うつ病のフラッシュバックが抑まらない/『マンガでわかるうつ病のリアル』(23)

慣れないテレワークにストレスを抱えていたり、子供の面倒を見るのに疲れてしまったり。「楽しい予定もぐっと減って、なんとなく気分が落ちている……」という人や、その周りの人にぜひ読んでほしいのがこちらの作品。重度のうつ病に5年以上苦しむも「メンヘラマッスル作家」として奇跡の復活を遂げた錦山まるが、あなたの知らないうつ病のリアルを連載形式でお届けする。

登場人物たち無断転載禁止


うつ病患者を苦しめる「フラッシュバック」の恐怖


感情を抑えられなくなって暴れてしまう…


映画やドラマで見るようなフラッシュバック・錯乱は実際にあるんだ


誰にでもある「イヤなことを思い出す」との違いは?


「うつ病になると過去のイヤな記憶やそのときの感情が突然フラッシュバックする人がいます」

「『イヤなことを思い出すなんて誰にでもあるじゃん』と思う人もいるかもしれません。確かにそうでしょう」

「ただ、くも膜下出血も二日酔いも症状を一言にすれば『頭が割れるように痛い』ですが、言葉こそ同じでも中身はまるで違うということは、経験していなくても想像がつくと思います。同様に“イヤなことを思い出す”は誰にでもありますが、誰にでもあるそれとうつ病のフラッシュバックは中身が違うのだとお考えください(誰にでもあるそれが楽だという意味ではありません)」

発作的にモノを壊したり、大切な人を傷つけてしまう!


フラッシュバックが原因で、事件となってしまうことも


「友達と遊んでいるときに起き、それまで楽しかったのに動悸が止まらなくなる。体調も気分も問題なく過ごしていたのに、うつ病の話題が出ると、うつ病がひどかったころのことを思い出してつらくなる。何かをしているときは平気だけど、寝るときなど静かな空間になると急にフラッシュバックに襲われ、怒りや屈辱がよみがえる……」

「筆者もうつ病がひどかったころは特にフラッシュバックがよく起こり、何度も錯乱しては壁を殴って穴をあけたり、ガラス窓を割ったり、恋人に暴力をふるったこともありました」

「フラッシュバックだけが原因かは不明ですが、うつ病の人が家で錯乱して暴れ、刑事事件に発展してしまった例もあるようです」

いつ起きるかわからないフラッシュバックは、患者だけでなく周りの人間も不幸にする


どうにもならなくなったら、専門機関やときには警察に相談したり逃げることも


「インフルエンザになれば高熱なんか出したくなくても高熱になるように、逆流性食道炎になれば吐き気なんてもよおしたくなくても吐き気がするように、フラッシュバックがタイミングなんて読んでくれるはずもありません。そのため、日常生活にかなりの悪影響が出ることもあるのです」

「思い出したくもないことを急に思い出し感情が爆発するのですから、うつ病の人が急に不機嫌になったり情緒不安定になることがあっても、悪気があるとは限らないことを知っていただけたらと思います」

「ただ、これはけっして『病気だから仕方ない』と何でも許せと言っているわけではありません。もし患者さんが急に情緒不安定になったり錯乱したりして、楽しい時間を台無しにされたり、モノを壊されたり暴力をふるわれたりしたら『仕方ない』と割り切れるでしょうか……? 仮に法的に何の問題もなかったとしても、理屈では『病気のせいだ』と分かっていたとしても、そう簡単に割り切るのはムリでしょう。腹が立つことも、つい文句の一つくらい言いたくなることもあるでしょう」

「病気に苦しむ患者がつらいように、患者に振り回されるあなただってつらいはずです。だからこそ、どうにもならなくなったときに『病院や相談窓口などの専門機関に頼る』『警察を呼ぶ』『身を守るために逃げる』などの選択肢を落ち着いて考えられるように、『うつ病にはこういう症状もあるんだな……』と、どうか覚えておいてください」

次回「うつ病で夏祭りにもライブに行けません」では、人ごみが苦手なうつ病患者の気持ちを、具体例を挙げながら伝えていく。

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