X(旧Twitter)やInstagramをはじめ、SNSではおなじみの広告手法となった「PR漫画」。親しみやすさやおもしろさ、漫画ならではの表現で広告ながら人気を集める作品も多いが、なかでも森永製菓が2022年からXで展開する「Eルチン筋肉童話」は、内容もさることながら個人制作作品のスピンオフという形で制作されたことでも注目を集めたPR漫画だ。
漫画家の赤信号わたるさんがXで発表している「筋肉童話」シリーズのコラボ企画として生まれた「Eルチン筋肉童話」。作者の赤信号さんはコミックヴァルキリーにて商業作品『ヤンキー悪役令嬢 転生天下唯我独尊』を連載するかたわら、SNS上でのオリジナル作品でも人気を博し、またPR漫画もさまざまな案件で手がけている。そんな幅広い媒体で活躍する赤信号さんに、「Eルチン筋肉童話」制作の舞台裏や、PR漫画への考え方を聞いた。
オリジナル作品にPR漫画のオファー、「いかにおもしろさを損なわず自然な流れで描くか」
――森永製菓「in」ブランドのPR漫画「Eルチン筋肉童話」について、制作の経緯を教えてください。
【赤信号わたる】当時、僕のXアカウントでオリジナルの漫画『全てを筋肉で解決する童話』(現在は『筋肉童話』)シリーズを投稿していたのですが、ありがたいことに当時大きな反響をいただきました。そちらを読んでくださった森永製菓さんからコラボのご提案をいただいた形です。プロテイン商品とそれにまつわる知識を多くの方に印象づけたいとのご要望でしたが、想像以上に自由に描かせていただけたのでたいへん感謝しております。
――自作とのコラボでのPR漫画制作というのはこれまでにご経験はありましたか?
【赤信号わたる】PR漫画の場合、今までは先方のご要望を聞いてから漫画を制作する形式だったので、オリジナル作品とのコラボは今回が初めてでした。
――イチからPR漫画を制作する際と比べて、既存のシリーズをベースにした本企画との違いはありましたか?
【赤信号わたる】通常のPRなら宣伝したい商品や内容を起点にしてそこから物語を膨らませていくのですが、“筋肉童話”は既に世界観が確立されているため、それとどう融合させるのかを考える必要がありました。
――オリジナルのシリーズはコラボ以前から10万超の「いいね」を集めるなど、多くの反響を呼んでいました。そのシリーズでPR漫画を制作するということで意識した点を教えてください。
【赤信号わたる】既存のシリーズをベースにする以上、既に作品を好きでいてくれる読者さんがいるので、PR要素がノイズになってしまってその期待を裏切るようなことになってはいけないなと思いました。また、個人での発表と違い、広告の場合は法律との兼ね合いで表現にも多少制限がかかるのでそこは遵守しつつ、いかにおもしろさを損なわず自然な流れで描くかに頭と筋肉を振り絞りました。
――既存シリーズのスピンオフとしてPR漫画を制作したことで得られたものはありましたか?
【赤信号わたる】森永製菓さんという誰もが知る大企業が発信してくださったおかげで、本来なら自分の漫画は読まないであろう層の方々にも読んでいただけたのではないかと思うのでとてもありがたいです。
→筋肉童話シリーズをまとめて読む