大晦日に崩壊したのは一体どちらの家庭?薬師寺家&毒山家、それぞれの戦いをあなたは目撃したか?「大晦日にどちらかの家庭が崩壊する漫画」【作者に聞いた】

東京ウォーカー(全国版)

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2022年12月、年末の慌ただしい時期に突如その連載は始まった。薬師寺家と毒山(ぶすやま)家、片やエリートサラリーマンと専業主婦、片や無職の元ヤンと同じく元ヤン専業主婦の、両極端な2つの子育て家庭。それぞれに崩壊の危機が次から次へと訪れまくる。さて、大晦日に崩壊するのはどちらの家庭か⁉︎

Twitterで漫画を公開している横山了一さん( @yokoyama_bancho )が2022年12月7日に連載を開始した「大晦日にどちらかの家庭が崩壊する漫画」は、1日1〜4ページのペースで毎日更新された。

え、こっちのご家庭は開始早々にすでに崩壊しかかってますけど?と思いきや、だんだん雲行きがあやしくなってきた、むしろこちらのご家庭が?いやいや、ここからもしかして大逆転?と、あっちへこっちへ大晦日に向かって読者を翻弄。とにかく勢いのある展開と味のあるキャラクター、見えない結末がまるでジェットコースターのよう。ついつい続きが読みたくなってしまう、クセになる面白さだ。

ハイペースでおもしろい漫画を生み出し続ける横山さんに、制作秘話を取材した。

「大晦日にどちらかの家庭が崩壊する漫画」 1/46横山了一(@yokoyama_bancho)

「大晦日にどちらかの家庭が崩壊する漫画」 2/46横山了一(@yokoyama_bancho)

「大晦日にどちらかの家庭が崩壊する漫画」 3/46横山了一(@yokoyama_bancho)

「大晦日にどちらかの家庭が崩壊する漫画」 4/46横山了一(@yokoyama_bancho)

「大晦日にどちらかの家庭が崩壊する漫画」 5/46横山了一(@yokoyama_bancho)

「大晦日にどちらかの家庭が崩壊する漫画」 6/46横山了一(@yokoyama_bancho)

「大晦日にどちらかの家庭が崩壊する漫画」 7/46横山了一(@yokoyama_bancho)


ここから先は、すでに物語を読み終えているファンのために、「大晦日にどちらかの家庭が崩壊する漫画」がどのようにして誕生したのか、横山さんの漫画制作の裏側について紹介していく。ネタバレもあるので未読の人は要注意だ!

ストーリーよりも先に見せ方を考えた

「大晦日にどちらかの家庭が崩壊する漫画」の前作にあたる「いつかポジションが入れ替わる二人」では、ページを上下に分割し、対照的な2人のキャラクターの物語を同時進行させる描き方に挑戦した。この手法が上手くいき、読者からの反応もよかったという。次回作でも、ぜひこのページを上下に分けて別々に話を進めていく手法で描きたい。ストーリーよりまずは見せ方から考えていったそうだ。

また、年末だったことから大晦日までに終結する話を、対照的な家庭があって、どちらかが大晦日に崩壊してしまうような流れで、といったように、少しずつストーリーを広げていった。ゴールが決まっているため、そこから逆算して少しずつズレていく、壊れていくさまを見せるために事件を配置していく。ただし、連載をスタートさせたのが12月7日だったため、大晦日までの期間が短かった。

決して綿密に計算して描くタイプではない、むしろアドリブ色が強い方だと横山さんは言う。大体の流れを決めたら、あとは自分も楽しみながらどんどん描いていく。物語がどちらに転ぶのか、自分でもわからないときがあるのだそう。

ユイとマリン、偶然出会った2人はママ友になる横山了一(@yokoyama_bancho)


雑誌の連載と違ってネットでは、たくさんの人の反応をリアルタイムで見ることができる。読者のリアクションも漫画を描いていく上での原動力となっている。雑誌に漫画を描いていたころとは読者層が異なるそうだ。今までは圧倒的に男性読者が多かったが、SNSで公開するようになった今ではむしろ女性のファンの方が多い。想定していなかった読者層に届いたことは、とても嬉しいと横山さん。まさにSNS時代ならでは、といったところではないだろうか。

