「褒めないで」と頼む学生、その真意に「褒めたくなっちゃう」!?“褒め方”の奥深さ物語る漫画に反響【漫画家に訊く】
東京ウォーカー(全国版)
人は誰でも、褒められればうれしくなるし、モチベーションも上がるもの。けれど、専門学校の講師が頑張る学生を褒めたら「褒めないでもらっていいですか?」と予想外の答えが返ってきて……。「褒め方」の奥深さを振り返った絵日記漫画に「すげえ褒めたい」「そういうのもあるのか」と、Twitter上で3.7万件を超える「いいね」が集まっている。

反響を呼んだのは、漫画家のぬこー様ちゃん(
@nukosama
)さんが3月に投稿した『「褒め方」って奥が深い!!!っていう漫画です!』。作者のぬこー様ちゃんさんに、エピソードの舞台裏や「褒める」ことの考え方を教えてもらった。
「褒められたいから褒めないで」矛盾の中にある“褒められ”の功罪
『専門学校JK』や『人見知り専門家庭教師 坂もっちゃん』など商業作品を発表するかたわら、自身のTwitter上で絵日記漫画をコンスタントに投稿しこちらでも人気を博す漫画家のぬこー様ちゃんさん。今回紹介するエピソードは、かつてイラスト系の専門学校で実際に講師として勤めていた当時の体験を描いたものだ。

講師時代、学生に対して作品の出来ではなく制作への姿勢や取り組みを評価するようにしていたというぬこー様ちゃんさん。ある日も、難しい構図にチャレンジしていた学生を見つけ、絶好の“褒めタイミング”と声をかけようとする。
だがその瞬間、その学生から「先生に褒められたくて絵を頑張ってるので…褒めないでもらっていいですか?」とストップがかかる。一見矛盾するような発言に疑問符が浮かぶぬこー様ちゃんさんだったが、学生は「今ここで先生に褒められたらしばらく満足して描けなくなるんです」と続ける。

今自分がノっていること、そして今褒められると調子が狂ってしまうと自己分析する学生の答えを聞いて、ぬこー様ちゃんさんは納得とともに、あまりにも模範的なその姿勢に「褒めたくなっちゃう」とこらえるのに必死になるのだった。
「まさにこれかも」褒められた故のモチベ減に共感の声
「こんな殊勝なこと言われたら余計褒めたくなっちゃう」「これは褒め欲を抑える苦行」と、ユーザーからは学生の態度を評価するコメントや、「褒められると頑張れなくなるのまさにこれかも」「これめっちゃわかる」と、褒められたことでモチベーションが下がってしまう現象への共感の声が集まった同エピソード。

言われた当の本人であるぬこー様ちゃんさん自身、「認められたい人に褒められると満足してモチベ下がるの、なんとなくわかる」と話すように、褒めることの奥深さを感じさせる体験談だ。
ぬこー様ちゃんさんに詳しい話を聞くと、イラスト講師より前に水泳のコーチを務めたことがあり、「水泳のコーチをしているときに理論だけでは限界があると感じ、モチベーションをできるだけ保てるよう褒め方には気をつけるようになりました」と、指導する際には褒めることを意識するようになったという。
また、「出来ではなく姿勢や取り組みを褒める」というスタイルも水泳コーチ時代の経験が生かされているそうで、「水泳競技において常に結果が出せるとは限りません。特に思春期の女性アスリートはそういう傾向になりがちなので、結果的にこういう褒め方になりました」と振り返る。
また、学生から「褒めないでください」と言われた当時の心境を聞くと「頼られてるなと感じ、うれしさも感じました」と前置きしつつ、「が、同時にモチベーションを先生に依存してしまっているので危ういなと思いました。なのでモチベーションをひとつのことに依存しないよう、いろいろなところで喜びを見出せるよう促していきました」と、一筋縄ではいかないモチベーション管理の一幕を教えてくれた。
取材協力:ぬこー様ちゃん(@nukosama)
この記事の画像一覧(全57枚)
キーワード
テーマWalker
テーマ別特集をチェック