最後の1日に密着!東海サウナの名店「ウェルビー名駅店」が、惜しまれつつ3月末で閉店

東京ウォーカー(全国版)

「東海地方のサウナの雄」として全国にその名を馳せる「サウナ&カプセルホテル ウェルビー」。長らく「栄店」「今池店」「名駅店」(いずれも愛知県名古屋市)と、福岡県福岡市にある「福岡店」の計4店舗体制で営業し、数多のサウナーたちを“ととのい”の境地へと誘ってきた。

誰もいなくなったメインの遠赤外線サウナ。最終日はアウフグースも行われ盛り上がっただけに、寂しさが募るphoto by Kanji Furukawa / (C)KADOKAWA

そんなウェルビーがサウナ界をざわつかせたのは、2022年も暮れようとしていた12月28日のこと。名駅店閉業の一報である。レジャー系複合ビル「名鉄レジャック」が老朽化などの理由で2023年3月31日に閉館することは既定路線であり、入居する名駅店が閉業することもまた既定のこと。別れが近いことを知ってはいた。知ってはいたけれど、多くのサウナーにとって心にぽっかりと穴が開くような寂しい報であった。

1972年11月に開館した名鉄レジャック。ボウリング場や飲食店などが複合する、一大レジャースポットとして親しまれたphoto by Kanji Furukawa / (C)KADOKAWA

しかし、そんな寂しさを吹き飛ばすかのように、同店では「メイエキ ウェルビーサウナ ザ・ファイナル」と題したイベントをパワフルに開催。男性専用サウナ施設ながら、2023年2月13日から19日までは同店史上最長となるレディースデイを開催するなど、最後まで駆け抜けた。

そして迎えた2023年3月31日の最終営業日。名駅店との別れを惜しむサウナファンが大集結し、お祭りのような盛り上がりに。最後の1日を追うととともに、3店舗体制となったウェルビーの新たな展開についても紹介したい。

紡いできた約半世紀の歴史に幕を下ろす

まずは「ウェルビー名駅」の歴史を紐解いていこう。名古屋駅にほど近い「名鉄レジャック」が開業した1972年には「メイテツレジャックサウナ」という名称のレジャック直営サウナ施設が既に入居していた。写真を見る限りでは、ハワイアンムードあふれるバブリーな内装だったようだ。また、同フロアには日焼けサロンや中国式整体などがあった。

名鉄レジャック直営の「メイテツレジャックサウナ」の様子photo by Kanji Furukawa / (C)KADOKAWA

1982年にはウェルビーの前身となる「岐阜大和観光」(のちに中日本ダイワ、大和観光と名称変更)がサウナ施設を受け継ぎ、「ダイワサウナレジャック4」として営業を開始。コアなウェルビーファンであれば察しがつくかもしれないが、“4”は名鉄レジャックの“4階”に位置することを示す。なにより、前身を含めれば半世紀近くの間この場所にサウナ施設が存在していたという事実には驚かされるばかりだ。

1972年ごろの案内リーフレットによると、高温サウナの室温はなんと120度。低温サウナでも100度だったというphoto by Kanji Furukawa / (C)KADOKAWA

そして、1992年には「サウナレジャック4」「ナゴヤサウナ」「ヘルスプラザ今池」「岐阜サウナプラザ」と、バラバラのネーミングだった大和観光系サウナ施設を「ウェルビー」ブランドに統一。それぞれ、「ウェルビー名駅店」「ウェルビー栄店」「ウェルビー今池店」「ウェルビー柳ヶ瀬店(現在は閉業)」に改名された。ちなみに、この年の5月には「ウェルビー東新町店(現在は閉業)」もオープンしている。

1982年にはウェルビーの前身となる「岐阜大和観光」が、名鉄レジャック直営のサウナ施設を受け継いだ。キャッチーなポスターは広告的なセンスを感じさせるphoto by Kanji Furukawa / (C)KADOKAWA

2023年3月までウェルビー名駅店支配人を務めていた松本邦仁さんは、入社1年目に東新町店の閉業に立ち会った経験があるという。「東新町店がクローズするときも惜しむ声を頂いたのですが、『淡々』という印象が強かったですね。現在のようにサウナブームではありませんでしたし、当時のサウナ施設は『時間を潰す場所』『終電を逃したら来る場所』というイメージが強かったですから」と松本さん。

閉店直後のウェルビー名駅店内部。ロッカーからすぐに浴場にアクセスできる、動線のよさを愛でる声が多かったphoto by Kanji Furukawa / (C)KADOKAWA

水風呂には一部のマニアから「名古屋のMAD MAX」と呼ばれていた小さな滝が。サウナ上がりに水を頭上から浴びるのは爽快だったphoto by Kanji Furukawa / (C)KADOKAWA

一方、サウナブーム真っただ中の現在においては、「最後と聞いて駆けつけました」とウェルビー名駅店を目掛けて訪れたファンも多く、北は北海道、南は沖縄まで、全国各地から来店したお客さんがいたそう。松本さんは「お客様の“施設愛”は現在の方が格段に強いと思います。『サウナの在り方』が時代の移り変わりに伴って、大きく変わったことを実感しました」と続けた。

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