六本松の交差点から桜坂方面へ向かう城南線の入口付近。何十年も前から掲げられたグリーンの看板が目印だ。創業は1974(昭和49)年。店主の井手一博(いでかずひろ)さんが、世界中から選りすぐった豆を自家焙煎で提供する喫茶としてオープンさせた。
創業以来、大切にしているのは、豆の純粋なおいしさだけをカップに落とし込むこと。そのために、生豆の状態で2回、焙煎後も2回にわたりハンドピックで欠点豆を取り除き、1粒の雑味も混じらない、最後の1滴までおいしい一杯を目指している。
「いいコーヒーとは、1口目に香ばしく、2口目に強い甘味を感じ、3口目にまろやかな味わいと爽やかなあと味が残るものです。三和で飲んでコーヒーの概念が変わったという方もたくさんいらっしゃいます」と井手さんは自信をもって語る。
生涯をコーヒーに捧げる井手さんらしいエピソードも。ある時、皇室で提供されているコーヒーの種類を耳にし、「もっとおいしいものを味わっていただきたい」と一念発起。そして豆、焙煎共に最高品質のコーヒーを作り上げ、皇室に数年間贈り続けた。
そのインドネシアのセレベスカロシをベースとするブレンドは、「エンペラーズ・ブレンド」と名付けられ店で飲むことができる。そんな井手さん自らが教える「コーヒー教室」(2000円・コーヒー2杯付き・要予約)も開催。コーヒーの深淵な世界をのぞいてみるのもいいだろう。
[三和珈琲館]福岡県福岡市中央区六本松4-1-14 / 092-711-8735 / 10:00~21:30 / 年末年始休み / 26席 / 禁煙 / コーヒー1杯630円~
九州ウォーカー編集部