【試泊レポ】テレビのない森のヴィラで“何もしない”贅沢を体験!「箱根リトリート」で過ごす1泊2日

東京ウォーカー(全国版)

箱根・仙石原の豊かな森に囲まれた「箱根リトリート före & villa 1/f」(以下、箱根リトリート)。宿泊は北欧モダンのホテルと温泉付きのヴィラの2タイプから選べる。森を散策し、温泉に浸かり、薪ストーブの炎をぼんやり眺める。そんな静かな時間を過ごしていると、いつの間にかスマートフォンに手を伸ばすことも少なくなっていたことに気づく…。“何もしないこと”を楽しむ1泊2日の箱根ステイを紹介しよう。

“リトリート”とは、日常から離れ、心と体をゆっくり休める時間のこと。豊かな森に包まれた箱根リトリートでは、建物から建物へと歩くひとときも、その時間の一部になる

歴史ある日本建築と箱根の豊かな自然が溶け合う景色も、箱根リトリート滞在の魅力のひとつ


森の中のヴィラ「ゆらぎ」へ。日常から離れる箱根ステイ

箱根リトリートの大きな特徴は、広大な森の中に宿泊施設やレストランなどが点在していること。北欧モダンなホテル「före(フォーレ)」と、森に溶け込むように建つ温泉付きのヴィラ「villa 1/f(ヴィラ ワンバイエフ)」という趣の異なる2つの宿泊スタイルがあり、villa 1/fには全18棟の独立したヴィラが用意されている。

レセプションとレストランが入る建物。大きなガラス面越しに、箱根の豊かな緑を身近に感じられる


今回滞在したのは、villa 1/fの温泉スイート「ゆらぎ」。森の中を進んで客室へ向かう時間から、すでに“リトリート”は始まっている。周囲を見渡せば木々の緑が広がり、耳を澄ませば鳥の声や葉が揺れる音が聞こえてくる。ホテルの廊下を歩いて客室へ向かうのとは、また違った感覚だ。

森の中に佇む温泉スイート「ゆらぎ」。一棟独立型で、周囲を気にせずゆったりと滞在できる

太い梁や無垢材を活かしたインテリア。照明を落とした夜は、木のぬくもりがいっそう際立つ


室内にはゆったりとくつろげるリビングとベッドスペースが広がり、存在感のある一枚板のテーブルや木の梁が印象的。ホテルの一室というより、箱根の森の中に自分たちだけの別荘を持ったような感覚で過ごすことができる。

リビングから寝室スペースでひと続きになった、開放感のある空間


そして、室内を見渡していて気が付くことがある。テレビがない。普段なら何となくテレビをつけたり、空いた時間にスマートフォンを眺めたりしてしまうものだが、ここではどうやら、そんな日常とは違う時間を過ごせそうだ。

客室にはミネラルウォーターやコーヒーなどを用意。好きな場所に腰を落ち着け、気ままにひと息


温泉・薪ストーブ・テレビのない部屋。「何もしない」が心地いい

滞在して特に気に入ったのが、客室に備えられた温泉だ。大浴場へ出かける必要がないので、「入りたい」と思ったらすぐに温泉へ。時間を気にせず、滞在中に何度でも湯浴みを楽しめることの贅沢さ…。湯船を満たす温泉とともに、ヒノキの優しい香りに包まれるのも心地いい。誰にも気兼ねすることなく温泉に身を委ね、のんびり過ごせるのは客室温泉ならでは。

泉質はナトリウム-塩化物温泉。湯上がりの肌はつるつるで、体の芯から温まる


湯上がりには、リビングの薪ストーブの前へ。薪に火を入れると、ゆらゆらと揺れる炎とともに、薪のはぜる音が響く。炎を見ているだけなのに、なぜか飽きない。何かをしなければ、という気持ちまで次第に薄れていくようだ。

薪ストーブに火を入れると、炎の明かりが室内を柔らかく照らす


テレビがないことも、ここへ来るとむしろ心地いい。窓の外から聞こえてくるのは、風に揺れる木々のざわめきや鳥のさえずり。もちろんWi-Fiは利用できるので、デジタル機器が「使えない」わけではない。それでも、この環境に身を置いていると自然とスマホ画面から目を離したくなる。温泉に入り、炎を眺め、森の音を聞く。普段なら「何もしていない」と思ってしまいそうな時間が、ここでは何よりも贅沢なのだ。

百年の時を受け継ぐ料亭「俵石」で味わう、特別な夜

夕食は、villa 1/fの敷地内にある料亭「俵石」へ。その舞台となるのは、1914年に開業した温泉旅館「俵石閣」の歴史を受け継ぐ建物。長い年月を重ねてきた日本建築の趣が随所に残り、先ほどまで過ごしていたモダンなヴィラとはがらりと雰囲気が変わる。

今回夕食をいただいたのは、1960年に当時の皇太子殿下(現在の上皇陛下)が宿泊した際に利用された由緒ある部屋

館内に残る皇太子殿下御来泊時の記念写真。「俵石閣」が歩んできた歴史を今に伝えている

窓の向こうに庭を望む一室。建具や天井など、長い年月を経た建物ならではの意匠にも目を奪われる

庭の緑を望む空間にも往時の趣が残る


いただいたのは、四季折々の食材を取り入れた日本料理。一皿ずつ運ばれてくる料理は、味わいはもちろん、器や盛り付けからも季節が感じられる。魚介の持ち味を活かした刺身や、繊細な出汁の風味が広がる椀物など、料理ごとに表情が変わり、ゆっくりと味わう時間そのものが楽しい。

目にも鮮やかな前菜の盛り合わせ。海老や牛肉、旬の野菜など、多彩な味わいを少しずつ楽しめる

この日のお造りは旬魚の盛り合わせ。マグロなど、その時季ならではの魚を土佐醤油とともに味わう

ふっくらと仕立てた鱧に、叩きオクラや梅肉を添えた煮物椀。澄んだ出汁の上品な味わいが広がる

強肴は黒毛和牛フィレ肉に、トウモロコシとズッキーニを添えて。昆布醤油でいただく一品


慌ただしく食事を済ませるのではなく、料理が運ばれてくるたびに目で楽しみ、味わい、次のひと皿を待つ。百年を超える歴史を重ねてきた空間でいただく夕食は、「ゆらぎ」で静かに過ごした一日の締めくくりにもよく似合う。

「俵石閣」時代の宿泊料金表も現存。1950年当時は、1泊2食付きで1人500円から1500円だったことがわかる


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