青山学院大学に在学する現役女子大生で、演技やバラエティなどマルチに活躍している中川紅葉さんによるエッセイ連載「ココロすっぴん」。かなりの読書家で、大学生・タレント・インフルエンサーなどのさまざまな顔を持つ彼女が日々感じたことを、忖度なく書き綴ります。第36回は、誕生日を目前に控えて最近考えることについて。
#36「1年、無駄にしてた?」
この時期になると、数日後に迫った誕生日に向けた抱負を色んなところで訊かれる。数日で人間は生まれ変わったりできないものだし、そう求めないでほしいと思いつつ、また当たり障りのない真面目な回答をする。去年と変わらない答えに、この1年をどれほど無駄にしたかを実感させられる。
5年後、10年後のビジョンが全く見えなかった私が、今月になってようやく気がついたことがあった。誰かに喜んでもらいたいからこの仕事をしていると口にする時、必ずどこかで嘘をついている気持ちになっていたということ。それをいつも、見て見ぬふりをしていた。だから、「あなたのことがカッコよくて好きだ」と言ってくれる人たちにの言葉を真っ直ぐ受け止められなかった。
本当は多分、自分が肯定されたいから犠牲になることを選んだり、“難しい道をとった自分”を見せるのが上手いだけなのにと。誰かのためになることが「良し」とされている世界でこんなことを言うのは憚られるけれど、そこまで私はできた人間じゃないのだろうなと最近気がついた。
それと同時に、「慣れ」が怖くなっていた。あって当たり前だとか、されて当たり前だとか。そう自分が誰かに・何かに思ってしまっているんじゃないかと想像すると恐ろしい。最近はそんなことをよく思う。