漫画のために沖縄へ移住!『沖ツラ』作者が現地で触れた、語りつくせぬ「異文化」の魅力とは

東京ウォーカー(全国版)

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「くるざーたーかむんな?」「ちばりよー」「あちゃーやー」……。この言葉の意味にピンと来るだろうか?これらはすべて“うちなーぐち”(沖縄語)で、それぞれ共通語では「黒糖食べる?」「頑張ってー」「また明日ね」という意味。琉球王国をルーツに独自の文化を育んできた沖縄には、今でも沖縄ならではの言葉や表現が色濃く受け継がれているのだ。

『沖縄で好きになった子が方言すぎてツラすぎる』4巻は2022年1月8日発売画像提供:空えぐみ / くらげバンチ(新潮社)

くらげバンチ(新潮社)で連載中の“異文化ラブコメ”漫画『沖縄で好きになった子が方言すぎてツラすぎる』は、「うちなーぐち」をはじめ、沖縄のさまざまな文化や風習を題材にした作品だ。

東京から沖縄の学校に転校した主人公・中村照秋は、同級生で沖縄生まれの喜屋武飛夏に恋をする。喜屋武さんの方言が分からず苦悩する照秋に「通訳」してくれるのが、同じく沖縄生まれの比嘉夏菜。“内地”東京と沖縄の言葉や文化の意外なギャップを軸に、彼らの交流や恋模様が描かれている。

作者の空えぐみさんは、主人公の照秋同様、関東から沖縄に移住し本作を執筆している。今回は空さんに、沖縄に移住したきっかけや移り住んでからの発見、作品作りの裏側についてインタビューした。

沖縄の友人の話に惹かれて移住を決意。住んで感じた「壁のなさ」

「沖縄で好きになった子が方言すぎてツラすぎる」1話(2/6)画像提供:空えぐみ / くらげバンチ(新潮社)

――はじめに『沖縄で好きになった子が方言すぎてツラすぎる』を描こうとしたきっかけを教えてください。

「まだ関東に住んでいた頃、沖縄の友人が話していた沖縄話がとても面白く、沖縄の漫画を描いてみたいなと思ったのがきっかけです」

――本作を描くために移住したとうかがいました。もともと沖縄になにかご縁があったのでしょうか?

「自分は大阪出身なのですが父方の祖父が沖縄出身なので、ルーツは沖縄なんです。とはいえ沖縄に行ったのは高校の修学旅行の一度きりなんですが……。ルーツが沖縄という話を沖縄県の方にすると『きっと沖縄に呼ばれたんだねー』と笑いながら言われます」

――実際に移住して受けた沖縄の印象はどんなものでしたか?

「なんと言っても人との壁のなさ、人の温かさですね。自分は移住して2日目に『家においでーご飯作ってあげる』と誘われ、あがらせていただきました(笑)。他にも自分が沖縄の漫画を描きたいことを話すと、『シーミー』と言われる沖縄のお墓参りに呼んでいただいたり、旧盆だからと家に招いていただいたり……(※沖縄県では現在も年中行事を旧暦で行う風習がある)。地域の行事だけではなく、ご家庭の行事に呼んでいただきました」

――移住してきた人もあたたかく受け入れる懐の深さを感じます。

「そこで見たこともない沖縄の文化を体験するのですが、いつも丁寧に説明していただき、何より楽しそうに教えてくれます。沖縄の方も沖縄のことが大好きなんだと思いますね」

鳥の鳴き声と思いきや正体はヤモリ!?自身の体験した“外から見た沖縄”を投影

「沖縄で好きになった子が方言すぎてツラすぎる」39話(2/11)画像提供:空えぐみ / くらげバンチ(新潮社)

――本作では、“ご当地あるある”にとどまらず、漫画では難しそうなイントネーションやニュアンスの違い、それに派生するコミュニケーションの差が物語に落とし込まれ、実感のこもった作劇が印象的です。

