【漫画】『オレンジページ』は『レタスクラブ』でもある!?書店での「うろ覚え」体験に共感集まる
新聞広告やテレビ番組のブックランキング、雑誌の書評コーナーなどで、ふと気になる本に出会ったことはないだろうか。けれど、タイトルを聞きそびれたりメモを取り忘れ、書店でもその本が見つからないことも。そんな時頼りにされる書店員はまさに「うろ覚え」対応のエキスパート。書店員が出会った、本にまつわる覚え違いのエピソードに共感が集まっている。

鵜呑みにできない「お客さんの情報」。書店員はどう対応するの?

話題を呼んだのは、漫画家の佐久間薫さん(
@sasakumako
)が自身のTwitterに投稿した「お客さんの『オレンジページ』は『レタスクラブ』でもある」。「webアクション」や「COLORFUL」で連載されている佐久間さんの作品『本屋の堀ちゃん』シリーズの1エピソードだ。

書店で働く堀ちゃんのもとに、「オレンジページあります?」と料理雑誌を探しているお客さんがやってきた。棚から手渡すものの、内容を確認したお客さんは「私が見たのと特集が違うわ」と当惑。探しているのは最新号ではなくバックナンバーかと考える堀ちゃん。そこにやってきた先輩店員の岡さんが「お客様こちらですか?」と、「オレンジページ」ではなく「レタスクラブ」を差し出し、お客さんは「そうそうこれこれ」と感謝するのだった。

岡さんから「お客さんが言う『オレンジページ』は『レタスクラブ』でもあるからね!」とアドバイスを受けた堀ちゃん。すると、今度は別のお客さんが本を探す場面に出くわした。
探しているのは「1分で解決」という題名の本で、お客さんはタイトルに間違いはないと断言する。けれど応対する店員の橘さんが検索機を使っても、該当する書籍は見つからない様子。少々お待ちくださいとその場を離れた店員は、売り場から「1分で解決」と“帯”に記された一冊を持ってきた。お目当ての本は結局その書籍で、少ない情報から探し出したことに脱帽する堀ちゃんに、橘さんは「お客さんの情報を鵜呑みにしちゃダメよ!」と一言。

先輩たちの助言を胸に刻んだ堀ちゃんは、本日発売だという「週刊ダイヤモンド」を求めるお客さんを応対。けれど、その日は土曜日で、雑誌の発売日は毎週月曜。「お客さんの情報を鵜呑みにしない」と丁寧にそのことを告げるが、店先の棚にはまさに今日発売の雑誌があった。実は、月曜日が祝日の場合は土曜日に発売日が早まることがあるのだ。情報を鵜呑みにしないと心掛けたばかりに失敗した堀ちゃんは、本探しの難しさを感じるのだった。

書籍の「うろ覚え」に、出版関係者や他業種からも共感の声

このエピソードにはTwitter上で8600件以上のいいねが寄せられ、「昔本屋でアルバイトしてた頃を思い出した」「小売業なのでめちゃくちゃわかります」と、書店や店頭接客を経験した人から共感のコメントや、「本屋さんって、大変なんだなぁ…」と、曖昧な情報から目当ての本を見つけ出す書店員の仕事に驚く声が集まった。
漫画家のかたわら、現役書店員としても働いている作者の佐久間薫さん。『本屋の堀ちゃん』や、同エピソードが収録された同シリーズの前作『カバーいらないですよね』では書店を取り巻く悲喜こもごもの日常が描かれている。
取材協力:佐久間薫『本屋の堀ちゃん』発売中(@sasakumako)
『本屋の堀ちゃん』 (C)佐久間薫/双葉社