一重ってかわいそうなの?「あなたのためよ」と、15歳で二重整形!?子供を支配したい親に育てられました【作者に聞く】
東京ウォーカー(全国版)
「一重はかわいそう」そう言って、母親に15歳の時に整形させられた。かわいそうと思っているのは、母親。エリカはそう言われて育てられただけで、自分の意思はない。「
これで人生楽しくなるわよ!
」母がそう言うから、これで人生は楽しくなると思った。見た目だけではない。習い事、着る服、髪型、友達、中学・高校・大学の進学先まで母親が決めた。価値観や理想を押し付け、子供を支配したがる親に育てられた、グラハム子さんの実録漫画「親に整形させられた私が母になる エリカの場合」を紹介しよう。
「あなたのためなのよ」と強要され、二重の整形を予約する支配型の親
ばあばにもらったクマの服が着たかったエリカ。しかし、母親は子供にはおしゃれな服を着せたい。エリカが「これがいい!」とごねると、母親はばあばにもらった服をビリビリに切り裂いた。「エリカが言うことを聞かないから、クマさんがこうなったのよ」そう言って強制的に反省させ、自分に従わせた。
エリカの行動は、全て母親が決めていた。着る服も習い事も髪型も友達も。主張すると否定されてしまい、エリカは母親が決めたことをやればいいんだと思うようになる。「あなたのためよ」と言って子供のプライベートや人間関係を始め、全てのことに干渉した。
そして、中学校を卒業した春休み。母親に連れられて、二重整形の手術をする。「これで人生楽しくなるわよ!」母がそう言うから、これで人生は楽しくなると思った。
母親主導で育てられたこともあり、エリカは自分の意見や行動に自信が持てず、相手の顔色や反応を伺ってしまい、自分で決断することができなくなった。
当時は感情がなかった。感じてしまうと、辛くなるのがわかっていたから押し殺していた
本作「親に整形させられた私が母になる エリカの場合」は、グラハム子さんの実体験を漫画にしたもの。母親の価値観を植え付けられて育ったため、付き合った人の見た目を変えたり、友達の進路にも干渉してしまうなど、母親のように価値観を押し付けてしまうこともあった。そんな過去のお話から、現在の母親との関係まで話を伺った。
ーー「あなたのためなのよ」と価値観を押し付けてくる母親、今でいう毒親だったわけですが、「うちの母親は、ちょっとおかしいかもしれない」と気づいたのは、いつ頃だったのでしょうか。
「おかしいかも…?」くらいだったら、高校生くらいから薄々気付いていました。でも、確信に変わったのは、大人になってから、25歳くらいだったと思います。ある日、急に気づいた!というわけではなく、じわじわと違和感が溜まって気づいていきました。
ーー友達関係や進学する高校、大学、住居、見た目まで管理され、当時はどのような思いでしたか?
それが、当時は感情がなかったんです。感情が麻痺していたというか。感情を感じてしまうと辛くなるのがわかっていたから、自分で押し殺していたんだと思います。生まれた頃から管理されることが当たり前だったので、子供がどんなに反抗しても、管理してくれるのが良い親なんだと思って(自分に思い込ませて)いました。
ーー漫画では、自分で自分のこと決められない状態にありましたが(告白されてつきあうか迷った時など)、他にも自分の意思で決められなくなるようなことはありましたか?
もう、ほとんどのことが決められませんでした。例えば、自分の好きな色ですら、決められませんでした。「この色が好きだと言ったら、他人にどういうイメージを持たれるかな?良いイメージを持たれるためには、何色と答えるのが正解かな?」と、考えてしまうんです。他人の反応で、ほとんど全てを決めている感じでした。
ーー「あなたのためなのよ」と言われていると「母親がおかしい」と気づきにくいと思う人もいそうですが「自分の人生は自分のもの」だと気づいて、自分を変えていったきっかけはなんだったのでしょうか。
大学進学で上京し、母と離れて暮らし始めたんです。母といる時間が少なくなった分、他の人(友達など)と一緒にいる時間が増えて、母以外の価値観にたくさん触れることができたのが、気づくきっかけになりました。
ーー現在の親子関係はいかがですか。心境の変化はありましたか?
現在は、年に1回、お正月に日帰りで実家に帰っています。私としては、今がベストな母との距離感です(母がどう思っているか、私にはわかりませんが)。会話も挨拶と、必要最低限のみです。イメージとしては「職場にいる自分とは合わない人」でしょうか。でも、別に喧嘩したり無視したり、そういった悪いこともありません。職場やクラスに自分に合う人も合わない人もいるように、家族であっても合う合わないはあります。大人と子供だったら話は別だけど、私と母はもう大人同士だし、これで良いんだと思っています。
ーー同じような環境で育った方からの共感の声も届いています。何かメッセージがあればお願いいたします。
ありがとうございます。この話を読んで少しでも心が揺れてくれたのなら、それはとても嬉しいです。
母親との関係に息苦しさを感じていたり、どうしていいのかわからない人に一度読んでみてほしい。本作は、
ピッコマ
で読むこともできる。
取材協力:グラハム子(@gura_hamuco)
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