大名の路地を抜け、雑居ビルの5階に上がる。着いた先は喧騒を忘れ静かな喫茶が楽しめる「珈琲花坂」だ。ブレンドが「ワルツ」や「NO.2ソナタ」と名付けられているのがしっくりと感じられる。
花坂和英さんがコーヒーに目覚めたのは東京でDJなどをしていた20代の半ば。コーヒーに何者にもとらわれない自由さを感じ、独学で焙煎をはじめ、喫茶店でも働き始めた。30歳でコーヒー屋として独立するために福岡に移住。店を一から作ることも考えたが「早くコーヒーに触りたい」と考えていたころ、縁があって「バー ペトロール ブルー」に足を運び、昼間の時間を借りて喫茶として営業するいまのスタイルとなった。
もともと深煎りの豆を焼いていたが、ある日ネルフィルターをもらい淹れたところ、苦すぎずすっと喉を通るあと口のよさに魅了され、それからはネル一筋となった。
また、コーヒーのお供・チョコレートをしっかり感じられるガトーショコラにもエピソードがある。「東京時代に好きだったケーキ店のガトーショコラを自分のコーヒーと楽しんでもらいたいと」とダメ元でレシピを聞いたところ快諾。しかも福岡まで来て直接レッスンをしてくれたという。花坂さんには、そんな縁を呼び込むような、にじみでる人柄があるのだろう一杯のおいしさ以上の何かがもらえる。それがうれしくてまた珈琲花坂を目指す。
[珈琲花坂(はなさか)]福岡県福岡市中央区大名1-10-21 5F / 092-714-6786 / 10:00〜18:00(LO17:30) / 不定休 / 16席 / 喫煙可 / コーヒー1杯550円~
九州ウォーカー編集部