【漫画】「アラフォー女子が10年ぶりに恋をした」に共感の嵐!
関西ウォーカー
30代で大失恋。負った傷は深く、癒えた頃にはトキメく気持ちを忘れていて簡単には恋に落ちない…。そんなアラフォー女子の恋愛事情を描いたエッセイ漫画「アラフォー女子が10年ぶりに恋をした」が、大きな反響を読んでいる。
作者は千葉県を拠点に実家のスナックを手伝いながら活動している、フリーランスの漫画家・かとひとさん。今回、彼女が漫画を描いたきっかけや、40代の心境の変化などをたっぷりとインタビュー。彼女がいかにして恋に落ち、もがきながらも成就することができたのか?
「私にとって奇跡のような1年を、漫画で描きとめたかった」
ーいつ頃から漫画を描かれているのですか?
「実家のスナックで働きながら、趣味で二次創作的にマンガやイラストを描いていたのですが、本格的に計画やプロットを立ててオリジナルで描いたのは今回の『アラフォー女子が10年ぶりに恋をした』が初めてなんです。幼少期から漫画が好きで真似て描いたりしていたのですが、サラリーマンとして働いたり、スナックで働くようになるにつれて、描くことから離れた時期もあり…。これまでは、本当に趣味で描くぐらいでした」
ー本格的なデビュー作が、大きな反響を呼んで広がったのですね!
「前半をTwitterにアップして、2〜3日のうちに共感の声をいただけたり、たくさんの温かいメッセージをいただきました。ほとんど否定的な意見もなくて、想像以上の反響をいただけてうれしかったですね」
ー中でも特に、印象に残っているメッセージやコメントはございますか?
「前半で、私が失恋して立ち直れず、“人の形をしていなかった”というぐらい落ち込んでいる時期を描いているのですが、漫画を読んだ若い子が今まさにその状況だというコメントをいただいて…。『仕事も手につかず、辞めて実家に帰ることになりました。すごい羨ましいです。人の形を保ててなくて、今は戻れないけど、私もいつか戻れるかもしれない。また頑張れりたいと思えるかもしれない。ありがとうございました』と言われて、泣いちゃいました…。また、私と同じように10年ぶりに好きな人ができたからのコメントもいただけました。その方は残念ながら結ばれなかったそうなのですが、『まだまだ諦められません』といった声をいただいて、もう胸がギュンギュンしましたね…」
「当時、フォロワーが400人ぐらいだった私なんかの馴れ初めや幸せになった報告なんて、アップしたところで興味あるのかなと、何度もアップできずにいました。だけど勇気を出してアップしたからこそ、たくさんの人に読んでいただき共感いただけて本当によかったです」
ーどういった経緯で、本作を描かれたのですか?
「失恋から立ち直って、今の旦那と出会い好きになるのが2019年なんですね。恋をして、『こんなこと人生にあるんだ!』って思ったぐらい、それまでの私に比べるともう奇跡みたいな1年で…。漫画で描いた通り、40代になって10年ぶりに恋をするにあたって。それから、恋してからも色々なことがあったので、好きで憧れだったコミックエッセイの漫画にして残してみようと思って描きました」
ー初めて本格的に描かれた作品とは思えないほど、続きがとにかく読みたくなる展開でドキドキしました。
「ありがとうございます!読みやすくするために、同じような出来事は削ったり、全部同じ向きで顔が並んだりしないように、コマの中を丁寧に、そして構図を気をつけながら描きました。それと、嘘にはならないように、メールや写真を見返しながら思い出してありのままに描いています」
ー10年ぶりに恋をしてからの楽しい思い出に比べると、失恋した後の辛い過去を振り返りながら描くのは苦しかったのでは?
