【漫画】「ドームに人がいない…」自虐交じりの“オリックスファン”4コマがSNSで話題に。優勝を迎えての想い
25年ぶりの、球団合併後としては初のパ・リーグ優勝を果たしたオリックス・バファローズ。昨年、一昨年と2年連続で最下位だっただけに、ファンの喜びもひとしおだ。そんなオリックスファンの姿を2020年から漫画として描いた作品がある。

NAKATA(君)さん(@NAKATA55795234)が2020年からTwitterなどに投稿している「オリックスファン(オリファン)の漫画」は、作者が実際の経験を誇張した上でオリックスファンのあるあるを映した4コマ漫画だ。観客がまばらでファン同士の席の間隔が遠い、同じ関西圏にある阪神タイガースにこれ以上ファンを取られてはかなわない、「バファローズ」なのに「バッファローズ」と言われてしまう……と言った、ファン目線ならではの自虐を交えた作品を公開したところ、切ない共感と笑いを呼んだ。
最下位に沈んだ昨年から一転、今年は交流戦優勝も成し遂げるなど、熾烈な優勝争いを演じてきたオリックス。そのオリックスの屈辱と栄光を間近で見てきたNAKATA(君)さんに、漫画を描き始めたきっかけや優勝への想いを訊いた。
第一印象は「人気なさすぎ」、けれど熱い応援に触れ――。実体験から生まれたファン漫画
――オリックスファンを描いた漫画が人気です。描き始めたきっかけはなんだったのでしょうか。
「新型コロナウイルスが猛威を振るいだして、これまでは外にいた時間も家にいることが多くなったんですね。で、家でやれることをなんとなく探していた時に、ネットで “デジタル漫画入門”みたいな記事を見たんです。その瞬間、『自分にも漫画描けるんじゃないか?』って、なぜか根拠なく思ったんですよ」
――本格的に漫画を描かれたのは今回がはじめてだったんですか?
「それまで一切漫画描いたことなかったのに、『昔チラシの裏とか教科書に落書きしてたし、イケるわ』という考えでいっぱいで、その日の内にデジタル漫画を描く機材をバーッと買って。案の定、実際にやってみたら、絵は全然描けないし、漫画の構成はどうしたらいいのか分からない。結局、最初の4コマを作るのに20日くらいかかりましたね……」
――漫画にする上で「実際の経験を誇張した」そうですが、漫画に描いた中で特に印象的なエピソードはありますか?
「一番最初に描いた一話ですかね。あれは最初に京セラドーム大阪に行った時の自分の経験そのままなんです。漫画の通り『今日試合あるはずだよな……』って思うくらい、駅に人がいなかったんですよ。すごく不安になったんですが、進むうちにユニフォームの人がちらほらいて『うわー、よかった!』って。その後、ドームの最寄り駅は複数あってそれで観客がばらけていたと知って、ちょっと安心しました。


ただ去年、一番近い最寄りの駅で掃除しているおじいさんと話す機会があったんですが、『巨人戦と阪神戦やるときは比較にならんくらい混むで』と話していて、その時は『あぁやっぱなぁ……』ともなりました(笑)」
――オリックスファンになったのはいつ頃からですか?
「はじめてオリックス戦を見に行ったのは2008年なんですが、球場に入ってビックリしましたね。全然観客がいないんですよ!それまでも野球は好きでいろいろな球場に行ってたんですが、どこもファンが大勢いて、歓声が凄かった。でもオリックス戦は審判のコールが鮮明に聞こえるし、なんならボールがキャッチャーミットに収まる音までキレイに聞こえる、それくらい人がいなかった。『いくら何でも人気なさすぎだろ!』ってその時は思いましたね……」


――なかなか衝撃的な体験ですね……。
「そんな中でも、外野の応援席は結構な数のファンがいたんです。それが気になって内野席から外野席に移動したんですけど、外野はみんなすごく熱く、本当に楽しそうで。歌っている応援歌もめちゃくちゃ格好いいんですよ。そこで『うわぁ、いいなぁコレ』って、その日からちょっとずつオリックスが気になり始めまして。スポーツニュースでもオリックスの勝敗を気にしたり、応援する選手もできたりして。それから数年後には本格的にファンクラブに入って、今に至ります」
叱られるかもと思いきや…「漫画を読んでオリックスファンに」の反響
――昨年から野球ファンをはじめSNSなどで話題になっていました。反響についてどう感じていましたか?
「正直、こんなにたくさんの人に読んでもらってるのが未だに不思議な感じです。コロナ禍で時間が空いて、描いたこともない漫画をなぜか描き始めて、ファンに怒られることも覚悟していたら、たくさん共感してもらえて。あげく『漫画を読んでオリックスに興味をもって今ではオリックスファンになりました』なんて幸せな言葉を自分がいただくことになろうとは……。今でも信じられません。実は、すごい大掛かりなドッキリという可能性もまだ捨ててはないです」
――切ないネタが多かった昨年から一転、今年は優勝を成し遂げました。今シーズンはどんな気持ちで野球を見ていましたか?
「いやもう、信じられないの一言ですよね……。去年は開幕してすぐ6タテ(※プロ野球史上初の同一カード6連戦で6連敗)を食らい、その後もありとあらゆる負け方を見せられて、後半調子を上げたけど、まぁぶっちぎりの最下位で。


今年の開幕も、自分は『あわよくばCS(クライマックスシリーズ)行ってくれたら嬉しいなぁ』ぐらいの気持ちで迎えてたんです。それがあれよあれよと“3年ぶりの貯金!”“交流戦優勝!”“11連勝!”って、今までどれだけ望んでもまったく手に入らなかったものが、急にドサーッといっぺんに降ってきて。『え?これ本当に全部もらっても良いんですか?』みたいな。あの時は他球団ファンも困惑していたと思うんですが、当のオリックスファンが一番困惑していた気がします」
――熾烈な優勝争いが作品へ与えた影響はありましたか?
「作品への影響はめっちゃありますね、描いてる漫画は自虐だらけなので今後どうしようかと(笑)」
――最後に、リーグ優勝を迎えた今、一ファンとしての気持ちを聞かせてください。
「まず始めにお礼を言いたいです。監督、コーチの方々、裏方の皆さん、球場関係者の方々、そして選手の皆さん、勝っていく喜びをファンに思い出させてくださって本当にありがとうございます。2年前、現コーチの岸田(護)選手が引退の際に言われた『これからオリックスは強くなります。長い長いトンネルを抜けます』という言葉を思い出さずにはいられません。ここからポストシーズンが続いていきますが、我々は球場で、画面の前で、聞こえない声で応援します。オリックス・バファローズが叶うべき夢のさらなる先を見せてくれると信じています!」
パ・リーグ優勝からポストシーズンを迎え、次は25年ぶりの日本一を目指すオリックス・バファローズ。ファン目線の漫画を読めば、これからの戦いに期待がかかること間違いなしだ。
取材協力:NAKATA(君)さん(@NAKATA55795234)