心霊スポットで遭遇した“怪奇”と“心の闇”…複数の恐怖が交差する漫画に「オバケより怖い」の声

プロと比肩しうるオリジナル作品がSNSに投稿され注目を集める中、読者から強い支持を集めるジャンルの一つがホラー漫画。6月に深川( @DON_bura_CO )さんが自身のTwitterアカウントで投稿した「女3人が心霊スポットに行く話」は、考えれば考えるほど怖くなる結末と、高い完成度が話題を呼んだ作品だ。

本当に怖いのは心霊現象よりも人間?Twitterで反響集めた「女3人が心霊スポットに行く話」画像:深川(@DON_bura_CO)

心霊スポットへ探検へ…霊より怖い人間の闇に震える

友人の「マコ」に誘われ、心霊スポットに足を運ぶことになった「フミ」。マコの友人である「ノン」の運転で、3人は怪奇現象が起こるという海辺の施設へと向かった。

「女3人が心霊スポットに行く話」5画像:深川(@DON_bura_CO)


件の「A臨海学園」は、小学校時代のフミとマコが臨海学校で宿泊したことがある施設。ある時、水泳の授業を行った学校で溺死事故があり、その後も事故が相次いだことから閉鎖に至ったという。さらに、最初の溺死事故が実はいじめが原因だったという噂もあり、その犠牲者が自分を沈めた人間を探しに海から上がってくるという怪談が広まっていたのだ。

「女3人が心霊スポットに行く話」8画像:深川(@DON_bura_CO)


施設に到着し、無人の建物を探検する3人。時が止まったままの施設内を巡るうち、フミは臨海学校の頃の思い出を振り返っていた。同部屋のクラスメイトから爪はじきにされていたフミを、お構いなしに探検に連れ出していたマコ。3年も前に賞味期限が切れたお菓子を持ってきていたり、「一緒に怒られよーね!」とあっけらかんと笑ったりと、今と変わらず楽しげな様子のマコを思い出し、自然と笑みがこぼれたフミ。だがその一方で、不審な物音がしたり、背後に誰かが立っているような感じがしたりと、施設内で異変を感じ取ってもいた。

「女3人が心霊スポットに行く話」21画像:深川(@DON_bura_CO)


そうした気配がありながら、結局施設内では何事もなかった3人。しかしマコは車の中で、怪奇現象が起こるのが「帰りの車中なんだって!」と告げる。その直後、フミはマコを羽交い締めにする霊を見てしまい、大パニックに陥ってしまう。

怪奇現象の後、コンビニに立ち寄った3人。ノンと休憩しながら、フミは臨海学校の帰り道のことを思い出していた。当時、帰りのバスで吐いてしまったフミだったが、その発端は同部屋だった女子たちが一斉に嘔吐してそれにつられてのことだった。そしてフミは、その直前、マコが自身を除いた彼女たちにお菓子を配っていたことにも気付く。

「女3人が心霊スポットに行く話」30画像:深川(@DON_bura_CO)


もしやと疑いを持つフミのもとに、コンビニに寄っていたマコが戻る。いつもと変わらぬ笑顔の彼女が買ってきたお菓子は、臨海学校で持ってきた賞味期限切れの、そしてバスで配っていたものと同じチョコレートなのだった。

「どちらも元々は人間の不気味さ」怪奇と心の闇を織り交ぜた作風のワケ

心霊スポットで実際に怪奇現象と遭遇しながらも、その帰り道に考えるとゾッとするような思い出の真相が垣間見える本作。作品の投稿には4500件以上のいいねとともに、「オバケより怖いわ」、「ホラーなオチがなんと二つ」と予想外の“ホラー”に震えた読者からの反響が多く寄せられていた。

同作のほか、7月末に投稿されたホラー漫画「結び」でも、怪奇現象だけでなくそれにまつわる人の心の闇を感じさせるホラー作品を描いている深川さん。反響を受け、ウォーカープラスでは深川さんがホラー漫画を描き始めたきっかけや作品へのこだわりについてインタビューを実施した。

【ホラー漫画】「結び」2画像:深川(@DON_bura_CO)


――深川さんはTwitter上で「不気味な漫画を描きます」と書かれています。ホラー漫画を描き始めたきっかけを教えてください。

「ずっと趣味で二次創作の漫画を描いていましたが、去年から一次創作に挑戦したいと思い始めました」

――「女3人が心霊スポットに行く話」は、現実味あるやり取りの中に謎が溶け込んでいる雰囲気が印象的でした。こうした空気を描く上で意識したポイントはありますか?

「読者の方に『真相は一体何だったんだろう?』と謎に感じる部分を入れるようにしています。画的に怖いだけでなくて、謎が残った方が読後の不気味さが増すと思ってます。また、『不気味な出来事は人間の生活のすぐ隣にある』ということも混ぜ込みたかったです。読者の方がモヤモヤぞわぞわして、不安な気持ちになってくれればいいなと思って描いてます」

――7月に公開された作品「結び」では、一見小さな謎だからこそ、真相を考えたくなるラストで、「怪奇現象」と、「人間の怖さ、読めなさ」が織り交ぜられた作風に感じられます。

「怪奇現象も人間の怖さも、両方描いていきたいと思っています。怪奇現象を引き起こす幽霊的な存在がいるとしたら、それらは元々は人間の情念なのかなと思っています。怪奇には人間の常識が通用しない恐ろしさがありますし、逆に人間なのに人間の常識が通用しない場合も、とても恐ろしいので両方にそれぞれ違った怖さがあり、どちらも元々は人間の不気味さが引き起こすものだと思っています」

――このほか、ホラー作品を描く上でどんなところを意識されていますか?

「恐怖を感じるものっていろいろあると思うので、読者の方が不安な気持ちになってくれるよう、いろんな怖さを漫画で描いていきたいです」

――今後描いてみたい作品や漫画制作での目標・展望があれば教えてください。

「これからもずっとホラー漫画を描いていると思います。恋愛や青春をテーマにした作品をつくることがあるとしても、何かしら不気味な要素を入れたくなると思います。

なので、今後もし私がホラー以外の漫画を描いたら読者の方には今回はどんな不気味を挟んでいるんだ?と探す気持ちで読んでいただけたらと思います。別の仕事をしながら漫画を描いているので、更新が遅くて申し訳ないのですが、精一杯描き続けたいと思いますので、応援していただけたらうれしいです」

取材協力:深川(@DON_bura_CO)

この記事の画像一覧(全38枚)

Fandomplus特集

マンガ特集

マンガを読んで「推し」を見つけよう

ゲーム特集

eスポーツを「もっと知る」「体験する」

ホビー特集

「ホビー」のトレンドをチェック

注目情報