「稼ぐ」より「節約」をまず選ぶ。人生における選択がお金に与える影響

東京ウォーカー(全国版)

昨今、円安や物価上昇の問題もあり、「お金」にまつわる話題が増えている。もちろん、資本主義社会に生きる以上、多くの人の関心が「お金」にあることは変わらないだろう。生きるためにお金が必要である限り、人生のなかでの「選択」や「決断」が、我々のお金の状況に与える影響も多そうだ。「転職」や「自己投資」、そして「FIRE」といった話題も踏まえながら、YouTubeチャンネル登録者数55万人(2024年7月時点)を超える節約系ユーチューバーの節約オタクふゆこさんをゲストに、株式会社圓窓代表取締役で、元日本マイクロソフト株式会社業務執行役員の澤円さんが深掘りしていく。

節約系ユーチューバーの節約オタクふゆこさん(左)と株式会社圓窓代表取締役の澤円さん(右)【撮影=石塚雅人】


※この記事はマイナビ健康経営が制作するYouTube番組「Bring.」の動画「「節約」と「自己投資」を哲学的に考える。人生の選択や決断があなたの人生を変える」(
https://www.youtube.com/watch?v=Z1CPQM7W2lU )で配信された動画の内容を抜粋し、再編集したものです。

稼ぎには税金がかかるが、節約はいくらしても非課税

澤円さんが節約オタクふゆこさんを深掘り【撮影=石塚雅人】

【澤円】ご著書『貯金はこれでつくれます 本当にお金が増える46のコツ』(アスコム)で、ふゆこさんは「稼ぐ」ことより「お金を使わない」、つまり「節約」をすすめられています。お金を貯めたり増やそうとしたりするとき、多くの人はまず収入を増やそうと考えがちですが、節約を優先したほうがいいということについて、お考えを聞かせてください。

「まず節約に目を向けたほうがお金を手元に残す効果が出やすいと思う」と節約オタクふゆこさん。理由は「節約の場合、ある程度決まった手法があって、それらを真似すれば確実に成功するからです」【撮影=石塚雅人】

【節約オタクふゆこ】これはまさに、自分自身の体験から至った考え方です。もちろん程度問題もあって、収入がゼロだったらお金を貯めるもなにもないわけです。きちんと働いている人でそれなりに収入があるのなら、まず節約に目を向けたほうがお金を手元に残す効果が出やすいと思うのです。なぜなら、節約の場合、ある程度決まった手法があって、それらを真似すれば確実に成功するからです。

【節約オタクふゆこ】一方、収入を上げる場合、昇給したり転職したりしなければならず、即効性に欠けます。私自身、会社員時代には資格を取るなどして本業の収入を上げようとしましたが、すぐには給料が上がらないという現実を目の当たりにしました。しかも、稼ぎを上げるとそれだけ税金も増えますが、なんといっても、節約は非課税なのです。

【澤円】確かに、いわれてみれば非課税というのは大きなメリットですね。とはいえ、転職というのも収入を増やすための有効な手段ですよね?ふゆこさんご自身も転職を経験されたそうですが、転職したということは、それなりの理由があったりしたのだろうと思います。今振り返ってみてどのような会社だったのでしょう。

【節約オタクふゆこ】残業時間は40時間くらいですからそれほど多いわけではなかったのですが、納期が急に縮まったにもかかわらず「仕事のクオリティーは下げるな」と指示されたり、部署間のいざこざに巻き込まれたりと、それこそ私にとっては苦行のようでした。ただもちろん、その会社が合う人もいるわけですから、単に私に合わなかったというだけのことです。

働く業界を変えるだけで年収150万円アップ!

【撮影=石塚雅人】

【澤円】転職するときには働き方や社風といったもののほかに、もちろんお金というものも意識していたわけですよね?働く場所を変えることで、お金の面にはどのような影響がありましたか。

【写真】新卒で入社したメーカーと2社目について振り返るふゆこさん【撮影=石塚雅人】

【節約オタクふゆこ】私の場合、新卒で入社したメーカーでは開発職で働いていました。2社目も同様にメーカーの開発職だったのですが、「業界」が違ったのです。転職の前後で自分の持っている能力が大きく上がったわけではありませんし、仕事内容にもそれほど変化はありませでしたが、年収は150万円くらい上がりました。

【澤円】それはすごい!その数字って、定期昇給ではあり得ないですよね。

【節約オタクふゆこ】本当にそうなんですよ。業界を変えるだけでそれだけの収入アップの可能性が見込めるというのは、転職の大きなメリットではないでしょうか。

【澤円】転職して業界を変えるだけでも収入アップする可能性があるのも確かですが、先ほど「資格を取った」というお話もあったように、スキルアップなどの自己投資をすればそれだけ収入アップに有利に働きます。

【節約オタクふゆこ】私の場合、「QC検定」という資格を取得しました。QCとは「Quality Control」の略で、QC検定は品質管理の知識やその改善能力を客観的に評価する資格です。この資格は転職の際にも武器になってくれたと思います。また、TOEIC受験のために、オンラインの英会話講座も受講していました。

【澤円】つまり、節約を意識しながらも、「絶対にお金を使わない」という姿勢ではなく、将来の収入アップにつながるような、「自分にとって必要だ」と思えることにきちんとお金を使っていく姿勢だったということですね。

【節約オタクふゆこ】まさにそのとおりです。英語でいえば、私の場合は業界としても少なからず使っていく可能性がありましたから、きちんとお金をかけて勉強しました。逆にいうと、関係のない業界の資格を取得しても大した意味はありませんから、自己投資においてどのような選択をするかということは大事なことだと考えます。

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