日本のトップパラアスリートに直撃し、競技者から見る競技の魅力や、普段あまり語られることのない素顔に触れる連載「パラアスリートの過去、現在、未来」。第2回は男子パラ水泳の江島大佑選手。アテネパラリンピック銀メダリストで、北京、ロンドンと3大会連続でパラリンピックに出場した江島選手が語る競技への思いと、すでに叶った“夢”とは。
「オリンピックからパラリンピックへ」
――江島選手は幼少の頃から水泳をされていたそうですね。
「水泳をはじめたのは3歳のころで、親が健康のために家の近くにあったイトマンスイミングスクールに通わせたのがきっかけです。気づいたら泳いでいました」
――その後、脳梗塞で倒れられたとお聞きしました。水泳を続けようと思ったきっかけはあるのでしょうか。
「12歳のとき、プールサイドで脳梗塞で倒れて、リハビリなど辛く長い日々を過ごしました。その頃はこの体ではもう水泳はできないだろうと、続けることを半ば諦めかけていました。そんな時、テレビでシドニーパラリンピックを観て、自分と同じ障がいを持つ方がオリンピックと同じ舞台で活躍する姿に自分を重ね合わせました。それまではオリンピックを目指していましたが、もう一度水泳で、今度はパラリンピックを目指せるのではないかと思いました」
――そうして再び水泳の舞台に戻ってきた江島さんですが、競技者として健常者の水泳とパラ水泳に違いは感じましたか?
「基本的には変わらないと思います。僕は高校、大学と健常者と同じスイミングクラブに所属して健常者と同じ大会にも出場していました。国内でもそうですが、オーストラリアやイギリスで開かれる大規模な大会では1組目に健常者が泳いだら2組目に障がい者が泳ぐというように、1つの大会として運営されるものもあります。障がい者だからといってできないということは、他のパラスポーツに比べても少ないと思います」
――パラスポーツならではの魅力はどんなところにあるのでしょうか。
「まず、他のパラスポーツと違って、色々な障がいの選手がひとつの競技として行うのが特徴だと思います。どういった障がいであっても、基本的には水着とゴーグルさえあれば参加できるのは水泳の大きな魅力だと思います。水泳には浮力があり、障がいがあっても入りやすいスポーツなんです。
『障がい者スポーツは、まず水泳から』と言われることもあるぐらい、水泳ははじめやすくて認知度も高い競技ですね。大会などでも、陸上競技と並んで多くメダルを獲得していますし、僕の感覚ですが、ありがたいことに人気の高いスポーツだと感じています」