「失恋して、“人の形をしていなかった”時期を思い出すのはしんどかったですね…。私がどうやって恋をしていくかについては、漫画でしっかり描いているのですが、この辛い時期の記憶はさらっと描いています。2年ぐらい本当にダメで、一歩進んで五歩下がるようなのが続いていたので、暗くなりすぎてもなと。なので、私の場合はどうやって救われてきたのか、考えを変えながら描きました。あの時は苦しかったなって、漫画にすることで浄化されるのかなとは思いながら描き上げました」
ー実際に、漫画を読まれて旦那さんのご感想は?
「完結してから全部読んでくれたのですが、『泣けるよ!』って言ってくれましたね。私の絵が大好きだと言ってくれるので、『これからは隠れてコソコソ描かなくてもいんだ!』って、すごくうれしい気持ちでいっぱいです。今回完結したのは出会ってから付き合う7月までの話なんですけど、7月から12月までも恋愛面でもいろいろあるし、結婚するまでも描きたいなと思っています。旦那くんには、『喧嘩した話も描く』と伝えてるのですが、『描かんででえぇ!』って言われていたり(笑)」
ー喧嘩されるのですね!漫画を読む限り、付き合うまでの話ということもあってラブラブな印象だったので意外でした。
「めちゃくちゃ喧嘩しますよ(笑)。お互い、恋愛が10年ぶりなので鎧が強くなりすぎてて懐を見せないというか。だから、一緒に住むってなると余計に大変で…。最近はお互い、ずいぶん鎧を脱いで生活をさらけだせているので、喧嘩は素でぶつかりあえている証拠ではあるんですけどね」
ー例えば、どんなことで喧嘩されるんですか?
「出会いのきっかけでもある広島カープが、試合に負けると旦那くんは悔しくてご機嫌斜めになっちゃう事があります。『あんなに大人っぽいことしてくれていた、あの人どこいったの?』って、思うこともありますよ(笑)。私はライトに野球全般が好きなので、『負けちゃって辛いけど、こういうコロナ渦で野球が観れてるだけで幸せだな』って思うのですが、彼はガチガチのカープファンなので…。『ひとちゃんはカープが負けても悔しくないんや!負けてもええんや!』とか本当に悔しそうに言ってくる。『良いわけないでしょ!?あんなに大人だったおぬしはどこ行った!?』って、子供っぽい喧嘩したりしてますね(笑)」
ー喧嘩するほど仲がいいといいますが、そんなお二人も微笑ましく思いました(笑)。他にも、漫画に登場している周りの方から反響はございましたか?
「漫画の中でも登場する、妹には『絶対に続きを描くべき!』ってめちゃくちゃ喜んでくれましたね。失恋してからの辛い2年間を、ずっと見ていて知ってくれている数少ない存在なので、そういってもらえてうれしかったです」
「何歳になっても、やりたいことはやるから。『夢を諦める』ことを諦めた」
ー40代の恋愛においての出会い方や、出会ってからのトキメキ、難しい点など詳細に漫画で描かれていたところが、同世代の方はもちろん幅広い層の女性から共感の声が上がったのかと思います。かとひとさんにとって、40代という年齢はこれまでと考え方など大きく違ってくるものでしょうか?
「よくも悪くも、図々しくなってきたかなとは思いますね。最近の言葉で言うと、私は“繊細さん”に当てはまるぐらい、かなり気にしいなことがあって。『あの時はあんなこと言ったけど、嫌な言い方をしたかな』と思うことがよくあるんです。だけど、年齢とともに経験値も増えて、ある程度のことは仕方がないと切り替えられるようになりました。それは憧れだった漫画家という仕事につけて、人間関係で苦労することがだいぶ減ったことも大きいかもしれません」
「これまで人のことを好きにならないし、仕事はできるけど壁があると言わることが多くて、人として欠落してるんじゃないかってずっと悩んでたんですよね…。そんなことも、40代になるとふっきれましたね。老けたなと思うことはあっても、悩んで落ち込んで苦しむことが少なくなって、楽になりました。生きやすく、なりましたね!それに、幼少期から憧れていた漫画家になれてる自分って、一番最強で夢が叶っている状態なんですよね。だから、これからはどれだけつらくても、大変なことがあっても、もう大丈夫かもしれないなと思えています」
ー40代という年齢的なタイミングもそうですが、憧れの仕事に挑戦する、夢を叶えるというのは難しい決断だったのでは?
