投資ブームもあって、2008年公開の映画『おくりびと』のタイトルをもじった「億り人」という言葉を見聞きすることも増えている。億り人とは、文字どおり「億単位の資産を築いた人」を指すが、多くの一般人からすると「自分には縁がない」と感じるものだろう。ただ、長年証券会社に勤めた経験もある経済コラムニストの大江英樹さんは、普通のサラリーマンから億り人になった人を数多く見てきたと語る。その共通点とはどんなものだろうか。
億万長者たちが持つ、資産形成のための「大原則」
私が45歳のとき、ある1冊の本に出会いました。それは、1997年にアメリカで刊行された『となりの億万長者』です。そのなかに、億万長者の人たちの思考や行動を調査した結果として「成功を生む7つの法則」というものが書かれているのですが、当時証券会社で多くのお金持ちを見てきた私自身、「まさに!」と納得する内容でした。特に共感したのは、以下の4つです。
【億万長者が持つ4つの共通点】<br />①収入よりはるかに低い支出で生活する<br />②資産形成のために、時間、エネルギー、お金を効率よく配分する<br />③お金の心配をしないですむことのほうが、世間体を取り繕うよりもずっと大切なことだと考える<br />④ビジネスチャンスをつかむのが上手だ
「①収入よりはるかに低い支出で生活する」については、基本中の基本といっていいものです。収入以上にお金を使わなければお金が貯まる――。いってしまえば身もふたもないような当たり前のことですが、これが大原則なのです。
いくら高収入の人であっても、何台も高級外車を購入したり毎日のように着飾ってパーティーに出かけたりするような生活をしていたら、絶対にお金を貯められるはずがありません。ですから、アメリカでも日本でもそうなのですが、億万長者と呼ばれる人たちに多いのは、企業オーナーでも医者でもタレントでもない、一見すると地味な普通の人たちなのです。
続いて、億万長者に共通するのは、「②資産形成のために、時間、エネルギー、お金を効率よく配分する」ということ。逆にいうと、「資産形成ができない人たちは、時間、エネルギー、お金を無駄に使ってしまっている」ということを意味します。
時間もエネルギーもお金も有限のものです。それらを使うには「有限のものをいかに効率よく使うか」という点が重要であり、その使い方には人それぞれの性格が表れます。効率的にうまく使える人は時間もエネルギーもお金もそのように使えますし、逆に効率的に使えない人は時間もエネルギーもお金も無駄に使ってしまう傾向が強いのです。