片寄涼太「王子様役でも全力」＆川栄李奈「もっと映画に出たい」役者として感じた互いの″すごみ”とは

もし、死んだはずの恋人と再会できたら…？　そんなファンタジーとロマンスが絡み合ったアニメーション映画『きみと、波にのれたら』が全国で公開中だ。本作でW主演を務めた片寄涼太(GENERATIONS from EXILE TRIBE)と川栄李奈はドラマ『3年A組 -今から皆さんは、人質です-』(日本テレビ系)で共演を果たした仲でもある。まさに“波に乗っている”2人へのインタビューでは、映画のアフレコ秘話のほか、同じ現場で苦楽を共にしてきた仲間だからこそ知る互いの魅力にも言及。片寄は「王子様役でも全力で」、川栄は「もっともっと映画に出たい」と仕事に対する姿勢やさまざまな想いが見えてきた。

片寄は「真面目で協調性がすごい」、川栄は「スイッチを押したようにその役を生きる女優」。互いの第一印象を語る

――本日(※インタビューは6月21日に実施)は映画の公開日です。今の率直な気持ちをお聞かせください。

【片寄涼太】「すごく嬉しいです。本作はアニメーション映画ということもあり、これまでに自分が出させていただいた作品とはまた違ったワクワク感がありますし、謙遜することなく『素晴らしい映画です』と胸を張って言えるのがありがたいです(笑)」

【川栄李奈】「アニメーション映画なので、幅広い年代の方に観てもらえることを期待しています。本作はファンタジーでありながらも涙がこぼれるような切ない描写もあって、一口に恋愛や青春というジャンルで括れない、いろいろな捉え方ができる映画。そんな作品を届けられることが嬉しいです」

――片寄さんと川栄さんは今年に入り、話題を呼んだドラマ『3年A組 -今から皆さんは、人質です-』でも共演されていますね。同じ現場を生き抜いた“戦友”として、お互いの“すごみ”をどこに感じていますか？

【片寄涼太】「今回、僕が声優に初挑戦だったこともあり、先に川栄さんのアフレコの様子を見学させていただいたんです。そのときに感じた川栄さんの印象が、『まるでスイッチを押したように、ピシッとその役を生きる方だな』と。実はこのアフレコ時が川栄さんとの初対面で、『3年A組』の撮影はその後なんです。後に『3年A組』の撮影を振り返っても、とても真摯に役と向き合っていた。仕事のオン、オフのメリハリをつけて取り組めるのが、川栄さんの素晴らしい魅力と才能だと感じています」

【川栄李奈】「片寄さんは真面目だし、協調性がすごいんです。本作でも劇中で一緒に歌うことを提案してくれましたし、『3年A組』のときは一歩引いて周りを見て、みんなをまとめていました。絶妙なリーダー感があって、私はそこをすごく尊敬しています」

「仕事はしっかりやります」(川栄李奈)

――片寄さんのその協調性はGENERATIONSの活動で培われたのでしょうか。

【片寄涼太】「それはあるかもしれないですね。グループに属していると、それぞれのバランスが大事になってくるので、自分の役割を見極めてその上でどう行動するかを瞬時に考えている癖はあるのかもしれません」

――川栄さんは本作が声優として4本目の出演ですね。

【川栄李奈】「でもまだ声優としての感覚が掴めていないので、声を出すタイミングやキャラクターの微妙な口を動かし方など、そういう細かいポイントはその都度、台本に書き込んで研究しました。私は1度に2つ以上のことができないタイプなので、せめて前日までに準備はしておこうと思って(笑)。自分で言うのもおこがましいですが、“仕事”はしっかりやります」

「“波に乗っている”と感じたことはないです」（川栄李奈）

――おふたりとも着実にお茶の間にも認知されて、多くの映画、ドラマ、CMに出演を果たし、まさに今“波に乗っている”状態ですが、ご自身でそう感じる瞬間はあるのでしょうか…？

【片寄涼太】「僕は川栄さんの活躍がうらやましいです。川栄さんをCMで見ない日はないですし、テレビをつけると『またか！』と思っちゃうくらい、1日に3～4回はCMで見かけますからね。本当にすごい。自分は…今はいろんなことに挑戦して、年齢的にもたくさん吸収するべき時期だと思っています。今の状態を継続していくのが、次の“波”に乗るために大切になってくるのかなと。仕事を増やしたい気持ちもなくはないですが、それより今はいただいているご縁を大事にしたい。それで僕もいつか川栄さんのようにCMに辿り着けたらいいな～と(笑)」

【川栄李奈】「(笑)。自分では“波に乗っている”とは感じてないですね。でも、今回の声優しかり、お芝居っていろいろな表現の仕方がありますよね。私はやっぱりお芝居が大好きなので、こうして映画などでお仕事をいただけているのがすごくありがたいです。小さい頃はテレビっ子でドラマに出るのに憧れがあったのですが、テレビの撮影だと期間も短いので、スケジュールに追われることが多くて。映画はわりと時間も許されていますし、お芝居も追求できる。これからはもっともっと映画に出演できたらなと思います」

「王子様役でも求められる限り、そこに全力で応えていきたい」(片寄涼太)

――片寄さんはアーティスト業と俳優業、2足の草鞋を履いて活躍されていますが、仕事をしていく上でご自身で工夫されていることはありますか？

【片寄涼太】「あえて言うなら楽しむことですかね。僕はアーティスト業はこのくらい、俳優業はこのくらい、みたいにバランスはあまり考えていないんです。そもそもそういう考え方って全部、理想論で、すごく難しいじゃないですか？　だから、すべてのことに全力投球していく気持ちでいつも取り組んでいます」

――LDHさんにはAKIRAさんや岩田剛典さんなど、アーティスト業と俳優業を両立されている方がたくさんいますが、その中でも今年はとくに片寄さんの活躍が目覚ましい印象です。

【片寄涼太】「そんなイメージがあるんですか(笑)。でも、LDHではそれぞれのキャラクターによって求められている個性やスキルが違うので、僕はこれからも“自分らしさ”を追求していけたらなと思います。僕自身が思い描くヴィジョンもあるんですけど、振り返ってみると思ったようにいかなかったことのほうが多くて。だったら、今いただいているご縁やお仕事を大切にしながら、僕にしか発揮できない“自分らしさ”を積み重ねていくほうが、これからの人生につながっていくんじゃないのかなと考えています」

「これまでなぜか王子様系の役をいただく機会が多かったのですが、でもそこにはお仕事をくださる方の『片寄にはこうしてほしい』という意図があると思いますし、求められているんだったら、僕はその期待に応えていきたい。恥ずかしさよりも、作品を良くしたい気持ちのほうが強いです」

俳優も声優も関係ない、「ジャンルを問わず、“自分らしさ”が求められている」

――近年は俳優が声優として映画に出演するケースも増えていますね。

【川栄李奈】「純粋なアニメファンの方からすれば、『俳優や女優が声優をやって大丈夫？』と不安になるかもしれませんし、その気持ちは理解できます。だからこそ声優をやらせていただくときは、普通のお芝居以上に準備をして、作品や携わってくれた方々に失礼のないようにやらせてもらっています」

【片寄涼太】「最近は俳優さんが歌うこともあれば、自分みたいに普段グループにいる人間が俳優や声優をやらせてもらうこともある。ある意味、職業の境界線が曖昧になってきている気はします。近年はとくに表現するお仕事ってジャンルを問わず“自分らしさ”や“その人らしさ”が求められているのかな。お仕事をいただけるのは、そこに『作品を良くしたい』という誰かの意図があります。あえてそれにチャレンジすることに、意味があると思っています」

近藤加奈子