涙から始まったストーリー Go!Go!シーホースvol.25

東海ウォーカー

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プライドをかけて、再び三河は頂を目指して挑む


1ゴールの差。それが残酷すぎるコントラストを生んだ。イエローに染まったブレックスアリーナ宇都宮は爆発的な歓喜に包まれ、ブルーの敗者ははばからず涙を流した。

昨年のB1チャンピオンシップのセミファイナル。シーホース三河と栃木ブレックスの一戦は、B.LEAGUE元年を象徴するようなドラマチックなゲームだった。

1勝1敗となり、最終GAME3まで勝負の行方はもつれた。あの日、残り28秒で三河は12対10と2点リードしていた。ボールは三河で、24秒オーバータイムになっても逃げ切りが計算できるスコア。しかし、タイムアウトから再開直後にパスを攫われて同点に。プレーに関与した比江島慎は「自分の判断ミス」と悔いた。勝負事の流れは本当に恐ろしい。三河にもオフェンスのチャンスが残されていたがシュートはリングに嫌われ、反対に栃木が残り2秒で劇的なゴールを決めた。そうして三河のBリーグ1年目は幕を閉じた。勢いにのった栃木は、ファイナルで川崎ブレイブサンダースを下し、初代王者に輝く。歴史に残るリーグ元年、おそらく日本で最も有名なバスケットボール選手、田臥勇太がトロフィーを掲げるのは、奇しくも決められたストーリーだったのかもしれない。

あれから1年が経とうとしている。巡り合わせは不思議なもので、逞しく成長した両者は再びチャンピオンシップで顔を合わせることになった。

勝負に流れは確実にある。昨年のセミファイナル、体力的に苦しい時間帯で流れを引き寄せたのは、選手個人のミスでもなく組織的なディフェンスでもなく、栃木のブースターの大声援に他ならないと思っている。幸運のイエローに染まった会場が勝利を呼び込んだのだ。

今シーズン、同じような逆転劇を目にした。三河が中地区優勝を決めた、3月28日の名古屋ダイヤモンドドルフィンズ戦だ。残り8分で17点のビハインド。絶望的な状況になっても、ブースターは勝利を信じて大声援を送り続けた。

(ホームアリーナで優勝を!!)

シーズンで一番と断言できる熱気と声量が流れを引き寄せ、延長戦、そして2点差の大逆転勝利をもぎ取った。後日、鈴木貴美一ヘッドコーチも「普通に言えば負けゲーム。でも、アリーナの雰囲気が『いける』と思わせてくれた。ブースターの皆様のおかげ」と話している。

三河は「優勝」の二文字を口にしても許される、リーグでも数少ないクラブだろう。セミファイナルもファイナルも勝利して目指す場所はただ一つ。しかし、三河が戦って来た1年間は、クォーターファイナルが行われる5月12日(土)・13(日)、この2日間を待っていたかのような、数奇な運命を感じさせる。思えばシーズン開幕戦も目の前に立っていたのは栃木の面々だった。

涙から始まったストーリーは大団円を迎えようとしている。今回はホームのウィングアリーナ刈谷での2試合。地区優勝を決めたあの日、アリーナから声援を送ったブースターなら信じて疑わないはずだ。「この声があればどんなクラブにも勝利できる」と。悲哀を歓喜に変えるための激闘が今、始まる。

シックスマン

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