「作中で描いている沖縄の文化や風習は、ほとんどは自分が見たり聞いたり実際に体験したものを物語に織り込んでいます。中でも面白そうと思ったものは、地域の方の家や公民館にうかがって聞いたりもしています。自分が驚いたり感動したものを主人公のてーるー(照秋のあだ名)の感情に乗せているので、実感のこもったものと感じていただけるのかもしれません。

内地の方には、沖縄への驚きを共感していただけているとSNSなどで感じます。沖縄の方にはあるあるネタとして笑っていただいたり、逆に『これって沖縄だけだったんだ。知らなかった』など感想をいただいています。

また、細かい言葉のニュアンスなどは沖縄出身の譜久村帆高(ふくむらほだか)さんに監修していただいています。住んで4年になり、だんだんとうちなーぐちを覚えていっていますが、未だにうちなーぐちを完璧に聞き取るのは難しいです(笑)」

ヤモリは鳴くもの?“沖縄”と“内地”、知れば知るほど楽しい違いを描く異文化ラブコメ画像提供:空えぐみ / くらげバンチ(新潮社)


――実体験が色濃く反映されているんですね。その中でも、空先生が特に驚いたことはありますか?

「漫画にも描きましたが、ヤモリがしょっちゅう鳴いていることに驚きました。自分も最初は鳥が鳴いていると思っていたのですが、2年目に教えてもらい気づきましたね。あと、沖縄県民の方は『海で泳がない、海は見るもの』ということを聞いていましたが、確かに4年も住んでいると自分も泳がなくなりました(笑)。最初は海を見て『綺麗だなぁ』と興奮していましたが、最近では海を見ると癒やされるようになりましたね」

――沖縄の文化や生活を描くことで難しいと感じることはありますか?

「自分は内地出身なので、“外から見た沖縄”を描くことが基本なのですが、沖縄で育った方のように内側から見た沖縄を描くのは難しいと感じます。そういったところは可能な限りどう感じたものかなど、沖縄県民の方に聞くようにしています」

観光地という側面だけではない、人の住む場所としての沖縄の魅力

――本作を描く上でこだわっているポイントを教えてください。

「今のところ1話に必ず沖縄ネタを取り入れているのですが、それをラブコメに取り入れたり塩梅を考えたりするのに日々頭をひねっています」

――毎回さまざまな沖縄ネタを楽しませてもらっています。特に力を入れたエピソードはありますか?

「エイサーや旧盆など、沖縄の大イベントは特に見せ方を考えました。沖縄文化の内容をしっかり紹介したいものが多く、どうしてもボリュームが増えてしまいますが、沖縄文化だけを紹介する漫画になってしまわないように、きちんと漫画として面白くなるように工夫しています」

「沖縄で好きになった子が方言すぎてツラすぎる」39話(10/11)画像提供:空えぐみ / くらげバンチ(新潮社)


――読者から反響の大きかったエピソードについても教えてください。

「第15話の『しましょうね問題』はリアルでも起こりうる沖縄方言の勘違いだけに、かなり反響がありました。上京した沖縄県民の方からも体験されたエピソードもたくさん送られてきました」

――取り上げたい沖縄ネタは多々あると思いますが、今後「特にこれは描きたい!」というものはありますか?

「沖縄の結婚式もこれまたすごいので描いてみたいですね。結婚式を見学したいのですが、今はコロナの影響でなかなか難しいです。これから作中は秋に突入するので沖縄の秋をたくさん描きたいです」

――最後に、読者に向けてメッセージをお願いします。

「沖縄は海がキレイ、観光地という印象の方も多いと思いますが、文化、風習など内地の方が見ると驚くことがたくさんあります。そういった沖縄の魅力を漫画に詰め込みましたので、ぜひ読んでいただけたら嬉しいです。この作品をきっかけに沖縄を少しでも身近に感じていただけたらなと思っています」

移住したからこそ見える、リアルな人の住む場所としての沖縄の魅力がふんだんに散りばめられた同作。コロナ禍でなかなか現地へ足を運ぶことができない今、漫画を通してまだまだ知らない沖縄の一面に触れてみてはいかがだろうか。

取材協力:空えぐみ(@egumisky)

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