「臭い」「ゴミだと思った」自分を虐げる家族から逃げ出したい!!彼女が選んだ結末に「救われてよかった」の声【著者インタビュー】
東京ウォーカー(全国版)
子供に無関心な父親と「臭い」「ゴミだと思った」など毒しか発しない祖母に育てられた主人公が、自分のために家族と決別するまでを描く漫画家 小野寺こころさんの「
だんしゃり
」に、8万いいねと1.4万リツイートがついている。今回は、本作を描いた背景など、制作への思いを小野寺こころさんにインタビューした。
小野寺さんは、現在、小学館サンデーうぇぶりで「
スクールバック
」を連載中。「だんしゃり」のほか「ららばい」「レンコンになりたい」などをTwitterに公開すると、いずれも万バズを獲得!心に響く作品を描く、今注目の若手漫画家だ。
子供に興味がない父親と毒祖母の三人暮らし。自分の居場所を求めた彼女は――

しょうこは子供の頃から、祖母と父親との三人暮らし。祖母から、ことあるたびに「部屋が臭い」「体が匂う」など、否定するようなことばかり言われていた。部屋にあるものは、しょうこにとっては「大切なもの」ばかりだ。それを祖母に「いらないもの」と言われるたび、しょうこは悲しい気持ちになった。

部屋が散らかっているからと、祖母は部屋の物を盗む。彼女にとっては大切なもの。だから、なくなるとすぐにわかる。そのことで口論になると、父親は盗んだ祖母には何も言わず、「どうせ、全部がらくたやろ。全部片付けろ!」と怒鳴った。孤立してしまったしょうこの心の揺れを時に痛々しく、繊細に描いている。

――漫画を描き始めたのは、いつ頃ですか?
初めてちゃんと原稿を完成させたのは高校1年のときです。高2になり、ショート漫画がいくつかあったので「せっかくやし持っていってみるか〜」と、京まふ(京都国際マンガ・アニメフェア)の出張編集部に行き、たまたまサンデー編集部に持っていったのが始まりです。

――家庭環境に縛られ、自分らしく生きられない女の子を描いています。何かきっかけになるような出来事があったのでしょうか?
親に読まれたら苦い顔されるんだろうなぁ、って感じです。

――本作は、モーニングの月例賞で新人賞を受賞されたと拝見しました。執筆の際、苦労した部分などがあれば教えてください。
執筆自体を苦労だと思うことはないのですが、テーマや内容が重いものだったり、実体験をベースにしているので、嫌な出来事やトラウマと向き合わないといけなくなるので、できる範囲で自分に優しくしようとはしています。

――「ららばい」も拝見しました。日常を切り取った短編漫画。こちらはセリフが少なく、大人になり切れていない高校生の心情が絶妙に描かれていて、すごく心にグッときました。
「ららばい」はコミティアで販売した自費出版なので、自由度が高いです。雑誌では載せてもらえないっぽかったので、好きに描きました。ふと鬱だなと気づくとき、いつも普通に聞いている音が異常に大きく聞こえたり、不快、不安感が増すので、それらを伝えるならあまりセリフがない方がいいと思いました。

――現在は、どのような漫画を描いていますか?
サンデーうぇぶりにて、月曜日更新で「スクールバック」を連載させて頂いています。距離感の丁度いい用務員の「伏見さん」と、大人に苦しむ高校生たちのお話です。2023年7月12日に1巻発売予定で頑張っています。「だんしゃり」「ららばい」同様、毎話最後には少しの救いがあるお話になっているので、安心して読んでもらえるとうれしいです。
実体験をベースに描かれた、あるひとつの家族。部屋が汚いからバレないと思い、しょうこのものを盗む祖母。先輩からもらったお土産を盗んだことが、決定打となる。大切なものを全部捨て、新しい一歩を踏み出した、しょうこ。その明るいラストに「救われてよかった」の声が届いている。
■取材協力:小野寺こころ(@onoderaKOKORO8)
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