アスペルガー夫の言動とその対策をまとめた妻のイラスト図解に「うちの夫も…」と反響続々

東京ウォーカー(全国版)

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“夫はアスペルガー症候群”と題し、発達障害の夫の特性を紹介する、ちくわさん(@chikuwa_bloger)。夫の行動や発言など、日常で起こった事件をまとめたグラレコ(文字だけでなく、絵や図を使い情報を分かりやすく可視化する、グラフィックレコーディングの略)が話題となっている。今回は、彼女に取材し、グラレコ投稿を始めたきっかけや投稿に込めた思い、ご主人との出会いなどについて聞いてみた。

驚きの事件の連続。アスペルガー症候群とは?

アスペルガー症候群とは発達障害の一つ。症状は100人いれば100通りあると言われている。ちくわさんのご主人の場合はというと、 “人の気持ちを想像できない”特性に加え、“多動性や衝動性”に代表されるADHD(注意欠如・多動症)の特性も持ち合わせている。

恩人マダムに大失言事件の巻2

恩人マダムに大失言事件の巻3

恩人マダムに大失言事件の巻4

恩人マダムに大失言事件の巻5

恩人マダムに大失言事件の巻6

恩人マダムに大失言事件の巻7

恩人マダムに大失言事件の巻8

恩人マダムに大失言事件の巻9

恩人マダムに大失言事件の巻10


例えば、SNSの投稿にある「恩人マダムに大失言事件の巻」では、70代の恩人との記念写真を撮る際に「遺影にピッタリっすね!」と得意げに発言。場が凍りついたそうだ。

特に、ちくわさんが驚愕したのが、「死の恐怖 火災発生逃げろ事件」。もつ鍋を食べている時に同じマンションで起こった火災騒動。報知器の誤作動と分かり家に戻った時のご主人の発言にびっくりし、改めて思考回路の違いを思い知らされたと言う。

「まだ娘が赤ちゃんだったので、私はマンション中が騒然となる中、必死に避難しました。家に戻って、主人に『(何ともなくて)良かったね!』と言うと、『本当に。麺がのびてなくて』とまさかの返答。夫の頭の中には、終わった火災騒動ではなく目の前にある締めの中華麺しかなかったんです。改めて、夫の頭の中は紙芝居のように淡々と切り替わっていて、私たちのシステムとは全く違うのだと実感しましたね」

そんなご主人の発言や行動について最初に違和感を覚えたのは、交際後。付き合ってから一緒に過ごす時間が増えたことで、さらに彼の言動に振り回されるようになった。

交際後に大きくなる違和感。そして突然のカミングアウト

テニススクールのコーチと生徒として出会った2人。「夫の第一印象は最悪でした(笑)」と語るちくわさんだが、「変わっている」「普通じゃない」「こんな人出会ったことがない」と感じ、ご主人に惹かれはじめてお付き合いがスタートした。

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「付き合った当初は、“面白い変わった人”という印象。それから少しずつ違和感を覚えるようになりました」と、ちくわさん。交際中に訪れた居酒屋では、魚がウリの居酒屋でスイーツばかりをオーダーする姿に衝撃を受けた。アスペルガー症候群のご主人は、言葉の意味を言われたままに受け取る特性があるため、「好きなものを注文して」というちくわさんの言葉のままに大好きなスイーツをたくさん注文したのだった。

そして、彼女が抱いていた違和感の正体が明らかとなる日が訪れる。

「『どうして今こんなこと言うの?』『普通はそんなことしないよね?』『私の気持ちは考えてくれないの?』と、付き合いが長くなる程、そんな思いが大きくなって。元奥様の写真を待ち受けに変更した一件で、ついに今まで溜め込んでいた思いが爆発しました。そこで、夫から『俺、アスペルガーとADHDっていう脳の特性で、好きな人をカサンドラっていう病気(後述)にしちゃうんだって…』と、発達障害のカミングアウトがあったのです」

「正直、その直後は深刻に考えていませんでした。『勉強すれば、なんとかなるでしょ!』と。私は夫が好きだったので、発達障害と分かったところで、別れるという選択肢はありませんでした。しかし、夫との結婚や未来を想像する中で不安はあって。そこで、一緒に住んで試してみようとなり、約1年の同棲を経て『これならいける!』という確信を持って結婚しました」

まさか自分の夫も発達障害…?「知らずに悩む人へ届けたい」

パートナーが発達障害と知らずに過ごしている人へ向けて、SNSの投稿を続けているちくわさん。

「私が1番読んでもらいたいのは、夫が発達障害だと知らずに、苦しい思いをしている奥様方です。フォロワーさんからDMで相談をいただくことがありますが、多くはアスペルガーの症状が見られる旦那様を持つ奥様から。私が夫の特性から引き起こされる事件をたくさん描くことで、『あれ?うちの夫とそっくり?まさか夫も…?』と、気付いてもらいたいのです。フォロワーさんのなかには『ちくわさんの投稿で、夫がアスペルガーだと気付きました』とのお声も届いています」

自分を責めないで。自覚症状がなく危険な「カサンドラ症候群」

発達障害のパートナーと過ごすなかで、精神的苦悩や疲弊が続き、自分も知らない内に精神的なサポートが必要となる「カサンドラ症候群」になる人も多いという。ちくわさんなりのカサンドラ症候群の対策法をまとめた投稿は、フォロワーからの反響が最も多いそう。

「カサンドラ症候群は、知らないうちに陥っている場合がほとんど。その多くは、自覚がないため危険なのです。カサンドラになる一番の理由は、共感されないということ。例えば、周りに夫のことを相談しても『いい旦那さんじゃない。結婚する前から分かっていたんでしょ?わがままなんじゃない?』と言われるのがオチ。そう言われ続けるうちに“自分が悪いんだ”と責めてしまい、カサンドラ状態に陥ってしまうのです」

「私もいつカサンドラになってもおかしくない」と話す彼女にとって、フォロワーからの言葉が励ましになっている。

「多くのフォロワーさんは同じくアスペルガーのパートナーに悩んでおられるので、たくさんの共感のお言葉をいただきます。『私はこんな経験をしました』『こんな風に工夫しています』と生活上のアドバイスももらい、今は夫とどう円満に暮らせるかを考えられるようになりました。SNSに投稿することで、事件を客観的に見られるようになり、いい意味でゲームのようにラフに捉えています」

共感を与えられる仕事も視野に

「投稿をきっかけに、『勉強や工夫をすることで夫婦生活を続ける決意ができました』とのお声をいただいたことも。前に進むお手伝いができて、うれしく思っています。今後はもっと知識をつけ、悩めるパートナー様のお話を聞いて、そのヒアリングの後に共感をたっぷり与えられるようなお仕事も展開できたら」と、ちくわさん。「自分が考えた気づきや工夫も、グラレコの可視化の力を使って、多く発信していきたい」と語る彼女の活躍を今後も応援したい。

取材・文=左近智子(glass)

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