花火大会のフィナーレを飾ることも多い人気のプログラム「スターマイン」。プログラムに記載されているため、作品名のように見えてしまいがちだが、実はスターマインは花火の名前ではないということをご存知だろうか?スターマインは、いわゆる「打ち上げ方法」の名前で、「速射連発」の打ち上げ方法を指す名称である。「スターマイン」というネーミング自体はすっかり定着しているものの、意外と知らないスターマインについての豆知識を紹介しよう!
まずは、スターマインの定義について。「速射連発」の呼称というものの、何発から何発のの連発をスターマインと呼ぶのだろうか?答えは、数十発のものから数百発におよぶ大規模な連発までスターマインと呼ぶらしく、その幅は広い。和製英語ではないかと思われるが、ネーミングの経緯については、はっきりしていない。ただし、海外の花火用語にスターマインという表現は見当たらない。
近年の花火大会ではオープニングやフィナーレなどの要所で使われ、抜群の存在感を放っている。スターマイン見たさに大会へと足を運ぶ人もいるのではないだろうか。そんなド派手な存在のスターマインだが、かつての花火大会では仕掛け花火の合い間に打ち上がる「裏打ち」として脇役扱いだったというから驚きだ。今では誰もが認める主役級の存在となり、1959年(昭和34年)には茨城県の土浦全国花火競技大会で「速射連発の部」(後に「スターマインの部」に改称)として独立し、競技部門の一つにまで昇格した。以降、煙火業者たちのいっそうの研鑽によりスターマインのクオリティは飛躍的に向上していった。
テクノロジーとの融合でスターマインの隆盛はゆるぎないものに
その躍進を牽引したのは、点火方法の移行だろう。人の手で打ち上げる「手打ち」から電気点火に変わったことで、従来の導火線使用では成し得なかった発射時間の精密なコントロールが可能になった。
電気を流すタイミングをコンピューターによって完全制御することで、設定通りに複数の花火を開花させる。つまり、より複雑な組み合わせの構成が実現可能になったのだ。現在は遠隔操作による電気点火が主流となり、花火師の安全面も格段に改善されたという。
コンピューターに制御された高精度な点火は花火と音楽とのコラボレーションにも一役買っている。従来の音楽BGM入り打ち上げとは一線を画す、音楽とのシンクロ率が非常に高い「ミュージックスターマイン」は、芸術性およびエンターテインメント性の高さもピカイチ。レーザー光線など花火以外の光の演出とも絡めて、完成度は高まる一方だ。
「スターマイン」が有名な花火大会
土浦全国花火競技大会【2025年11月1日(土)開催】/茨城県土浦市
土浦の花火大会は「スターマイン日本一」を決める大会とも言われ、数百発の多種多様な花火を組み合わせた、この花火大会ならではの仕様のスペシャルスターマインを見ることができる。
なにわ淀川花火大会【2025年10月18日(土)開催】/大阪府大阪市淀川区
市民ボランティアによる手づくりの花火大会としてスタート。今や大阪の夏の風物詩として、最大級の規模と人気を誇る花火大会となった。大玉の花火によって視界全体を覆う圧倒的な迫力の花火を楽しめる。
神明の花火大会【2025年8月7日(木)開催】/山梨県西八代郡市川三郷町
例年、花火の日である8月7日に開催。規模は山梨県内最大級で、ストーリー性のあるプログラム構成が特徴だ。音楽と花火のハーモニーで見る者に感動を与えてくれる。夜空に色鮮やかな花が次々と咲き、まるで花火に包まれているような感覚が味わえる。
全国花火名人選抜競技大会 ふくろい遠州の花火【2025年7月26日(土)開催】/静岡県袋井市
“花火の町ふくろい”で行われる、全国屈指の規模と芸術性を誇る花火大会。全国から選抜された一流の花火師たちが技術と芸術性を競い合う「全国花火名人選抜競技大会」として、8号玉による課題玉・自由玉、音楽に合わせたミュージックスターマインなど多彩な花火が夜空を彩る。
いたばし花火大会【2025年8月2日(土)】/東京都板橋区
荒川をはさんで両岸の東京都板橋区と埼玉県戸田市で、2つの花火大会を同時開催。東京都内屈指の規模を誇り、両岸で約1万5000発の花火が打ち上げられる。恒例となっている日本最高峰の花火師が手掛けた「芸術玉」や東京最大級の大玉「尺五寸玉」、フィナーレを飾るワイドスターマイン「天空のナイアガラ」など、見どころが満載。
この夏の花火大会でも華々しいスターマインを目に焼き付けて、素敵な思い出の一ページにしよう。
文=ウォーカープラス編集部