陰キャが死ぬ直前に「過去」を1つだけ変えてみたら…?大どんでん返しに「目から汗が…」【作者に聞いてみた】

消し去りたい辛い過去の中から1つだけ変えられるとしたら――?
いじめを苦に学校の屋上から身を投げたばかりの高校生の前に死神が現れた。消したい過去の3つのうち1つだけを変えてくれるという。そんな衝撃的なシーンから始まる無冬季(@After_man_gene)さんの「死んでも死にきれないクソ陰キャと金髪が似合うギャル」。今回は、ゴールデンウィークにじっくり味わいたい青春漫画を紹介しよう。

画像提供:無冬季(@After_man_gene)


主人公・東堂の消したい過去とは、いじめられるきっかけとなった「お漏らし事件」、いじめから救おうとしてくれた同級生「子子子子子子子」(ねこじしみねこ)を傷つけたこと、そして自殺の引き金になった「万引き事件」の3つ。果たして東堂はこの中からどの過去を選ぶのか?さらに、過去を変えたことによる大どんでん返しにも注目したい。ここからは、作者である無冬季さんが語った本作の見どころや制作秘話を紹介。

過去を消したくないか?と聞かれ「そりゃ、まあ」とは言いつつも、体は校舎から落下していく最中画像提供:無冬季(@After_man_gene)


「子子子子子子子」という名前が話題に

同級生の子子子子子子子は、実は主人公の消し去りたい過去の1つ画像提供:無冬季(@After_man_gene)

もともと「死んでも死にきれないクソ陰キャと金髪が似合うギャル」は、『死出の枝道』というタイトルで2013年頃に漫画賞に投稿した作品だった。作中に登場する同級生「子子子子子子子」の名前がTwitterで大いに話題となったが、無冬季さんによるとこれは西尾維新への憧れからきているという。

死んでも死にきれないクソ陰キャと金髪が似合うギャル(13)画像提供:無冬季(@After_man_gene)


また、過去を変えられるという部分に共感する読者も多いと思うが、無冬季さん自身も作品を描いた当時、消したい過去が多かったという。

「今はありませんが、当時はそういう消したい過去的なことはすごく多かったはずです。良くも悪くも、過去の苦々しい記憶を許したくない潔癖症じみた若い負のエネルギーを駆使して描いた作品なんだと思います」

最後に選ぶのは見栄や体裁ではなく「誇り」

死んでも死にきれないクソ陰キャと金髪が似合うギャル(49)画像提供:無冬季(@After_man_gene)

本作ではどれも消し去りたい辛い過去だったが、東堂は失望した過去ではなく、唯一最大の「後悔した過去」を選んだ。この点に無冬季さん自身も見どころとして感じているという。

「主人公が根暗で陰湿という捻くれた設定ですが、最後に選ぶのは見栄や体裁ではなく誇りなのだという、わかりやすいカタルシスを強調する一助になってるんだな、と拙作なりに見どころを感じます」

Twitterでは「死ぬ前笑ってるのに生き残って泣いてるこの対比エモい」というコメントがあったが、描いている時点では全く意識してなかったという。

「他にもいろいろ考察されて深い裏設定がいくつも読み解かれてましたが、全部偶然です。才能ある読者さんにたくさん発見してもらえて、ありがたい話です。ただ質問の部分に限って言うと、最初と最後で主人公に対比が生じるというのはストーリーテリングの定石なので、実はそうなるべくしてなってるというだけのことです。しかしそこに注目して感じ入ってもらえてるということは、ドラマの展開が上手く行ったんだなという手応えがあるので『やったぜ!』って感じです」

死んでも死にきれないクソ陰キャと金髪が似合うギャル (77)画像提供:無冬季(@After_man_gene)


本作はTwitterでは10万いいねを超え、長い期間たくさんの人に読まれている。最後にそのことについて伺った。

「感激でした。これを描いていた頃の幼くて鬱々していた自分が、時間差で報われた思いです。すごく自己肯定感を補強してもらえました。今の自分はちょっとこの作品を正視できないので、自分の黒歴史が大拡散された感覚があって嬉しさ半分はずかしさ半分です」

その他、本作「死んでも死にきれないクソ陰キャと金髪が似合うギャル」を含めた「安定志向で工業系に進学しても人間は狂うよ」「未来人世代シリーズ」のエピソード「勝手にしやがれ 131ver.」を収録した無冬季さんの作品はKindleで無料で読むことができる。ゴールデンウィークは、笑いあり、涙ありのほろ苦い青春エピソードに浸ってみてはいかが?

Kindleで読める「無冬季短編集」もおすすめ画像提供:無冬季(@After_man_gene)


取材協力:無冬季(@After_man_gene)

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