麺に秘密あり。淡麗系の名店が放つ昔ながらの中華そば

東京ウォーカー

メインブランド「鯛塩そば 灯花」(東京・曙橋ほか)をはじめ、東京と神奈川で4店舗を展開する「灯花」グループ。その最新ブランドが2018年7月10日にオープンした。曙橋にあった「吟醸煮干 灯花紅猿」をリニューアルする形で、新たなラーメンで勝負を仕かける!

「手もみ中華そば」(780円)。平打ちの手もみ麺は部位によって太さやねじれ具合が違うのが見てわかる。スープは鶏ガラベースのあっさり醤油


製麺所と共同開発したオリジナル手もみ麺が主役


その店が「手もみ中華そば 麦の花」。“手もみ”は麺、“麦”は小麦を指し、これまで以上に麺にこだわったラーメンを提供する。

主役となる麺は、有名製麺所「菅野製麺所」と共同開発。形状は極太平打ちで、加水率が42%と高め。通常35%前後が標準で、40%以上を多加水麺と呼ぶ。加水率が高いほど、麺はスープに絡みやすくなり、モッチリで柔らかな食感が特徴だ。

「以前から多加水麺を使ったラーメンを作りたく、菅野製麺所さんにお願いしていろいろなタイプの麺を試作してもらっていました。そんななか、味・食感とも理想の麺が出来たので、それを生かしたメニューを考案しました」と店主の川瀬裕也さん。

この多加水麺をさらにおいしくするのが“手もみ”。茹でる直前に、手の甲で押すように麺を丹念にもんでいる。そうすることで表面がデコボコになり、太さや厚みが異なるいろいろな食感が一度に楽しめるのだ。

【ラーメンデータ】<麺>極太/平打/縮れ+手もみ <スープ>タレ:醤油 仕上油:タマネギ・リンゴ油 種類:鶏ガラ・魚介(煮干)

【写真を見る】茹でる前に手の甲で押すようにもむことで、きしめんのような幅広の平打ちに。見た目は不ぞろいだが、それがいろいろな食感を生む


スープとよく絡む多加水麺で、プルプルとした食感がたまらない。茹で上がり前で170gと通常のラーメンより多めで食べ応えもあり


スープは野菜の甘味を生かした優しい味わい


そんな手もみ麺に合わせるスープは、あっさり鶏清湯(チンタン)。鶏ガラとモミジをベースに、宗田節や煮干し、昆布の魚介を合わせて、弱火で丁寧に煮出している。そこでポイントとなるのがタマネギやニンジン、ショウガなどの野菜。その比率を多めにすることで、野菜の甘味を出している。

また、醤油ダレも塩分濃度を抑えた、まろやかなものを採用。さらにこちらも甘味のあるタマネギとリンゴのオリジナル香味油を合わせることで、優しい味わいに仕上げている。

多加水麺の特徴を生かしつつ、どこか懐かしく、ほっとする味わいの「手もみ中華そば」。あっさり好きはもちろん、こってりの食べすぎで「胃が疲れている」という人にもおすすめだ。

鶏ガラとモミジをベースに、数種の魚介などで作る清湯スープ。野菜を多めに使い、優しい味わいに仕上げている


塩分濃度を抑えた醤油ダレ(右)は角がなく、まろやかな味わい。タマネギとリンゴの香味油(左)でさらに甘味をプラス


直前に焼いて仕上げる豚バラのチャーシューも自信作。ジューシーな脂があっさりスープに溶け出し、コクも加えてくれる


「吟醸煮干 灯花紅猿」があった店舗をリニューアルする形でオープン。鮮やかなコバルトブルーのビニール屋根が目を引く


取材・文=河合哲治郎/撮影=岩堀和彦

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