森見登美彦の同名小説を原作とした、スタジオコロリドのアニメーション映画『ペンギン・ハイウェイ』。本作の主人公で、少し大人びていて探求心旺盛な小学4年生の少年“アオヤマ君”の声を演じるのが女優の北香那だ。初挑戦となった声優へのこだわりや、夏を舞台にした作品の魅力について話を聞いた。
夢だった声優挑戦。「私、声フェチなんですよ(笑)」
――アオヤマ君役が決まった時の感想を聞かせてください。
「声優のお仕事をやるのが夢だったので、夢がかなったと思って泣いてしまいました。収録ではすごく緊張していたのですが、スタッフさんたちの雰囲気がすごく優しくてドキドキしつつもリラックスして臨むことができました」
――声優をやりたいと思ったきっかけは何だったのでしょうか。
「子どものころからアニメの専門チャンネルをいつも観ていて、ふと『声が心地いいな』と思ったんです。なんでこんなにいい声が出せるんだろうと思って、色々な作品を見ているうちに私も声のお仕事をやってみたいと考えるようになりました。私、声に敏感というか、声フェチなんですよ(笑)。それと、アニメならではの気持ちのこもった声もすごくやってみたかったので、この作品でできて楽しかったです」
――声フェチとのことですが、どんな声がお好きなんですか?
「男性だったら中間の高さの優しい声が好きですね。包容力があって、喋り方もぺらぺら喋るんじゃなくゆっくりと落ち着いているような。女性の声だと、シンガーソングライターの大森靖子さんや、井上苑子ちゃんの声が大好きですね。苑子ちゃんはお友達なんですが、高いけれどちょっと癖のある声がいいなと思っています」
――女優としての芝居とアフレコとで違いは感じましたか?
「ものすごく感じました。お芝居では喋っていると自然に表情もついてきますし、台詞のタイミングも決められるんですが、アニメでは表情もタイミングも決められた状態で演技するのが大きな違いでした。それと、滑舌にはものすごく苦労しました」
――演技に関して監督やスタッフからはどんなアドバイスを受けたのでしょうか。
「石田監督からは『アオヤマ君はこういう子だからこうしてほしい』という指示みたいなものはあまりなくて、自分の中でキャラクターを完璧に作ってきてくださいという感じだったんです。なので、原作や台本を読んだ上で自分の考えたアオヤマ君を元に、収録で一緒に考えながら進んでいきました」
――北さんの中でアオヤマ君はどういう子なのでしょうか?
「アオヤマ君は大人っぽい子で、喋り方も小学6年生をイメージして喋ってくださいと言われたんですけど、私が思うアオヤマ君のかわいさはそこから垣間見える子供っぽさだと思うんです。お姉さんのことが好きなのは今でも十分伝わるけど、内心ではもっと大好きだし、甘えたいだろうなって。普段しっかりしている分、時たま見せる子供っぽさのギャップが大きい子だと思っています」