「VIRON」は創業当初から「フランス風の店ではなく、フランスのブーランジェリー・パティスリーをそのままに再現する」をコンセプトに、できる限りフランス産の素材を使い、フランスの伝統的なパンを作り続けている。
その思いは、看板商品「バゲット・レトロドール」からも見てとれる。小麦粉はレトロドール、水はコントレックスと日本の水のブレンド、塩はフランス・ゲランドのものを使っているのだ。
フランスの伝統を守るために苦労していることをブーランジェ統括グランシェフ、奈良晴之さんに尋ねると、「小麦粉は農作物なので、常に同じ状態というわけではありません。しかも、レトロドール粉は良質ですが、扱いが難しい小麦粉ともいわれています。その小麦粉を使って、いかに香り高く、味わい深いバゲットに仕上げるかがポイントなんです。その日の粉の状態や製パン環境を見極めながら、作業を進めていくことが重要なんですよね」と教えてくれた。
渋谷店のオープンから約15年、フランス小麦のバゲットやパンの需要が広がり、「VIRON」で扱う商品の種類や生産数も増え続けている。そのような状況下で、“変わらない品質の安定に努めること”が店のポリシーだ。
「今も、これからも、不変的で価値の高いパン作りに取り組んでいきます。それを基盤としたうえで、新しい提案もしていきます」と奈良さんは話す。「VIRON」は渋谷店のほか、丸の内店もある。フランスの歴史ある食文化を、気軽に楽しんでみては。
東京ウォーカー編集部