東京ディズニーランドで35年続いた「クリスマス・ファンタジー」は「ディズニー・クリスマス」へ変化、「伝統よりもゲストの幸せ」

東京ウォーカー(全国版)

東京ディズニリゾートのクリスマスイベントの歴史について語ってくれた、オリエンタルランド・リゾートクリエイト部 石原由佳さん


今年も東京ディズニーランド、東京ディズニーシーでは、クリスマスのイベント「ディズニー・クリスマス」が実施されている。東京ディズニーリゾートにとってクリスマスは、1983年の東京ディズニーランド開園時から続く歴史があり、最も大切にしている季節のイベントといっても過言ではない。そのクリスマスイベントの呼称が2018年、開園以来続いた「クリスマス・ファンタジー」から、東京ディズニーランド・東京ディズニーシーの両方で統一した「ディズニー・クリスマス」に変更している。長年親しまれていた呼称を変更した狙いやその反響、ディズニーリゾートが考える「幸せなクリスマス」について、企画担当である、オリエンタルランドのリゾートクリエイト部 石原由佳さんに話を聞いた。

「今年もクリスマスを体感できた」多くの人が待ち焦がれる開園以来続く伝統的なイベント


【貴重写真】開園当初の『クリスマス・ファンタジー』ほか、写真で振り返るTDLのクリスマス(C)Disney


1983年に開園した東京ディズニーランド。ディズニーリゾートといえば、意外にも開園当初から開催されていたのはクリスマスのイベントだけ。2001年にオープンしたディズニーシーでも翌2002年からスタートしており、ディズニーリゾートの歴史とともに伝統を継承してきたと言っても過言ではない。まずは今年の反響について教えてもらった。

今年(2019年)、「ディズニー・クリスマス」の環境演出(C)Disney


【石原さん】「東京ディズニーランドは、昨年は35周年だったこともありシンデレラ城の裏に設置していたツリーが、今年は2年ぶりにワールドバザールの真ん中に帰ってきました。そのため『やっぱりこのツリーを見ると、クリスマスがきたと感じる』『この時期のディズニーランドにまた来ることができてうれしい』との喜びの声をいただいています。さらに、ワールドバザールでは、メインツリーの輝きとワールドバザールの壁面に映像を投影したプロジェクションマッピングでクリスマスの世界を表現しており、それに関しても「クリスマスに包まれているような没入感が楽しい」といった声をお聞きしています」

「また、ディズニーランドではミッキーフレンズのみならず、いろんなディズニー映画のキャラクターたちのクリスマスのシーンを楽しめるパレード”ディズニー・クリスマス・ストーリーズ”が上演していて、この時期だから会える(アナと雪の女王シリーズの)アナとエルサ、(美女と野獣シリーズの)ベルとビーストを楽しみに来ていただいている方もいらっしゃいます」

「一方、ディズニーシーの方では8年間続いていた夜間のショー”カラー・オブ・クリスマス”が今年ラストなので、お目当てにいらっしゃる方は多いです。また、昨年から始まった”イッツ・クリスマスタイム”という名のレビュー式のクリスマスのショーでは、耳なじみのあるクリスマスの曲がどんどん出てきて、キャラクターたちがどんどんステージをめぐる内容となっているので老若男女問わず「クリスマス感を味わえた」と好評いただいております」

「今年ならでは」は考えない、試行錯誤を続け積み上げた“クリスマスの価値観”


2003年 東京ディズニーランド 『ドリーム・オブ・クリスマス』(C)Disney


ただ、他の季節性イベントと比べると、クリスマスイベントは実は“今年ならでは”が少ないイベントだと石原さんは続ける。

【石原さん】「大きなツリーを見て、パーク内のイルミネーションやオーナメントを見て、『この時期が来たんだな』『来年も再来年もまた来よう』と思っていただけることに価値があると思っており、あえて大きな変化はつけないようにしています。クリスマスは、東京ディズニーリゾート全体で見ても37年続いている唯一のイベントということもあって、歴史がある分、幅広い年齢の方から熱い支持を頂いているイベントです。ゲストの皆さまが抱いている“ディズニーリゾートのクリスマス”のイメージに寄り添いながら、“新しくしたいこと”と“変えてはいけないこと”が何なのかを、見極めながら続けてきました」

“変えてはいけないもの”と“変えるもの”を見誤らないように、どのような努力を続けてきたのか問いかけると、シンプルな答えが返ってきた。

【石原さん】「やはりゲストの声に耳を傾けることだと思います。実際にお楽しみになっている様子を目で見て、キャストを通じて聞くゲストの皆さまの声を日々蓄積して、時代に合わせて変化をつけるのではなく、アップデートしてきた感覚です」 

ハロウィンやイースターなどの他のイベントと比べると、変化をつけることは少なく、 “確実に毎年続けること”を求められてきたというクリスマスイベント。しかし、時代の変化についていくために、試行錯誤を繰り返しているという点では他の季節性イベントと同じだという。

「時代が変われば、ゲストが求めることもパークの環境も変わりますから、そういう意味では毎年試行錯誤を繰り返しているなと思います。例えば、東京ディズニーシーがオープンした翌年の2002年当時は2パーク間のクリスマスらしさをどのように差別化して届けていくかとかなり悩んだと聞いています。それに、クリスマスに関しては、アトラクションに乗るよりも、ツリーを見て、デコレーションの前で写真を撮り、音楽を聴いてとイベントそのものを楽しむ方も多くいらっしゃいます。毎年、訪れる方一人ひとりのクリスマスを楽しんでいただけるにはどうしたらいいかということは試行錯誤していますね」

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