【漫画】ブラック企業のせいで心も体も壊れかけたところ、「退職代行」によって救われた話
東京ウォーカー(全国版)
コロナ禍により経済は低迷、雇用をめぐる環境は大きな変化を余儀なくされている。実際、厚生労働省によると新型コロナウイルスの感染拡大に関連した解雇や雇い止めの人数が増加。働く環境の悪化が顕著となっている。今回は、パワハラ・モラハラが横行する異常な職場環境で働き、心も体も壊れかけたところ、「退職代行」によって救われた経験を持つ“日常かんぱにー”さん(@TenyaWanya_tsun)の実録漫画を紹介。“退職代行という選択肢”を持つことの意義について聞いた。
「あいつは過労死してなんぼだから」と言われ、退職を決意
昨今注目されている「退職代行」は、パワハラ・モラハラが横行する異常な職場環境の下で“退職の意思表示すらできない”ときに利用するケースが多いという。日常かんぱにーさんは実録委漫画のなかで「当時、生きているのか死んでいるのかわからないくらい疲労困憊」と描いている。では具体的にどのような勤務形態だったのだろうか。
「当時の職場はギフトを中心に扱っていた会社で、“父の日”が近かったこともあり大繁忙期でした。このころの私は2カ月ほど連勤していました。その職場の社風は少し古く、上司より遅く出社すると『お前みたいな下っ端がなぜ先輩より遅くくる?』と言われ、上司より先に退社すると『先輩が頑張っているのにお前はやれないのか』と責められました。シフト制でしたので、休日に休んでいると出勤している先輩から『社会人として成長したいなら今日はくるよな?』と電話がかかってきました。私は新卒だったので、そうあることが正しいんだと思っていて、基本は朝7時に出勤して23時に退勤。イレギュラーが起きれば深夜2時に出勤し、次の日の0時ごろに退勤していました」
そんな過酷な環境ではあったが、仕事自体は楽しく思え、『頑張ろう』と日々出社していたという日常かんぱにーさん。もしかしたら「マインドコントロールのようなものをどこかで受けていたかもしれない」と話してくれた。
では、実際に辞めようと決断したきっかけは何だったのか?
「私を心配してくださった派遣の方が上司に『日常かんぱにーさん死んでしまいますよ』と言ってくださったのに対し、『あいつは過労死してなんぼだから』と言われたときです。当時、体調不良はあまり感じていませんでしたが、会社から帰宅している最中に何が悲しいのかわからない状態で涙がずっと出ていました。なぜ泣いていたかわからないのですが、毎日うちに帰って横になり声をあげて泣き続けていました。おそらく心と体が知らないうちに壊れていたんだと思います」
そして、家族に「退職代行」を使うことをすすめられることになったのだが、負けず嫌いという性格もあり、「逃げてしまってよいのか」「会社に迷惑をかけるのではないか?」と悩み、なかなか決断までには至らなかったという。日常かんぱにーさんは「父が後押ししてくれなければ、もしかしたら未だにあの会社で働いていたかもしれません」と振り返った。
まずは身近な人に相談したりすることが、“負の連鎖”から抜け出すための一歩
日常かんぱにーさんが描く漫画では、家族や彼氏の存在が支えになっているのが伝わってくる。実際、家族の助言などがなかったら?家族がもし退職に協力的じゃなかったら?当時の彼氏と同棲していなかったら?家までやってくるような上司もいる環境で、鬱になっていたり、もっといけば自殺してしまっていたのではないかと日常かんぱにーさんは述懐する。
「当時は本当に生きているのか死んでいるかわからず、自分の気持ちもどこにあるかわからない状態でした。気づかないうちに、戻ってこられなくなるほど心も体もズタズタになってしまったんじゃないでしょうか…」
だからこそ、「退職代行」というサービスを知ることの意義を強調する。
「退職に踏み込めない私の代わりに退職することを表明してもらった、それだけで心が軽くなったというか、とても怖くて自分じゃ言い出せないことを代行していただいて本当に助かりました」
この漫画をSNSで発表した後の反響は印象的だったという。
「『私もブラック会社に勤めていて、こういうサービスがあれば楽に辞められたな』というコメントだったり、『退職代行を利用したいのですが詳細を教えてください』という内容のDMが20件ほど来たりしました。ブラック会社に勤めている人が思った以上に多いことを知りました」
一般的にはまだ認知度も低く「あまりよい印象のない退職代行かもしれません」と前置きしつつ、「“こういう手段がある”ということを知っておくだけで選択肢も増えますし、“生きやすくなる”と思います」と強調する日常かんぱにーさん。
「パワハラやモラハラを受けているとわかっているのに働き続けている人は、そのことを相談できないケースが多いと思います。社内の人に相談するのはハードルも高いですし、言い出せないことの方が多いと思います。まずは身近な人に相談したりすることが、“負の連鎖”から抜け出すための一歩だと思います」
取材協力:日常かんぱにー(@TenyaWanya_tsun)
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