FP横山光昭のお金の悩みがなくなる資産形成プラン。「収入」と「所得」の違いを知ることからはじまる、サラリーマンのための節税法

東京ウォーカー(全国版)

少しでも多く手元にお金を残そうと思えば、より多くのお金を稼ぐことのほか、出ていくお金をなるべく減らすことも大切だ。その「出ていくお金」には、もちろん「税金」も含まれる。ファイナンシャルプランナーの横山光昭さんに、企業に勤めるサラリーマンでもできる節税法を聞いた。

ファイナンシャルプランナーの横山光昭さんにインタビュー【撮影=藤巻祐介】

節税のポイントは、「いかに課税所得を抑えるか」

節税について考える前に、まずは「収入」と「所得」の違いについて知ってほしいと思います。そうすることが、節税をするための前提となるからです。収入と所得、どちらも同じようなものだと認識している人もいるかもしれませんが、実はこれらはまったく違うものです。

収入とは、いわゆる額面年収のこと。サラリーマンの人なら、1年間に勤務先の会社から受け取る収入そのもののことです。一方の所得は、その年収から「必要経費」を差し引いたものとなります。

ただし、自営業者とちがってサラリーマンの場合には必要経費がわかりにくいため、代わりに「給与所得控除」という制度が適用されます。必要経費と同じように、1年間の収入に応じた一定額を収入から差し引くことができるのです。たとえば、収入が「180万1円〜360万円」の場合なら、「収入金額×30%+8万円」が給与所得控除として差し引かれます。

そして、みなさんが勤務先の会社を通じて納めている所得税や住民税は、所得によって決まります。「収入税」ではなく「所得税」という名前があることからもそれがわかりますよね。

より細かくいうと、給与所得控除による一定額を収入から差し引いた「給与所得」から、さらに社会保険料控除などを差し引いた「課税所得」によって決まります。そして、課税所得が多いほどたくさんの税金を納めることになります。これは、「累進課税制度」という仕組みによるものです。

そのため、節税をしようと思えば、「いかに課税所得を抑えるか」ということがポイントとなるのです。たとえば同じ年収800万円の人たちでも、課税所得の違いによって納める税額にも違いが出てくるのです。

【写真】節税をしようと思えば、「いかに課税所得を抑えるか」ということがポイントと話す横山光昭さん【撮影=藤巻祐介】

サラリーマンが利用しやすい5つの「所得控除」

そこで、「所得控除」という制度を利用しましょう。そうすることで、課税所得を抑えることができます。所得控除にはたくさんの種類ありますが、そのなかで一般のサラリーマンが利用しやすいものとなると、以下の5つとなります。

【サラリーマンが利用しやすい所得控除】<br />・小規模企業共済等掛金控除(iDeCo)<br />・寄附金控除(ふるさと納税)<br />・生命保険料控除<br />・医療費控除/医療費控除の特例(セルフメディケーション税制)<br />・住宅ローン控除

ひとつ目は、「小規模企業共済等掛金控除」。いわゆる「iDeCo(個人型確定拠出年金)」がこれにあたります。将来受け取る年金を自分でつくる制度であるiDeCoは、掛け金が全額控除されるだけでなく、運用益が非課税になる、受け取るときも控除を受けられるといったメリットがあります。

ふたつ目の「寄附金控除」は、個人が国や地方公共団体、特定の法人に寄付をした場合に確定申告を行えば、寄附金額の一部を控除できる制度です。いわゆる「ふるさと納税」がこれにあたります。

ただ、ふるさと納税は厳密にいうと「節税」とはいえないかもしれません。仕組みとして、「翌年に支払う住民税を前払いする」制度だからです。でも、寄附金額に応じた返礼品をもらえるという点を考えると、やはりお得な制度であることはたしかです。

3つ目は、「生命保険料控除」。生命保険料を支払ったときには、最高12万円までを生命保険料控除として所得金額から差し引くことができます。

  1. 1
  2. 2

注目情報