「簡単ではなかったですね…。私の描いたものが楽しんでもらえるか、漫画家なんて名乗っていいものか自信もなかったですし。だけど、SNSで反響をいただけたり、参加しているオンラインサロンで漫画家の先生に『めちゃくちゃ上手いからやれるよ!』って背中を押していただけたことで踏ん切りがつきました。『とにかくやっちゃえば』という声をいただいて、思い切ってフリーランスとしての開業の届け出を出したら、『もう漫画家だな』ってがんばれるようになりました」
「その時、好きなことは一歩踏み出して取り組みさえすれば、なんとでもなるんだということがわかりましたね。40代になるまで、趣味で漫画を描いている時期もあれば離れてる時期もあったんですけど、なんかあったら漫画に戻ってきて、気づけば道具も用意している自分がいたんですよね。もっと上手くなりたいからオンラインサロンに入ってみたり、何歳になっても、やりたいことは、やりたいからやるんですよ。漫画家を目指している人に限らず、きっと私と同じようにやりたいことをやるべきか悩んでる人もいると思うんですけど、ずっと好きなことが好きでなくなることはないし、やりたいことをやらなくなることはないと思います。私は漫画が好きで、漫画を描かなくなることはないと思ったので、漫画家という『夢を諦める』ことを諦めて、向き合おうと思いました」
ー「諦めることを、諦める」。とても力強いお言葉でグッときました。
「漫画家なんてなれるわけないと、どうしても無意識に諦めてるところがありましたから。だけど、ずっと好きで40歳になっても気付けば描いているんだから、もうそれは諦めることを諦めて、向き合う覚悟を決めるべきだなと。それからは恥ずかしくて言えなかったけど、『漫画家になりたい!』と口に出してみたり、人にネームをみてもらうとか、今までだと考えられないこともできるようになりました。なので、家庭の事情とか色々難しいこともあるかもしれないですけど、もし同じように悩んでいる人がいたら、この歳まで諦め切れてないなら、諦めることを諦める方がいい。今やりたいこととか、気になることがあるなら、これからもずっとやるだろうから、とことんやってみるべきなんじゃないかなと思います」
ーもっと早くにチャレンジしておけば!という後悔もありますか?
「めちゃくちゃあります!もっと早くに始めていれば、いっぱい描けたはずだし。だからこそ、いっぱい描かなきゃと思いながら描いています。若い頃は二次創作とかしてても3日間寝ずに描いたり、徹夜して会社行って、帰ってきてまた絵を描くパワーがあったけど、歳をとってくるとだんだん体力もないから無茶できないんで。早い方がいいとは思いますが、私のように40代になってからでも遅くはないと思います」
ーありがとうございました。最後に、今後の展望についてお聞かせください。
「コミックエッセイの漫画家として書籍を出すことが、一番の目標です。そのためにも今回の続きとなる、結婚するまでと結婚生活であったことを描いていきたいなと思っています。また、私の実話のストーリーだけじゃなくて、私が考えたキャラクターの人生をエッセイ風に創作した漫画も描いていきたいなと思っています。あとは何より、大好きなお酒と野球(特にカープ!)が好きなので、それに関するお仕事ができたらうれしいので、40代はそこもしっかり目指して頑張っていきたいです!プライベートでは、健康的に。あとは人間関係が苦手なので、人と向き合って人との付き合いを大事にできる人生を歩みたいです。私は人に救われて漫画家になれたので、これからは漫画を通して、誰かの人生を応援できるような活動ができたらと思います。やりたいことができてる方が、人生は素敵ですからね」
文・取材=大西健斗
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