警固本店は今年で30周年。豆売りに特化した店の福岡における先駆けで、小売りに加え、飲食店や物販店への卸も多いというから地域密着で歩んできたのがわかる。
平尾店を切り盛りするのは2代目の平山謙吉さん。トレードマークのオーバーオールとキャップ姿で、生豆と焙煎機に日々向き合っている。その姿勢は初代と同じく、とにかく真摯だ。豆の素材を生かしつつ、ここにしかないオリジナリティある味わいを作ることを常に意識。
謙吉さんは「焙煎度は幅広く、素材のどの部分をどう出したいかをイメージして、それを表現するためのアプローチを試行錯誤する毎日です。豆を仕入れる時は、自分が惚れ込んだイチオシだけでなく、長年のお客様に親しんでいただいている路線も不可欠なので、当店としてのぶれない物差しを大切にしていますね」と話す。
その言葉どおり、ブレンドだけでも常時7種、シングルオリジンは15〜20種と、豆のラインナップは実に多彩。こんなに焼き分けるのは大変でしょう?との問いに「大変ですけど、いろいろ焼いてみたいんですよね」と謙吉さんは笑う。
種類豊富かつ手ごろ、そして好みに合った豆を提案してくれる対面販売。この3点を柱に据えるだけでも日常的に通いたくなる。今年から契約農家に会いに生産国を訪れるなど、2代目として新境地を切り拓く謙吉さん。ますます魅力的になっていく同店に注目したい。
[ROASTER'S COFFEE 焙煎屋 平尾店]福岡県福岡市中央区平尾3-1-6 小河ビル1F / 092-534-1061 / 10:00〜19:00 / 月曜休み / 席なし / 豆の販売のみ
九州ウォーカー編集部