シュウちゃんのママは描いていて楽しい

元ヤンの夫婦、毒山家を登場人物としてまずは考えたという。横山さんの作品にはヤンキーが多く登場する。ヤンキーや、いかつい男性を描くのが得意なのだとか。

毒山は「ぶすやま」と読む。週刊ヤングマガジンの野球漫画「ストッパー毒島(ぶすじま)」から1文字借りてきた。毒という文字の対になるイメージから薬という文字を入れ、対する家族は薬師寺家と名付けた。正反対のキャラクターを登場させること、またキャラクターにギャップを持たせること、そこからストーリーが生まれてくる。それが横山さんのキャラ作りの秘訣だ。そうして生まれたキャラクターたちがにぎやかに走り回り、物語を動かしていく。

毒山家はマリンとゴン、元ヤンの夫婦だ。一見不穏に見える家庭だが……横山了一(@yokoyama_bancho)


マリンとゴン夫婦、姑に息子のケン坊も、毒山家の人物はみな愛されるキャラとして描かれている。横山さんの作品にはヤンキーだけど心やさしいキャラがよく登場する。物語の冒頭では怖く見えても、読み進めるうちにだんだんと「いい人」だったことがわかってくる。読者が自然と好きになっていくキャラクターだ。

描いていて楽しいのはシュウちゃんのママなのだと、横山さんは教えてくれた。シュウの母親であるユイの姑は、悪意はないのに嫌な感じがする、善意を押しつけてくるようなタイプだ。今までは拳で解決するキャラが多く、いやらしい役をあまり描いてこなかった横山さんにとって、シュウの母親は新しいキャラクターだった。描くにあたっては、いやらしさを研究したそう。SNSに流れてくる姑の愚痴ツイートを読んだり、奥様からアドバイスももらったり、とにかくリアルを追求した。ちなみにご自身の経験ではないとのこと。(横山家は円満です)

ユイの姑、シュウの母は悪意がないだけになかなか厄介だ横山了一(@yokoyama_bancho)


また、子育て中の家庭が舞台ということで子育て経験も生かした。オムツの銘柄にも詳しい。近ごろ増えた女性読者を意識しながら描くこともあるそうだ。

当初、続編は考えていなかった

すでに最後まで読んでいる人、Twitterで連載を追いかけていた人はご存知、大晦日に家庭は崩壊したが、物語は決着しなかった。いまだ続く毒山家と薬師寺家のまさにバトルは現在、リアルタイムで連載されている。わくわくしながら毎日の更新を楽しみにしている人もいることだろう。

エリートサラリーマンのシュウと専業主婦のユイ、薬師寺家は一見幸せそうに見えるが……横山了一(@yokoyama_bancho)


連載開始当初、続編については考えていなかったと横山さん。ただ、描いていくにつれ、家庭が崩壊して終わるのではなく、ユイが報われないといけないと思うようになった。ユイに罪はない。ユイだけがつらい思いをしたまま、物語が終わってしまうのは悲しい。ユイの物語をきちんと描いてあげたい。そんなキャラクターに対して生まれた思い入れから、続編を決めたという。漫画を描いていると、こんなふうにキャラクターに引っ張られて展開を変えることもあるのだそう。そういった化学変化、相乗効果もまた楽しいのだとか。

まだまだ続く毒山毛と薬師寺家の戦い、これからも目が離せない

とにかく多作な横山さんの過去の作品は現在、Kindleインディーズマンガで公開中で、誰でも無料で読むことができる。別の作品からシリーズを飛び超えて登場するキャラクターもいるので、探してみるのもまた楽しい。どんどん広がっていく横山ワールドだが、webメディアでの連載、書籍化の話も出ているそうで、2023年はさらなる広がりを見せてくれそうだ。まずは横山さんのTwitterをフォローして、ぜひ「大晦日にどちらかの家庭が崩壊する漫画」の続きをチェックしてほしい。



取材協力:横山了一(@yokoyama_bancho)

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