高校時代の友人が大学デビューで別人に。それぞれの視点を描いた漫画が反響

関西ウォーカー

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学生時代の友人に久しぶりに会った際、見た目も中身も別人のように変わっていたという経験はないだろうか。そんなちょっぴり寂しい気持ちを描いたイララモモイさん(@iroiro_kangae)の漫画が話題を集めている。残酷に思えるほどにリアルな人間関係や人間の機微を描く彼女に、漫画を投稿し始めたきっかけや作品のテーマなどについて聞いてみた。

高校時代に笑い合っていた友人が、久々に会うとまるで別人に/さらば友よ_京子1


漫画を描くきっかけは進路!?

イララモモイさんが漫画を投稿し始めたのは、2020年11月頃から。そもそも、漫画を描こうと思ったきっかけは何だったのか聞いてみた。

「夏ごろに進路が決まらず、『漫画家になろうかな』とふと思ったときに漫画を一本描き上げました。結局進路は決まり、漫画のことは忘れていたのですが、Twitterに素敵な漫画を載せている方がいて、同じ立場で交流してみたいという動機でアカウントを開設し、漫画を投稿してみました」

京子とみゆ、視点が変われば印象も変わる

すんなりと進路が決まっていたら、もしかするとイララモモイさんは漫画を描いていなかったかもしれない。意外な動機で始まった漫画の投稿だが、作品の反響は大きい。なかでも話題を集めたのが、高校時代の友人だった「京子」と「みゆ」が久々に再会する話だ。

さらば友よ_京子4

さらば友よ_京子5


先に公開されていたのは「京子」視点の漫画で、友人がすっかり変わり一人取り残されたかのような寂しさを感じるストーリー。しかし、その後公開された「みゆ」視点の漫画を読むことで、感じ方がガラリと変わる。

高校時代、京子に対して劣等感を持っていたみゆ/さらば友よ_みゆ1

いつも変顔で京子を笑わせていたみゆ。だが、変顔をしていた理由が切ない…/さらば友よ_みゆ2


「双方の視点に共感していただき、『救われた』と直接おっしゃっていただくことも多く、本当にうれしかったです。ただ、どちらかの視点に立つということはどちらかの視点を無視するということ。『京子』視点だけを先に出したため、『みゆ』と同じように辛い思いをし、努力して変わられたような方を傷つけてしまったのかも、と感じるご意見もたくさんいただきました。自身の浅はかさについて痛感させられた作品でもあります」

感じるものが多い漫画だからこそ、イララモモイさんの元にはたくさんの声が寄せられた。フォロワーからの感想から、漫画への向き合い方やSNSで公開することの難しさも感じたそう。

「たくさんの意見をもらったことで、好きに漫画を描くことで誰かを傷つけるリスクがあると知り、何なら描いても許されるのかわからず、がんじがらめになっていた時期も。最近は割り切って、自分が描いて楽しい漫画を描ければいいかなと思っていますが、また意見をいただいたら考えが変わるかもしれません。SNSという誰もが無料で閲覧できる場に漫画を載せることの難しさは、常に感じています」

リアルな登場人物が共感を呼ぶ

共感したり「こんな人いたな」と思える登場人物も、作品をよりリアルに感じるポイント。特定のモデルがいるからこそ、リアルに描写できるのだろうか。

「『このキャラはこの人!』という明確なモデルはおらず、周囲の友人やSNSで見かけた人、テレビで見た人など、様々な要素を少しずつ集めて基本の人間像を作り、そこに自分がなりきって動かしています」

意味がわかるとゾクッとする話も魅力

先に紹介した「京子」と「みゆ」の話のように胸に刺さるリアルなストーリーだけでなく、一見日常的ながら不思議な余韻の残る漫画も多数。テーマやアイデアがどのように生まれるのか、聞いてみた。

幽霊と人間の三角関係。楽しい話かと思いきや、意味がわかると背筋が凍る/美奈子に近づくな!1

美奈子に近づくな!2

美奈子に近づくな!3


「日常の中の言語化しづらいことを頭の中でなんとなく言語化することが好きなので、ぼーっと考え事をしつつ『あ、今いい感じの文章できたな』と思った時にメモをして、そのセリフやモノローグを起点にストーリーを考えていくことが多いです。なので、テーマが浮かぶのはいつも突然です。ストーリーを組み立てる時は座って画面に向かうより、いろいろな景色を見ながら動いている方が考え事がはかどる気がします。あと、人間の関係性が好きなので、幽霊の話は『こういう関係性が描きたいなあ』で描きました。三角関係が好きなんです」

たくさん反応が表現の自信に繋がった

漫画を描き始めてまだ半年ほどだが、フォロワー数はどんどん増えている。

「私はずっと自分の表現に自信がなく、誰からも需要がないと思っていたので、漫画を読み反応をくださる皆さんは、私の表現に価値を与えてくださったのだなあと、本当に感謝しています。また、どんな漫画を描けばよいかわからず悩んでいたとき、何人かのフォロワーさんから、『どんな作品でも読んでみたいです』と仰っていただいたことがあり、胸のつかえがとれたというか、解放された気持ちになりました。救いです!いつもありがとうございます」

描きたいものを好きな時に描いていきたい

今後の活動については「学業が忙しくなるため、以前のようなペースで作品を載せることは難しい」とのこと。

しかし、「漫画を描くのは本当に好きなので、少しずつでも更新できれば、と思っています。また、『リアルな人間関係』を描くよね、と言っていただくことが多いのですが、今は人間のちょっと倒錯的な部分に着目した話が描きたくて、いくつか構想を練っています。とはいえ描きたいものがコロコロ変わるので、今後も『描きたいものを好きな時に描く』でやっていければいいのかなあと思っています」と教えてくれた。

イララモモイさんが人間の倒錯的な部分をどのように描くのか、非常に気になるところ。自分の中にある「描きたい」を追求した作品を、今後も楽しみにしたい。

さらば友よ_京子1-1


取材・文=石川知京(関西ウォーカー編集部)

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