はーこのSTAGEプラスVol.68/古田新太、吠える!「新感線ファン、全員集合!」

関西ウォーカー

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演劇ライターはーこによるWEB連載「はーこのSTAGEプラス」Vol.68は、 「劇団☆新感線」のサンキュー興行第2弾『けむりの軍団』について、古田新太さんのインタビューをお届け!

劇団☆新感線のサンキュー興行第2弾『けむりの軍団』が、東京、博多を経て、いよいよ大千秋楽となる大阪へ。今回の脚本は、16年の『乱鶯』以来の参加、倉持 裕。劇団主宰・演出のいのうえひでのりから出されたお題を受け、クロサワ映画『隠し砦の三悪人』と太宰 治の名作『走れメロス』の要素を取り入れた、王道路線の時代活劇を書き下した。チャンバラあり、歌あり、笑いありの痛快人情時代活劇だ。主演は俳優活動35周年の古田新太。新感線ファンから「待ってました!」の声が掛かりそうな、3年ぶりの大阪。今作は古田と池田成志のバディものでもあり、「30年の付き合いで、もしかしたら20本ぐらい一緒にやってる」2人は呼吸もピッタリだ。

古田新太インタビュー


東京公演を終えて来阪し、見どころを語ってくれた古田だが「今回は若手を中心に、と言ってるのにもかかわらず、古田と成志が出ずっぱり。なんやこれ!」とまぁ、吠える吠える(笑)。劇団☆新感線が、東京・豊洲の通称“ぐるぐるシアター”(IHIステージアラウンド東京)で公演していた3年間「みんなに『なんで東京まで観に行かなアカンねん、大阪でやれや』と言われ続けて来ました。お待たせいたしました!(笑)」。

ま、古田新太ですからね、絶対に載せられない話や関係者各位から“もの言い”が付きそうな話は、忖度して掲載してませんので、ご了承のほど。

【あらすじ】

戦乱の世。大名・目良家が統治する、とある国。軍配士としてさまざまな主君のもとで目良家と戦ってきた浪人・真中十兵衛(古田)は、ある日、賭場で泥棒騒ぎを起こした美山輝親(池田成志)のとばっちりを受け、手下を人質にとられ輝親を探すはめに。片や目良家と同盟を組む厚見家を守るため正室に入った紗々姫(清野菜名)は、同盟を反故にされ、目良家一番の権力者・嵐蔵院(高田聖子)と侍大将・飛沢莉左衛門(早乙女太一)の目を潜り抜け、厚見家家臣・雨森源七(須賀健太)と共に大名家を飛び出す。偶然にも、ある木賃宿で出会った4人。目良家の追っ手とひと悶着起こした十兵衛と輝親だが、追っ手を追い払うことに成功し、紗々姫から厚見の城まで送り届けてほしいと頼まれて…。

【東京公演の成果】

「みんな、身体的にはボロボロになっていきましたけど、お芝居の内容的にはお客さんへのサービスがすごく上がったと思います。芝居としてちゃんと成立し、上演時間もどんどん短くなるいい傾向で。セリフの精度が上がって、アクションがどんどん早くなっていってる。いい座組ですよ」。

賭場の騒ぎの中、子分を守って戦う十兵衛(古田新太)。古田が「キツい」という1幕の乱闘シーン(C)2019『けむりの軍団』/ヴィレッヂ・劇団☆新感線[撮影:田中亜紀]


【いつもより短い上演時間】

通常の新感線の公演は上演時間が3時間半超ぐらい。ところが今回は休憩20分を入れて3時間! 「倉持くんを呼び出して、短いお芝居がどれだけ喜ばれるかと切々と説得した成果です。6時半からの芝居が終わったら、10時前にご飯を食べられますね。倉持くん特有の会話の部分をだいぶ短くして、凝縮版みたいになりました。よくなったと思いますよ。落語みたいな話で、おもしろいところばっかり抜粋したみたいな感じになったんで」。

【見せ場ばかり】

 「成志さんとオイラのバディもので、2人がずうっとベラベラしゃべってるのと、口ベタな太一がずっと戦ってる、というキャラクター設定。観た人たちが『見せ場しかないから、すごく観やすくて飽きない』って言ってました。新感線の場合、ストーリーを説明するためのセリフがいつも長いんで、必ず退屈するシーンがありますが、今回はそれが少ないです」。

賭場から金を持ち逃げした輝親(池田成志)を探す十兵衛は、居酒屋で居合わせる(C)2019『けむりの軍団』/ヴィレッヂ・劇団☆新感線[撮影:田中亜紀]


【アクションの見どころ】

 「みんなに、太一との一騎打ちばっかり褒められるんですけど、実は1幕の方がキツいんですよね。オープニングから乱闘に近い。成志さんを捕まえようとしているのと、健太と菜名が役人から逃げるのが同時進行で行われます。お客さん的には、ウワァ~って動いてるだけなんですけど、見た目以上にしんどいです(笑)」。

【清野さんと須賀さん】

「どっちもまっすぐなお芝居で、ひねくらない、余計な工夫をしない。東京公演の最後の方は2人とも気持ちがつながって来てた。余計なことをしなくても伝わることを信じてやってるから、いいですね。菜名のアクションはけっこう増えました。でも、相手が太一で、強すぎる」。

十兵衛(古田)と輝親(池田)は、紗々姫(清野)と源七(須賀)と共に城を目指す旅に出る(C)2019『けむりの軍団』/ヴィレッヂ・劇団☆新感線[撮影:田中亜紀]


