発売後即重版の「勇気あるものより散れ」、死に場所を求める元武士と不死の少女が生きる理由

1874(明治7)年の東京を舞台に、元・会津藩士の鬼生田春安と不死の少女・シノとの出会いから始まる歴史創作漫画「勇気あるものより散れ」(ヤングアニマル/白泉社)。最新1巻が発売即重版となった人気作だ。

「勇気あるものより散れ」(作・相田裕)は、1巻の発売後すぐに重版がかかった話題作!


自身の死に場所と決めて大久保利通の暗殺計画に手を貸す春安は、大久保の護衛をするシノと刀を交え致命傷を受けるものの、「不死の母を殺す」というシノの目的への協力者として生かされることに。死に損ないの男と、特異な出自により不思議な力を持つ少女が激動の時代を生きる姿を描く、本作の作者・相田裕さんに、作品が誕生した背景や本作に込める思いについて教えてもらった。


日本刀のアクションに初挑戦!

――本作「勇気あるものより散れ」の連載が決定した経緯やテーマの着想、どのようにプロットを考えていったのか教えてください。

【相田裕】前作「1518!イチゴーイチハチ!」(小学館)は高校生の青春ものだったので、次は女の子が戦うエンターテインメントを描きたいと考えていました。デビュー作の「GUNSLINGER GIRL」(KADOKAWA)は少女と銃を描いていて、相田裕といえばそのイメージが強いと思いますが、次はなにか別のものにしようということで日本刀に挑戦することにしました。

ヒロインの設定を検討していく中で、不死の一族と不死殺しの妖刀、ヒロインの相棒となる武士の男というイメージが固まっていって。この題材を描くのには、武士の時代が終わり西洋化が始まる「明治時代初期」が一番おもしろくなりそうだ、という感じで物語の舞台が整っていきました。


“己を犠牲にして、なにかを守る”というテーマを込めたタイトル

――“She know why kill”というタイトルロゴに添えられた英文も印象的ですが、タイトルはどのようにして決まったのでしょうか?

【相田裕】新作を人の生き死にを扱う鮮烈なものにしたいというのは、初期から考えていたイメージでした。己を犠牲にして、なにかを守るというような。作品タイトルは、そういうテーマが伝わる印象的なものにしたかったので、「勇気あるものより散れ」と決めました。

“She know why kill”に関しては、今後物語を進めていくことで明らかになっていくと思いますので、読者の方にはそれまで想像を巡らせていただければと思います。

――連載スタート前後、特に苦労されたエピソードがあれば教えてください。

【相田裕】これまで時代ものを描く経験がなかったので、まず資料集めと勉強を一から始めるのが大変でした。これについては今でも継続中ですね。「GUNSLINGER GIRL」の時もそうでしたが、連載を続ける間はこの取り組みがずっと続くのだと思います。

作画についても、不慣れというか大半が初めて描くものばかりなので、執筆を始めた当初はなかなか苦労しました。初めてのものを描くというのはわくわくする部分もありますが、連載という、時間に制約がある中でやるのは、やはり大変ですね。

描きたいのは“キャラクターの生きざま”

――今おっしゃられたような連載ならではの大変さもあると思いますが、描き続けるモチベーションとなっているのはどんなことでしょうか?

【相田裕】多くの人に読んでもらって、自分の生み出したキャラクターに共感してもらうことが創作の喜びです。これまでの連載作品のように、本作のキャラクターについても読者の方の間で魅力を語らってもらえるように頑張っていきたいです。

また、作品の舞台となっている幕末から明治初期という時代について、漫画を通して関心をもってもらえたらうれしいですね。私も一から勉強しているのですが、知れば知るほど興味深いことが出てきて楽しいです。

不死の少女・シノとの出会いが春安の未来を変える


――では、本作で一番描きたいのはどんなことでしょうか?そのために意識していること、大切にしていることについて教えてください。また、本作に限らず、これまでの作品作りで意識されていることだったり、ご自身の中での創作での決めごとなどはありますか?

【相田裕】どんな題材であれ、自分の作品で描きたいのは“キャラクターの生きざま”みたいなものだと思っています。この人物にどういう過去があって、現在どう考えていて、どういう未来を求めるのか。

生きざまを描くうえで私が心がけているのは、読んだ人に、登場人物が実際に生きているように感じてもらえるようにすることです。キャラクターの心情を意識して、作者が言わせたい台詞ではなくキャラクターの心から自然と発せられる台詞を描く、ということを大切にしています。

―― 心情を大切に描くことで生まれる魅力的なキャラクターと、興味をそそられる時代設定のマッチングが、本作が人気を集める理由のひとつのように感じました。次回はシノを不死の設定にした理由など、キャラクターにまつわる話題を中心に深堀りしてお話を伺っていきたいと思います。

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