自家製麺はおいしい。なんとなく、そんなふうに考えないだろうか。豊富なノウハウを持つ製麺所にまかせても、おいしい麺はでき上がる。にもかかわらず、高価な製麺機を導入し技術を身に付け、仕込みの時間を確保して自ら麺を作る。ただひとえに「納得のいく麺を作りたい」から。自家製麺を掲げる店には強い覚悟があり、客はその思いを感じて期待する。
今回は数ある店のなかから、期待を裏切らない愛知の実力店を紹介しよう。
香り高く喉越しなめらか!地元もち大麦と国産小麦の麺が繊細なスープと相性抜群
●「ガチ麺道場」(愛知県豊川市)
店を始める時は自家製麺しか考えていなかったという、店主渾身の麺が味わい深い。「ガチ麺道場」では、現在は4種類の麺を作り、麺の味を生かすスープで提供。厳選素材から取る無化調スープは上品で、優しく体に染み入る。「鶏と魚の塩そば」(850円)は、鶏から取るスープと、昆布や煮干しなどを使った和ダシのバランスが秀逸。真空低温調理のチャーシューといった具材との一体感も良い。
【こだわり麺はこうして作られる】
(1)5種類の粉を使用。「鶏と魚の塩そば」では4種類をブレンド
(2)豊橋産のもち大麦(手前)を配合。もちっとして、風味も豊かに
(3)かんすいと天日塩入りの水を、粉と合わせる。量と温度が重要
(4)製麺機でのミキシングののち、手でもしっかりと練り混ぜる
(5)第1成熟を重視。一般的な第2熟成は行わない
【店舗DATA】住所:愛知県豊川市美園3-13-2/電話:090-1623-8359/時間:11:00~14:00 ※麺・スープがなくなり次第終了/休み:火曜・水曜
小麦の味がストレートに出た麺にまろやかなスープがよく絡む
●「麺屋 さくら」(愛知県半田市)
イタリアンに携わった経験などから麺作りに抵抗がなく、10年のオープン時から自家製麺がスタンダードな「麺屋 さくら」。夫がスープ、妻が製麺を担当することで自由に意見が交わせ、クオリティの高い一杯が生み出される。「さくらラーメン」(800円)は、骨よりも旨味の濃い豚肉から取ったスープと、和風魚介スープのダブルスープが絶妙な味わい。豚肩ロースのチャーシューも美味。
【こだわり麺はこうして作られる】
(1)愛知県産の「ゆめあかり」をメインに、北海道産の「春よ恋」をブレンド
(2)粉や水は冷蔵し、室温も一定に。通年同じ条件、環境で製麺する
(3)低加水麺なので、水を加えてミキシングしたあとでも粉っぽい
(4)形成したグルテンを壊さないよう、低速で作業を進めていく
(5)圧をかけて生地を帯状に延ばしたあと、鍛える。各作業を3回ずつ行う
(6)切り刃をセットして麺を切る。粗熱と湿気を取り、冷蔵庫で保管
【店舗DATA】住所:愛知県半田市出口町1-45-16/電話:非公開/時間:11:00~15:00 ※麺・スープがなくなり次第終了/休み:火曜・水曜、不定休
東海ウォーカー編集部