスタッフで懸命に探し、厳選して陳列しているという。

「魚にまつわる本をなんでもかんでも仕入れて陳列するのではなく、『SAKANA BOOKS』にお越しいただく方に気づきを与えられるような内容・テーマのものを意識的に探して陳列しています。まだ試行錯誤をしているところですので、今後はまた変わってくるかもしれませんが、今のところはそういった判断で選書しています」

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