うつ病治療にはとにかくお金がかかる/『マンガでわかるうつ病のリアル』(20)
慣れないテレワークにストレスを抱えていたり、子供の面倒を見るのに疲れてしまったり。「楽しい予定もぐっと減って、なんとなく気分が落ちている……」という人や、その周りの人にぜひ読んでほしいのがこちらの作品。重度のうつ病に5年以上苦しむも「メンヘラマッスル作家」として奇跡の復活を遂げた錦山まるが、あなたの知らないうつ病のリアルを連載形式でお届けする。

うつ病患者は働けないのに、高額な治療費に悩まされている

初診時、1日で約1万円を出費。お金のせいで精神的不安がますます大きくなる

「うつ病の治療にはお金がかかる!……当たり前といえば当たり前ですが、その金額は恐らく、うつ病になったことがない人の想像を上回ります」
「参考までに筆者の例を上げますと……初診では初診料が約3000円、1週間ぶんの薬代が約3300円、次に来たときに受けるカウンセリング30分の前払い3000円。つまり交通費も入れると初日に約1万円を払いました。2回目の診察からは診察料が約1500円になりましたが、毎週約8500円です。ここにさらに血液検査代などが加わることもありました」
「毎晩のように『僕の治療って1日いくらかかっているんだろう……』と考え、気が遠くなり、ただただため息だけが出ました。筆者よりも必要な薬の量が多い人や、カウンセリング代が筆者の病院より高い人、長い時間のカウンセリングを必要とする人など、さらに金額が増える人もたくさんいることでしょう」
「うつ病の人は仕事を休んで気楽に療養しているわけではなく、お金の不安が常で精神的に全く休まらないことさえあります」
精神病で苦しむ人を経済的に助けてくれる制度がたくさんある

「ですが、そんなうつ病などの精神病で苦しむ人や経済的に困っている人を、経済的に助けてくれる制度が実は色々あります」
「制度の調べ方ですが……。筆者としてはネット検索すると出てくる個人ブログではなく、厚労省のみんなのメンタルヘルスや日本年金機構のサイトをご覧になることをオススメします(個人ブログだと情報が古かったり間違っていたりする危険があります)」
「自立支援医療制度。障害年金。特別障害給付金制度。障害者控除。精神障害者保健福祉手帳。高額療養費制度。保険料納付猶予制度。保険料免除制度。傷病手当金……などなど、ありがたい制度が本当にたくさんありますので、サイトをチェックして活用できるものはぜひ活用してください(制度の名称は令和元年11月時点)」
働いていないのに国のサポートを受けるのはズルい?

「このような制度を活用し、もらったお金で遊んだり動物園に格安で入ったりする人に対して『ズルい!』『それ税金だよ!』などと言う人がいます。もしかしたら、ここまでお読みいただいた人の中にも、そう感じる人がいるかもしれません。実際に活用している人の中にも『ズルくない?』『遊んでいいのかな?』と考える人もいるでしょう」
「“働いていないのに国から助けてもらっている”という構図から、そのように考えてしまうのも分からなくはありません」
「ですが、制度は国民に平等に認められた権利です。そしてその権利を活用できるのはその資格があると国に認められたからです。『遊びに使ってはいけない』と定められているわけではありませんし、不正受給をしているわけでもありません」
「なら、どこに叩かれる理由があるのでしょうか? どこに罪悪感を覚える必要性があるのでしょうか? ……そう、実は全くありません。社会復帰のために、本人の生活が少しでも良くなるように使えばいいのです。病人の仕事は元気になることなのですから」
「しかし残念ながら、制度が必要な人ほど自分で制度を調べたり申請したりする気力がないかもしれません。もしうつ病などで経済的に困っている人がいたら、あなたの負担にならない範囲で制度活用のサポートをしていただけたら幸いです」
次回「うつ病の人の『いなくなりたい』を軽く考えるのは危険」では、うつ病患者とそうでない人における、「死にたい」という気持ちのあり方の違いについて考える。