いま、カレーファンの間で話題沸騰なのが、銀座のレストラン「Bangera's Kitchen」(バンゲラズ キッチン)だ。マンガロールというインド南西にある港町の郷土料理を提供している。現地は海に面しているだけあり、魚介類が豊富。日本でインド料理というとシーフードのイメージは薄いかもしれないが、同店は別物である。そこで代表的な料理を中心に、“魚(ギョ)ッ”と驚くことうけあいの美食を紹介したい。
本場出身のシェフが家庭料理から高級メニューまで提供
マンガロール料理といっても、多くの読者には未知なるものばかりだろう。そこで初来店時にオススメなのが「こだわりフィッシュターリ」(2899円)。日替わりのシーフードカレーと、魚のフライが中心となるセットだ。さらに野菜や豆などを煮込んだ「サンバル」、スープ的な「サール」、サラダ、エビとココナッツのふりかけ、そしてインド風せんべいの「パパド」と「ブラウンライス」が一皿に盛り付けられる。
実力の高さに驚かされるのは、魚以外にエビ、カニ、イカといったシーフードも豊富で、旬の日替わり海鮮による逸品もあること。ご褒美ディナーを満喫したい時は「ロブスターのバターペッパーガーリック」(2257円)がオススメだ。また、日本でも人気がじわじわ高まっているビリヤニも種類豊富にそろっている。
カレーもビリヤニも、魚のほかに肉や野菜を具材にしたものも提供しているが、やはりまずは魚でオーダーするのがベターだ。またビリヤニは「ライタ」という、生野菜とスパイス入りのヨーグルトを混ぜながら食べるのが本場流だ。
銀座に出店したのは美食の街だからという理由だけではなかった
料理を作るのは本場出身のシェフ達で、彼らを束ねるのがシェフのプラヴィン・コティアンさん。聞けば彼の父親がマンガロールの有名な料理人だそうで、コティアンシェフ自身も少年時代から手ほどきを受けてきたという。
オーナーは、マンガロール出身のプラシャント・バンゲラさん。郷土食のおいしさを日本人に知ってほしいという思いから、念願叶って同店をオープンさせた。こだわったのはスパイスはもちろんだが、とにかくおいしくて鮮度のいい魚介類。そのため、出店地は築地に近いエリアにしたかったという。
取材・文=中山秀明/撮影=三佐和隆士