【漫画】選挙カーに赤ちゃんを起こされた…育児の悩みに共感の嵐。9.2万いいねが付いた作品も
小さな子供を持つ人にとって、子育ては毎日が未経験のことばかり。悩みや困りごとはもちろん、時には子供のかわいらしさにほほえんでしまうことも。2女の母であるやまぎし みゆき(@yukiyama_27)さんの漫画は、そんな子育てエピソードがいっぱいだ。
やっと寝かしつけた赤ちゃんが、選挙カーの大音量で…
関東在住のやまぎしさんは5歳のちーちゃん、2歳のはるちゃん、ご主人との4人暮らし。グラフィックデザイナーとイラストレーターを兼務するワーキングマザーだ。好きなことは食べること。だけど目下の悩みはダイエットができないことだそう。
SNSに漫画を投稿し始めたのは長女のちーちゃんが3か月のころ。「写真には残せない(子供の)しぐさや出来事を残しておきたいと思い、コピー用紙に鉛筆書きした絵を投稿し始めました」と振り返る。以来、折に触れて子供たちや夫とのエピソードを投稿してきた。
なかでも2021年10月の衆議院議員選挙の最中に投稿された「選挙カーの思い出」はたくさんの人の共感を呼び、Twitterでも話題になった。

長女のちーちゃんがまだ0歳のころ、機嫌が悪く、1時間以上立ってあやしてようやく寝かしつけることができた日があった。

これでやっとホッとできると思った瞬間…。外から選挙カーの大音量が!


たちまち目覚めて再びぐずり始めるちーちゃん。


思わず置時計を手に取って、投げつけたくなる衝動をようやく抑え、「大丈夫、大丈夫」とつぶやきながら再びあやし始める姿は、子育て体験のある人ならば深く深くうなずけるはずだ。Twitter上でも「共感しかない」「わかります」といった共感の声が寄せられ、2.6万いいねが付いた。

「同じ気持ちのパパやママが多く、たくさんの共感の声をいただきました。そのなかで特に印象的だったのは、『漫画にしてくれてありがとう』というコメントや引用RTを多くいただいたこと。『選挙カーの音で子供が起きちゃって大変だった』という言葉では表しきれない、乳幼児を抱える親のやりきれない思いを伝えることができたのは、漫画の強みであり、とてもうれしいことでした」とやまぎしさん。同時に「子育て世代だけでなく、さまざまな立場の方から反響をいただき、非常に考えさせられました」と振り返る。
仏先生とは?保育園の先生を見習いたい

ほかにも子育ての参考にしたいエピソードも多数。なかでもTwitterで9.2万いいねがつき、やまぎしさんが「思い出深い作品」と呼ぶのが「仏先生、爆誕!」。いやいや期に差し掛かり、保育園の帰り際にだだをこねるはるちゃんを満足させた上に自ら動き出させるという、魔法のような一幕を生んだ先生のエピソード。読んだ人からは「多くの『真似します!』のコメントをいただきました」という。


保育園の先生のエピソードでは、普段の生活でも見習いたいことが多数ある。たとえば「ひとくち」という作品。野菜嫌いのはるちゃんが、保育園で野菜を一口食べた時のお話だ。

「私は『一口だけ』という認識でしたが、先生が『一口ちゃんと頑張って食べたんですよ~!』とうれしそうに教えてくださって、すごく反省したことを漫画にしました」と、やまぎしさん。子供たちの頑張りをほめてあげることの大切さが伝わってくる。


ほめられたらほめ返す。先生のスゴ技に大反響!
また、「完璧な答え」という作品では「ほめられたのにほめ返す」という、保育園の先生のスゴ技が披露されている。

「人からほめられたとき、私はどうしても謙遜して返してしまうのですが、保育園の先生の答えが完璧すぎて…。これはぜひ皆さんに知ってほしい!と漫画にしたところ、Instagramで1.6万いいねをいただきました」と大きな反響を呼んだ。

かわいい瞬間を細やかに残す
子供たちのかわいい瞬間も、漫画なら写真とは違う手法で細やかに切り取れる。「合いの手」では、やまぎしさんが「よいしょ」という度に次女のはるちゃんが「ピッピ」と合いの手を入れる姿が、かわいらしく描かれている。

「次女のかわいい合いの手を聞いて、なんだろうなー?と思ったら、保育園の先生とのふれあいの言葉でした。まだしゃべれなくても、こうしたちょっとしたことで、保育園がすごく楽しいんだな、先生が優しいんだな、ということが伝わってきてとてもうれしく思ったのを覚えています」
こうした作品は日常のちょっとした瞬間にきっかけが生まれる。やまぎしさんは「ふとした時の面白い言葉や話の流れをスマホにメモしておき、見返して話を決めています」という。ただ「頭の中で組み立ててから描くのですが、思ったより面白くなかったり、意味不明だったりと毎回悪戦苦闘しています」と、一筋縄ではいかない苦労も明かしてくれた。
子育ては千差万別。だから、誰も傷つけないように
作品を描くにあたっての心がけを聞いたところ、「誰も傷つけないことを特に気を付けています」との答えが。「子育ては本当に千差万別で、状況も違うしポリシーも違うと思うので『こうしたほうがいいよ!』ということは言わないようにしています。そんなスキルもないですし…」と謙遜しながら話す。「読んでくださる方のほんの息抜きになるような、くだらないことを描けたらいいなといつも思っています」とその姿勢は謙虚だ。
それだけに、読んで「ふふっ」と笑える作品が多いのもやまぎしさんの特徴。小さな子供を持つママたちの苦労がしのばれるのが「雨の日の登園」だ。びしょびしょになったり、テンションが上がる子供たちに手を焼いたりしながら登園する姿が、4コマの中に生き生きと描かれている。
「読者からは『わかりすぎてつらいです!』といった悲痛なコメントをたくさんいただき、さらに笑いました」


こうした日常のお話を楽しく描くからこそ、読者の共感が得られる。ガス欠ぎりぎりまで寝ない子供たちの姿を描いた「神様との契約」を読んだ人からのコメントに、「『うちもそうです!』という共感の声をいただき、なんだか安心しました」とやまぎしさん。

頑張るパパ&ママへの温かいエール
ほかにもやまぎしさんのInstagramやTwitterでは「別人格の誕生」「脱腸?!」「夫があっち側に行った」など、自分にも思い当たるお話や共感できる作品が多数読める。今後の活動や目標について問いかけると「育児漫画は記録のためにもずっと続けていきたいなと思っています!下手の横好きですが、日々ちょっとずつ上達していけるように頑張ります」と前向きだ。さらに、少し口ごもりながら「あぁ~、あと、ダイエットも頑張りたいです…ね…」と、もう一つの目標も教えてくれた。



SNSのフォロワーやファンの人に向けては「いつも見てくださって、そして温かいコメントを残してくださって、本当にありがとうございます!これからも育児の合間の息抜きにちらりとのぞいて、そして少しでも頬がゆるんでくれたらうれしいです」と語る。やまぎしさんの作品は子育て体験漫画であると同時に、同じように頑張る人たちへの優しいエールともいえるだろう。
取材・文=鳴川和代