“軽度”だってうつ病はつらい/『マンガでわかるうつ病のリアル』(12)

慣れないテレワークにストレスを抱えていたり、子供の面倒を見るのに疲れてしまったり。「楽しい予定もぐっと減って、なんとなく気分が落ちている……」という人や、その周りの人にぜひ読んでほしいのがこちらの作品。重度のうつ病に5年以上苦しむも「メンヘラマッスル作家」として奇跡の復活を遂げた錦山まるが、あなたの知らないうつ病のリアルを連載形式でお届けする。

登場人物たち無断転載禁止


「軽度」のうつ病は「重度」より楽、とは言い切れない!


軽度には軽度のつらさがある


うつ病をひとくくりに考えていないか? 他の病気と同様「軽度」や「重度」がある


うつ病にも重症度があるけれど…


「うつ病にも『軽度』や『重度』といった重症度があります。『軽度』と診断された患者さんが悪化し診断が『重度』に変わったり、『重度』と診断された患者さんが回復し診断が『軽度』に変わったりすることがあります」

「……こう聞くと軽度のうつ病は重度のうつ病より『楽』だったり『マシ』だったりするように思うかもしれません」

「確かに、医学的な視点で見れば症状の程度には差があるのかもしれません。もし症状の大変さを数値化できるマシーンなんかがあったら、軽度のうつ病は重度のうつ病より数値が低いのかもしれません」

身体症状が酷いと、起きてトイレに行くこともできない。


重度より軽度の方がマシなのでしょうか


「では軽度は重度より楽なのでしょうか? 例えば、軽度の患者さんを重度の患者さんと比べて『あの人よりマシでしょ』と言うのは正論なのでしょうか?」

「いいえ、そう単純な話ではありません。軽度には軽度のつらさがあります」

「筆者は当初、重度と診断され、数年かけて回復し軽度になりました。もちろん軽度になったことで重度の頃より楽になった点はあります。ですが同時に、むしろ重度の頃よりもつらくなった点もあります」

「例を挙げますと、重度の頃は自力で寝返りも打てないほど文字通り身動きひとつ取れない状態で、トイレも数時間我慢して限界が来たらトイレに這って行くような生活をしていました。ですが軽度になるとそこまでの身体面の問題はなく、たまにダルくて1日中ゴロゴロする日があるくらいに留まりました」

軽度になると、自分も周りも「もう大丈夫」と考える。だからこそ危険なんだ。


軽度だから「もう大丈夫」ではない


「これだけ聞くと『やっぱ軽度のほうがマシじゃん』と思うかもしれませんが……。ある程度動けるからこそ仕事を休む決意がしづらくなる。『もう少し動いても大丈夫なんじゃないか?』と思い家事などをやり始め、いつの間にか無理をして悪化している。周りから『もう治りかけている』と思われて、今までしてもらえた配慮をしてもらえなくなり、むしろ日常生活での負担が増す……。などという別の問題が起きました」

「いまいち想像がつかない方は、学校なり会社なりを休むときのことを考えてみてください。『39℃なので休みます』と『37℃なので休みます』とではどちらが言いやすいでしょうか? 39℃と37℃とではどちらが『悪化したら困るから今日はきっちり休もう』と決断しやすいでしょうか? どちらが周りから『本当はもう平気なんじゃないの?』と言われやすいでしょうか?」

「軽度は“ちょっと無理したらすぐ39℃になってしまう37℃が数カ月~数年続く状態”とイメージしていただくと分かりやすいかもしれません」

「けっして病気を軽く見るつもりではなく、むしろ患者を元気づけるためについ『重度の人よりマシじゃん』『前よりは楽じゃん』『もうすぐ働けるんじゃない?』と言ってしまいそうになることがあるかもしれません。ですが、軽度だから重度より楽なわけじゃない。重度の人が軽度になったら前より全てがマシというわけじゃない」

「軽度には軽度の、重度には重度のつらさがあるのです」

次回「うつ病の薬が危険ってホント?」では、精神科で処方される薬の噂と、それに対するうつ病患者の本音を紹介する。

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