【早乙女太一、人気の新キャラ】

今まで早乙女太一は、クールで腕の立つ役どころが多かった。今回は“口ベタ”なキャラが話題を呼んでいる。「今回は、ウソ! っていうぐらい、テンションの高い太一が見れると思います。あまり見たことないでしょ。東京公演の後半は口ベタのシーンで拍手が起きるようになって。東京の前半を観た人とは、かなりイメージが変わってると思いますね」。それは、なぜ? 「オイラと成志の、飲み屋での演出がかなり効いてます。稽古場では作りきれなかったことを、本番に入ってから『太一、明日はこうやってみよう』と指令を出して。東京の最終日4日前ぐらいから、最後の大ボケのシーンで、ボケ倒して拍手をもらえるようになりました(笑)」。終演後、ひそかに笑いを取る芝居の秘訣を伝授された早乙女。ご本人の感想は? 「うれしいみたいですよ。太一自身は、おもしろいことをやりたい人なので」。早乙女は新感線の参加が6回目だが、古田との共演は意外にも今回が初めてだ。「美しい立ち回りなのに、しゃべるとたどたどしい。東京の後半はかなり笑い取ってましたから、大阪では喜んでいただけると思います(笑)」。

目良家を脱走した紗々姫(清野菜名)を捕えに来た莉左衛門(早乙女太一)。厚美家家臣・源七(須賀健太)は紗々姫を救おうと…(C)2019『けむりの軍団』/ヴィレッヂ・劇団☆新感線[撮影:田中亜紀]


【見ることのできない見どころ】

「こっちの通路に出て、すぐに花道から出て来るとか、倉持のせいで猛ダッシュするところが多いんですよ。裏でアクションクラブと一緒に、ダァ~っと走ってるところが最もスピードが速い。でも、お客さんにはわからない。まったく損なんですよね~(笑)」。

【新感線ぽい舞台】

「すごく昔から観てくれてるお客さんは、今回の舞台を『新感線ぽいな』と感じると思います。急に歌ったり踊ったりするし、立ち回りの間にボケたりツッコンだり。お坊さん役の粟根(まこと)くんと右近(健一)くんの登場シーンは、完全に『天使にラブソング』で、完全にゴスペル。そこのダンスの精度もかなりクオリティが上がって来てて、バカバカしいです」。

嵐蔵院(高田聖子)ら目良家と敵対する夭願寺の住職・残照(粟根まこと)が手を組み、紗々姫を取り戻す策略を練る(C)2019『けむりの軍団』/ヴィレッヂ・劇団☆新感線[撮影:田中亜紀]


【古田と早乙女の一騎打ち】 

 “ぐるぐるシアター”は、役者の体への負担が大きく、その経験から改善が重ねられた。新感線でよく見かける八百屋舞台(床を傾斜させた舞台)も立ち回りにはキツい。「今回は階段は使わない、舞台をフラットにする。いろんなものが改善されたおかげで、最後の太一との立ち回りは、多分スピード的にはMAXじゃないですかね。今回、舞台がフラットなんで、2人とも思いっきり飛ばせるから」。

【古田からのメッセージ】

 「今年のサンキュー興行で、みなさんにありがとうという気持ちを伝えられて、よかったなと思ってます。今回はほぼほぼ、お話を運んでるのが劇団員とアクションクラブって感じ。最近、ゲストが豪華すぎて劇団員が楽ばっかりしてるんで、今回は…今回も楽はしてますけど、何役も何役もやらざるを得ない状態になってるから。それはそれで楽しいので、是非とも観に来ていただきたい。新感線と同じように年を取った人たち、全員集合!!」

1幕最後のシーン(C)2019『けむりの軍団』/ヴィレッヂ・劇団☆新感線[撮影:田中亜紀]


【今後のドラマと舞台】

 昨今は映像でも非常に活躍している古田。「いや、断ってないだけなんですよね。断らないようにしてたら、そうなってくるんです」。では今後の舞台は?「できればいつか、ネタものをやりたいな、と。35周年の『GVG』以来、5年もネタものをやってない。オイラは、そのネタものに命を賭けようかな(笑)」。

●STAGE 2019年劇団☆新感線39興行・夏秋公演

いのうえ歌舞伎《亞》alternative『けむりの軍団』

チケット発売中

公演期間:10/8(火)~21(月)

会場:フェスティバルホール

作:倉持 裕

演出:いのうえひでのり

出演:古田新太、早乙女太一、清野菜名、須賀健太、高田聖子、粟根まこと、池田成志ほか

価格:S13800円、A11500円、B9500円

問合せ:キョードーインフォメーション(0570-200-888) 

HP:www.vi-shinkansen.co.jp/kemurinogundan/

●プロフィール

ふるたあらた/1965年12/3、兵庫県出身。劇団☆新感線の看板役者。大阪芸術大学在学中の1984年より劇団に参加、今年で芸能生活35周年を迎える。舞台の存在感と迫力ある演技には定評があり、劇団公演以外の舞台にも積極的に参加。自身で企画・出演を務める演劇ユニット“ねずみの三銃士”なども。今夏に主演ドラマ「俺のスカート、どこ行った?」を終え、バラエティ番組やCM、映画と活躍は幅広い。現在、「関ジャム~完全燃SHOW~」(テレビ朝日系列)、ドラマ24「Iターン」(テレビ東京系列)に出演中。

取材・文=演劇ライター・はーこ

森田周子

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