まるで“読む水族館”!魚専門書店「SAKANA BOOKS」で魚にまつわる意外な事実を聞いてきた

東京ウォーカー(全国版)

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空気を読んで性転換!?魚にまつわる3つのトリビア

開店から2カ月が経った今の客層は、魚に対する知識の度合いはさておき20〜30代の男女が中心だという。また、必ずしも魚や釣りのファンというわけではなく、水族館が好きな人や魚をモチーフにした創作活動をしている人など、「魚」という共通項はありながらさまざまな人が訪れるという。

そんななか、特に「SAKANA BOOKS」で売れているのが魚にまつわる雑学系の本だという。特定魚種の図鑑や自然環境の未来を考える本も一定の支持があるようだが、意外な“魚のトリビア”に出合えるのも「SAKANA BOOKS」の楽しさだろう。

ここで3点ほど、意外な「魚のトリビア」を教えてもらった。

(1)サーモンは「白身魚」、アジは「赤身魚」。魚種ごとの身の色は分類に関係ない

「サーモンピンク」とも呼ばれる赤系の身を持つサーモン。定義上ではサケ・マス類は「白身魚」なので、サーモンも実は「白身魚」となる。実はこのサケ・マス類、餌となるオキアミなどの甲殻類に含まれる赤い色素の影響で赤みがかった色味になっているが、本来の身は白い。

また、アジ科・サバ科などの青魚は、種類や個体により身の色が大きく変わるのが特徴である一方、白い身のものが多いため「白身魚」と呼びたくなるが、実は「赤身魚」に分類される。青魚の多くは高速遊泳が可能だが、これができるのが筋肉中に酸素をためておけるタンパク質「ミオグロビン」を多く含んでいるため。ミオグロビンは色素タンパク質とも呼ばれるが、これを多く持っているものを一般に「赤身魚」と分類する。

こういったことから、魚種ごとの身の色と「白身魚」「赤身魚」といった分類は必ずしも一致せず、分類はかなりややこしいことになっている。

サーモンは「白身魚」に分類?


(2)「ヨダレ」「ハナタレ」など残念な呼ばれ方をする魚がいる

海水の水温が上がってくる時期に釣り場などで目にする機会がある小魚・ヒイラギ。銀白色のボディに黄色や黒の差し色があり、外見は美しい魚だ。

しかし釣りなどで実際に上がったばかりのヒイラギに触れると、全身を覆う強いぬめりに難儀する。また背ヒレ、腹ヒレの先端が尖っており、手に刺さると非常に痛いため嫌われがちな魚でもある。このため、東京地方では年配の釣り人を中心に「ゲドウ」と呼ばれるほか、地方によってはそのぬめりの多さから「ヨダレ」「ハナタレ」なんていう、かわいそうな呼ばれ方をする場合もある。

しかし、このかわいそうな名前に反し、煮付けや唐揚げにするとアジにも似た味わいで実に美味だとも。

扱いにくさから、ボロカスな呼ばれ方をする場合もあるヒイラギ


(3)「空気を読んで」自発的に性転換をする魚がいる

瀬戸内海を代表する魚種の1つ・コブダイは、1匹のオスと複数のメスでできた群れで暮らしている。生まれたときは全てメスだが、なんらかの事情で群れのオスがいなくなった場合は、最も大きなメスがオスへと自発的に性転換を行う。

実は魚の多くは、「女性ホルモン分泌量を変化させる」ことで成体になった後も容易に性転換でき、遺伝的・先天的に生物学上の性が決まる哺乳類などと大きく異なる。

ちなみにコブダイが性転換をする際は、「空気を読んで」行うと考えられている。「相手の性が周囲にいない・いなくなった」ことを視認した後、魚が自発的にオスやメスへと性転換を行う。

周囲に相手の性がいない・いなくなった時に「空気を読んで」自発的に性転換をする


水族館のように多くの人が楽しめるようなラインナップを

このような魚にまつわる意外な話、興味深い話を知ることができるのも、長きにわたって魚・釣りに関わってきた週刊つりニュースならでは、そして「SAKANA BOOKS」ならではと言って良いだろう。

最後に、今後の「SAKANA BOOKS」の展望を船津さんに聞いた。

「魚に興味がある方はもちろん、現時点では興味がない方でも、お越しいただければ間違いなくなんらかの楽しさを発見していただけると思います。本の背表紙、タイトルだけを見るだけでも『へぇ〜』と思うことがあると思いますし、ぜひふらっと立ち寄っていただければうれしいです。先日ご来店くださった方がSNSで『まるで“読む水族館“だ』と投稿してくださいまして、大変ありがたい表現をいただいたと思いました。水族館のように多くの方に楽しんでいただけるよう、これからも楽しい本をラインナップしていきたいと思っています」

「SAKANA BOOKS」の看板


取材・文=松田義人(deco)

※新型コロナウイルス(COVID-19)感染症拡大防止にご配慮のうえおでかけください。マスク着用、3密(密閉、密集、密接)回避、ソーシャルディスタンスの確保、咳エチケットの遵守を心がけましょう。

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