泳ぐ魚を肴に日本酒を楽しむ。仙台うみの杜水族館が大人向けイベントに力を入れる理由とは

東京ウォーカー(全国版)

おいしいお酒にはおいしい肴を合わせたいもの。そんな“大人な欲望”を満たしてくれるイベントが、2023年5月20日(土)に宮城県仙台市宮城野(みやぎの)区にある「仙台うみの杜水族館」で開催される。「魚を肴に 日本酒ナイト水族館」と銘打たれたイベントで、通常営業終了後の18時30分からスタート。館内では宮城県にある8つの酒蔵が各自自慢の銘酒を振る舞い、来場者は水族館内を自由に見学しながら日本酒を楽しむことができる。

5月20日(土)に開催する「魚を肴に 日本酒ナイト水族館」。今回で10回目を迎える、仙台うみの杜水族館の人気イベントだ【画像提供=仙台うみの杜水族館】

東日本大震災の復興支援を目的に開催された。コロナ禍でも、苦境に立たされた酒蔵を応援すべく毎年開催【画像提供=仙台うみの杜水族館】


2017年に初めて開催されたこのイベントは、今回で10回目。仙台うみの杜水族館を代表する人気イベントだ。ほかにも「おひとりさまナイト水族館」「深海ナイト水族館」などユニークなイベントを次々と開催。その理由を仙台うみの杜水族館広報の板橋瑠花さんに聞いた。

東日本大震災の復興シンボルの水族館が作り上げた地域復興イベント

仙台うみの杜水族館は2015年7月に開業した、比較的新しい水族館だ。

館内に入ると、宮城の特産品である「マボヤ(ホヤ)」が出迎えてくれる。見上げる形の水槽で、海の中に入ったような没入感を演出【画像提供=仙台うみの杜水族館】

「2011年に発生した東日本大震災の“復興”を象徴する水族館として作られました。1階は『日本のうみ-東北のうみ-』と題し、東北の海の美しさを再確認できるような展示をしています。2階の『世界のうみ』は震災で世界中から支援があったことを受けて、世界との絆をテーマにしています。各地域の個性的な生き物を通じて、世界との絆を体感できるような展示です」

水族館が“東日本大震災からの復興”のシンボルとして誕生したことと、「日本酒ナイト水族館」のイベントが開催されたことは深く結びついているという。

「大の日本酒好きであった当時の館長の発案で、日本酒を使ったイベントを企画することに。東日本大震災の津波で大きな打撃を受けた地域では、酒蔵も大変な被害を受けていたので、復興を象徴する水族館として地域の酒蔵を応援していきたいという思いで立ち上がったイベントです。塩竈市にある相原酒店と協力をして、塩竈市や気仙沼市、石巻市などの沿岸部の酒蔵が集まってくれました。2017年10月の第1回から非常に盛り上がり、約700名の集客があったことから、その後も当館を代表するイベントにしていこうと継続的に開催されています」

反響が大きかった理由を板橋さんは次のように話してくれた。

オリジナルグラスで乾杯!通常前売り券は入館券、オリジナルグラス、試飲券2枚がセットになっている【画像提供=仙台うみの杜水族館】

「日本酒ナイト水族館」では、日本酒にぴったりのおつまみも用意【画像提供=仙台うみの杜水族館】

「日本酒ナイト水族館」の10回目を祝した限定メニューも登場【画像提供=仙台うみの杜水族館】

「酒蔵の方が直接お客さまに日本酒を振る舞ってくださるのが、このイベントの魅力だと考えています。各酒蔵で複数の銘柄を用意しており、酒蔵の方から直接おすすめのポイントを聞くことができます。飲食店でお酒を飲んでも、そのお酒を造っている方と直接お話することはないですし、酒蔵の方もお客さまと直接お話しする機会は多くないですから、双方の交流が生まれる場所として喜んでいただけています。水族館の基本的なお客さま構成はファミリーが多いのですが、『日本酒ナイト水族館』は20歳以上のお酒を飲める方を対象にしていますので、通常営業時とは違う客層の方に来ていただけていますね」

例年は春と秋の年に2回の開催が基本となるイベントだが、2020年、2021年はコロナ禍を迎えたなかでも中止とはせず、年に1回として開催を続けた。「酒蔵と地域を応援したい」という強い思いが開催の後押しになったという。

「もともと東日本大震災で打撃を受けた酒蔵を応援しようと始まった企画です。コロナ禍で飲食店の営業が縮小し、また酒蔵が苦しい思いをすることになりました。感染対策をしっかりとしたうえで、お客さまにも、酒蔵の方にも安心して参加していただけるように調整していきました」

館内消毒や職員のマスク着用はしつつも、5月開催の「日本酒ナイト水族館」では、コロナ禍前に近い形でイベントが開催される。アフターコロナのイベントとしてさらに盛り上がりそうだ。

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