【漫画】「あ゛!」は親しみのあいさつ!?「言葉がなくても通じる」ことはたくさん!最重度知的障害者ゆうくんの愛おしい日々
むらまつしおり(@shiori_ohanashi)さんが描く『最重度知的障害者ゆうくん』は、むらまつさんの弟・ゆうくんの話。知的障害の中でも最重度に分類され障害ゆえの「不可解な行動」もあるが、ゆうくんは知らない人でも「あ゛!」とあいさつを交わしてしまえるほど人懐っこい性格。明るくて茶目っけがあって、いたずら好き。一方で、ときには大声を出したり暴れたりと、家族は日々大奮闘!

「些細なエピソードはすぐに忘れてしまうので、記録として残したかったんです」と、むらまつさんは描き始めのきっかけを語る。そして「本作を通して、生きにくさや不器用さもつまったゆうくんのこと、障害のことを少しでも知るきっかけになって、多くの人と共有できたら嬉しい」と話してくれた。
ある日、冷蔵庫のいちごが丸ごとなくなっていたところからスタートする『いちご事件』。「夜中に冷蔵庫を漁る」「ヘタごと食べる」という謎の行動に犯人はすぐにゆうくんだとわかってしまうが、そのオチに思わず笑ってしまう。シンプルかつ明解なイラストで、スッと入ってくるところが本作の特徴だ。



――本作を描くことになったきっかけを教えてください。
コミックエッセイを描くのは初めてでしたが、ぶっとんだ彼の愉快なエピソードを独り占めしているのはもったいない!と感じ、思い切ってSNSへの投稿を始めたのがきっかけです。最重度知的障害者なので弟の行動は不可解ですが、おもしくて可愛くもあります。写真に残さなかった思い出は、どうも忘れてしまうタチで…。コミックエッセイにして後から見返したいという気持ちもあって描いています!Instagramでは、自分自身の忘れたくない出来事もイラストにして投稿しています。





――弟さんはどのような性格ですか?
信じられないほどお調子者です。人が集まる場所に行けば、全員初対面の他人であるにも関わらずまるで「僕のためにお集まりいただきどうもありがとう!」とでもいわんばかりに、その場の全員に「あ゛!」と主役級の笑顔で挨拶をする姿は見習いたいです。
こだわりが強く、思い通りにいかないときには癇癪を起こすこともありますが、基本的に人が大好きなので、なんとか気を引こうとしたり、人を笑わせようすることに全力を注いでいます。弟と一緒に過ごしていると、言葉がなくても通じることはたくさんあるんだなぁ、と本当に勉強になります。難しい面もたくさんありますが、弟の生き方を尊敬しています。





――むらまつさんにとって、ご家族はどんな存在ですか?
なんとなく、絶対的な味方のように感じています。私自身も面倒臭い性格なので、昔からケンカは多かったのですが…。弟含め、昔から家族のことは大好きです!ちょっと恥ずかしくてうまく表現できないのですが、本当に大好きです。家族の存在に感謝しています。





――本作を通して伝えたい思いなどがあればお聞かせください。
ここまで読んでいただいてありがとうございました。私が描くエピソードはほんの一例であり、中でもほんの一部の出来事であるということをご承知の上、楽しんでいただけたら嬉しいです。街中で大声を上げている成人男性がいたら、そりゃ怖いし自分の身を守ることが最優先ですけれど、「もしかしたら彼なりのあいさつなのかもしれない」「なにか良いことがあって喜んでいるのかもしれない」「困っているのかも…」などと想像することができるだけでも、心持ちは変わってきます。偏見を持たないというのは私にはまだできませんが、人の行動にはすべて何かしらの理由や背景があるのだということを常に忘れたくないなぁと思います。障害者も健常者も変わらずです。





――エピソードに対して多くの反響がありますが、どのように感じていらっしゃいますか?また、読者の方へメッセージがあればお願いします。
エッセイの投稿を通してコメントをいただいたり、他の方の投稿を拝見して日々楽しく勉強もさせてもらっています。いつもありがとうございます!今後はほっこりエピソードだけでなく、ちょっと生々しいリアルな面も少しずつ描いてみたいと思っております!
漫画を通して互いの思いに触れ、障害者も健常者も少しずつ歩み寄り、理解ある世の中になって欲しい。リアルなゆうくんのエッセイ漫画は、Instagramで更新中。ぜひ、チェックしてみよう!
取材協力:むらまつしおり(@shiori_ohanashi)