山陰地方の西部・島根県。日本海側に位置し、出雲、石見、隠岐の三国から成り立つ風光明媚なこの地は、八岐大蛇(やまたのおろち)など神話の舞台でもあり、日本最古の出雲大社をはじめ数多くの古社が現存している。
また、安土桃山時代には山陰・山陽の八国を支配下に収める強大な戦国大名に成長した尼子(あまご)氏が出現するなど、歴史とロマンにあふれる地だ。
そんな学びあふれる土地でありながら学生の修学旅行先としてもあまり候補に上がらない島根。そこで今回ウォーカープラスでは、大人になったからこそその魅力がさらにわかる、島根を体験&学ぶスペシャルプラン“大人の修学旅行”を提案する。
初日は朝イチで出雲大社に向かい、ディナーはしまね和牛に舌鼓
出雲空港を出発し、車で約30分。まず向かうのは縁結びの神・福の神として名高い「出雲大社」。
旧暦10月(10月下旬から12月上旬)には全国の八百万(やおよろず)の神々が出雲の国に集まるといわれている。そのため、神々が土地を留守にする10月の別名は“神無月(かんなづき)”だが、出雲では“神在月(かみありづき)”と呼ばれる。
ことし7月には、出雲大社神楽殿(かぐらでん)にかけられる日本最大級の大しめ縄(全長約13.6m、重量約5.2t)が、6年ぶりに架け替え・奉納されたばかり。良縁祈願と合わせて、ぜひ目に焼き付けておきたいところ。
出雲大社に1時間ほど滞在し、移動。時計の針も12時を回るころ、「道の駅 キララ多伎(たき)」に立ち寄って昼食タイム。こちらでは、日本海の新鮮な魚介たっぷりの「海鮮丼」(1650円)など、地元で獲れた食材を使った食事が楽しめる。
そのほか、多伎町名物のいちじくを使用した「いちじくソフトクリーム」(300円)や、具材にタコ・エビ・ホタテを使う「海鮮たこ焼き」(450円)などのご当地グルメを味わえる。道の駅 キララ多伎は“日本の夕陽百選”にも選ばれており、夕方に訪れるのもおすすめだ。
そしてこの日の宿泊地、広島との県境に位置する飯南(いいなん)町の「森のホテル もりのす」へ。
チェックイン後、夕食までの間におすすめするのがガイド付きの森林セラピー体験(要予約)。2007年に山陰初の森林セラピー基地に認定されている同町。ホテルに隣接する同町セラピーロードには、小田川、きのこ園、才谷、山野草の4コースを完備している。
事前診断により一人一人に合わせたプログラムを実施するのが特徴で、森林浴が持つ癒しのパワーをより効果的に体感することができる。散策中は動植物の観察も可能で、この地方にしか自生しない珍しい植物との出会いも待っている。
疲れた心身を自然の力でリフレッシュした後は、お待ちかねのディナータイムだ。ここではしまね和牛をはじめ、同町で採れた新鮮な野菜がグリルスタイルで提供される。メインの奥出雲和牛は、目の前でブロック状のまま鉄板で豪快に表面を焼き上げカット、ガーリックで味を整えたら再び網に。じっくり火を通していくと、その柔らかい肉質から濃厚な牛肉の旨みがあふれ出す至福のごちそうだ。
同ホテルは、自然の音に耳を傾けるひと時を過ごして欲しいという思いから、各部屋にテレビを設置していない。そのため、夕食後から就寝までの時間は、キャンプファイヤーの火を囲みながらの語らいや、満天の星空鑑賞で自然を堪能するひと時を楽しんでみてはいかがだろうか。
体験盛りだくさん!島根の魅力がぎっしり詰まった2日目
翌日はホテルで朝食を済ませたら、同じ町内の「大しめなわ創作館」へ。何を隠そう、ここは前日に見学した出雲大社の神楽殿・大しめ縄が製作された場所である。
こちらでは手作りしめ縄体験(初級コース<880円/30~40分>ほか)ができる。普段なかなか体験することがないしめ縄作りは、一見難しそうに思えるが、職人によるていねいな指導があるので初心者でも安心。出雲大社に奉納された大しめ縄と同じ飯南町産の藁を使ったしめ縄を家に飾れば運気アップも間違いなしだ。
そして、時間に余裕があるのであれば隣接する「道の駅 とんばら」にある「ラムネMILK堂」に足を伸ばしてほしい。厳選素材を使用した14種類のアイスクリーム(レギュラー300円ほか)や飯南町のリンゴと生姜のシロップをお湯で割ったりんごしょうが湯(400円)など、地場産にこだわったスイーツとドリンクを味わうことができる。これらを堪能ながらしばしブレイクタイム。
飯南町を後にしたら、車を走らせること約45分。雲南市にある「ワイナリー奥出雲葡萄園」へと向かう。ここではワインが入った樽貯蔵庫見学や樽出ししたばかりのワインの試飲が楽しめる、ワイン好きならずともぜひ立ち寄りたいポイントだ。
また、気が付けばちょうどお昼どき。併設するレストランやカフェでは、ワインと相性抜群のプレートランチ(1620円)やモッツァレラチーズがたっぷり乗ったピッツァマルゲリータ(1500円)が用意されているのでランチにぴったりだ。
ランチを楽しんだ後は「八重垣神社」を目指して車を走らせる。ここは、八岐大蛇(ヤマタノオロチ)退治で有名な素盞嗚尊(スサノオノミコト)と稲田姫命(いなだひめのみこと/クシナダヒメ)の夫婦を祀る神社で、近年は縁結びのパワースポットとして人気が高い。
中でも、奥の院・鏡の池で行うことができる良縁占いは特に注目。やり方は簡単で、占い用紙を池に浮かべ、10円もしくは100円硬貨をそっと乗せるだけ。早く沈めば縁が近く、沈むのが遅ければ縁が遠いというもの。また、手前で沈むと身近な人、遠くで沈むと遠方の人といった占い方も。古代結婚発祥の地と言われる神社での縁結び、チャレンジせずにはいられないだろう。
そして最後に向かうのは、松江藩7代藩主にして茶人としても名高い松平不昧(まつだいらふまい)公ゆかりの古庵「明々庵(めいめいあん)」。不昧公があみ出したとされる茶道の一派・不昧流は、松江を中心に広がり、現在も多くの茶人に愛されている。茶室では茶道体験が可能なので、静寂な空気の中、お抹茶とともに古から続く茶室全体の雰囲気を存分に味わってみてほしい。
交通事情もあり、エリアによってはあまり修学旅行先のイメージはなくても、学びの場は多数存在している島根県。ウォーカープラスでは今後もさまざまな都道府県でスペシャルプランを提案していく予定だ。
たまには、童心に帰って“大人の修学旅行”を楽しんでみてはいかがだろうか。
安藤康之