変態オカルトギャグ漫画が話題「私、売られたんですか!?」作家と担当編集の裏側とは
「ヤングアニマルZERO」(白泉社)で連載中の、学園ギャグ漫画「オカルト研は存在しない!!」(※最新2巻2022年1月28日発売)。本作は、ド変態陰キャの主人公・矢内このかが部長目当てでオカルト研に入部する百合(女性同士の恋愛)展開や下ネタ要素が満載で、オカルトギャグというジャンルに収まりきらない作品となっている。

ウォーカープラス編集部では、「令和で一番ひどい作品」「予測不能の純度100%クソ百合漫画」という煽り文句までつけられた本作の作者・河原井優貴さんにインタビュー。編集担当とのやりとりを含む、作品作りの裏側に迫ってみた。
欲望に素直になれるキャラクターが見ていて気持ちいい
――本作「オカルト研は存在しない!!」は、百合要素のあるギャグ漫画ですが、もともと女の子がわちゃわちゃしているテイストのお話がお好きなんですか?
【河原井優貴】はい!かわいい子はかわいい子同士でくっついてほしいなって思ってます!

――主人公・矢内このかとオカルト研部長の物部かおるのやり取りから、そういうのがお好きで楽しく描いているんだろうなというのが伝わってきます。キャラクター描写などの作品作りは、どんなことを意識されているんでしょうか?
【河原井優貴】人を傷つけたくないので、そういうネタをうっかり描かないようには配慮しています。あとはとにかく、担当さんに背中を押してもらいながら思い切った下ネタを描いたり、かわいい女の子やホラーを描いたり、自分が描きたいものを素直に描いていると思います。
キャラクターに関しては、女の子を描く時はとにかくかわいく、女性が見てもかわいいと思ってもらえるように描きたいという気持ちで頑張っています。あと、欲望に素直なキャラクターが好きなので、下ネタに走らせるのもそういう面が大きいです。もじもじしているよりも、やりたいと思ったら素直に行動に移せるキャラクターの方が、見ていて気持ちいいなって。
みんな描いていて楽しいけれど「ぶっちゃけラクなのは…」
――では、特に描いていて楽しいキャラをあげるとすると、誰でしょう。
【河原井優貴】みんな描いてて楽しいです!ただ、ぶっちゃけラクなのは人面犬…。やっぱり作画コストがちょっと下がるから(笑)。バランスがとりづらいとか、そういうことはキャラによってはあるんですけど、それぞれ自分なりに愛着もあるし、みんな輝かせてあげたいなって気持ちです。でも、ラクなのは本当に人面犬(笑)!

――編集担当さんと相談しながらも、好きなものを詰め込んで楽しく描かれているそうですが、逆に苦労していることはありますか?
【河原井優貴】担当さんからは、画面がキツキツでうるさいっていうことをよく注意されるんです。文字数が多いとか、情報を詰めてしまいがちなところを直すのが連載当初からの課題です。この説明で伝わるかなって心配になって、文字で説明しようとしてしまうんですよね…。
――今までで一番難産だったエピソードを覚えていたら教えていただきたいです。
【河原井優貴】それが、結構あるんですよ…!それこそ第1話なんかは、初めに出したネームから結構削ったり変えたりしました。あと、キャラ同士の関係を掘り下げるような回だとギャグだけで終わらせちゃいけないので、すごく苦労します。感情の描写とか、関係の深まり方とか、そういうところですね。
担当編集からの言葉に「私、売られたんですか!?」
――ギャグとは対極になりそうな要素ですね。悩んだ時は担当さんに相談して進めていくんですか?
【河原井優貴】とりあえず6割くらいまで描いた穴抜けネームを作って、そこから相談させてもらったりします。

――もともと女子だけで描こうと思っていたところに、青春群像モノとして男子キャラを出したらどうか、というお話があったというのもターニングポイントかと思いますが、例えばどんなアドバイスをもらうのでしょうか?
【河原井優貴】某少女漫画のパロディのようなものを描こうとした時は、ストップがかかりましたね(笑)。真面目な話だと、ぎゅぎゅっと1話に詰め込んでしまった話を「前後編に分けたらどうですか」とか、「ここに間があった方がいいですね」とか、話の構成のことからページのことまで、もう全部です…(笑)。
――二人三脚で作っているんですね。ちなみに、インタビュー前に担当さんからは「(河原井を)好きなようにいじっていいです」と言っていただいています。
【河原井】えっ!私、売られたんですか!?ひどい(笑)!
――信頼関係があってこその言葉だと思います(笑)。次回は今後の展望について、お話を伺いたいと思います。