「お母さん、助けて!」インスタで娘が“なりすまし”被害に!卑劣な犯行を繰り返す犯人を特定した方法とは【作者に聞く】
東京ウォーカー(全国版)
Instagram(
@masumayu3
)やブログ「
ますまゆまんが!
」で、自身やフォロワーの体験を元にしたフィクションや、完全創作漫画を発信しているますまゆさん。
過去には自身の詐欺被害をフィクション化した「産前産後100万円詐欺られました」、子供の親なら思わず共感してしまう「お宅のお子さんが車を傷つけました」などを投稿。今問題になっている、SNSアカウントのなりすましをテーマにした「娘がインスタなりすましされました。」は、フィクションにもかかわらずリアルな描写にドキリとしてしまう場面が多数あり、大きな反響を呼んだ。
中学2年生のウミは「連絡手段のLINE以外はSNSをやらない」ことをルールに携帯を持たせてもらっていた。親友や彼氏もできて、平凡ながらも楽しい毎日を過ごしていたのだが、Instagramに出現したウミの“なりすまし”によって、その日常は崩れ去っていく…。言ったはずのない言葉が真実かのように独り歩きし、親友とも彼氏とも疎遠になり孤立するウミ。「どうすればいいの…?」と泣きながら助けを求める娘にできることとは?SNSトラブルが急増する今、解決の糸口のヒントになるかもしれない作品だ。
現在は、完全創作となる「私達のモンスター先生」を連載中。ある女子中学校を舞台に描かれた、セクハラやパワハラなどの問題を繰り返す男性教諭・丹澤の話だ。女子校となると、若い男性教諭はモテはやされる傾向にあることは否めないのだが、それをいいことに丹澤はやりたい放題!大人しい性格の女子生徒・リコにちょっかいをかける。丹澤の一挙一動に振り回されるリコ…その健気すぎる姿から目が離せない!
今回は、作品を描くことになったきっかけやこだわりなどを聞いた。
――簡単に自己紹介をお願いいたします。
「30代2児の母、ますまゆと申します。フォロワーさんの体験をヒントにしたフィクション漫画や完全創作漫画を描いています」
――SNSで投稿をはじめられたきっかけ、その理由を教えていただけますか?
「2人目の子の産休に入ったときに、以前からやってみたかったSNS投稿を始めてみました。いつも通勤中にSNS漫画に癒やされていたので、同じようなものが描きたかったのですが…。如何せんお絵描きが何十年ぶりだったのでまともな絵が描けず、はじめは文字ベースの企画書みたいな形や、フリー素材を使った紙芝居みたいな形式で投稿していました(笑)。描いているうちにだんだん漫画っぽくなった感じなのですが、もともと画力があったわけではないので今でも絵は下手くそです」
――「娘がインスタなりすましされました。」を描こうと思われたきっかけや、執筆時にこだわったポイントを教えてください。
「この作品は、フォロワーさんにテーマを頂いたほぼ完全創作です。なりすましをされて泣き寝入りすることになってしまったフォロワーさんの無念を晴らすため、ドラマ性と同時にリアル感を意識してお話を組み立てました。
実際にどんななりすましがあるのか、ネットでいろんなケースを読んだり、警察や弁護士の対応、最新の法律ではどうなのか等をひと通り勉強したため、多分漫画を描いている時間よりも勉強時間の方が長かったような気がします(笑)。
そのうえで、単純に訴えて犯人を特定する以外の、意外性のある形で犯人を判明させるように演出したく、さまざまな方法を探りました。インスタの仕様を何度も見直し、ネットにも載っていない独自の『これだ!』という方法で犯人特定を描きました。そのシーンがやはり一番反響が大きかったです。
ほかに思い入れのあるシーンは、付き合っていた男の子のなりすましの誤解が解けたときに、主人公のウミちゃんが自分のことではなく相手がいかにつらかったかを慮るシーンです。実際の被害者の子がとても心優しかったことからインスピレーションをいただいて、このシーンが浮かんできました」
――いろいろな作品を執筆されていると思いますが、特に思い入れのある作品やシーンを教えてください。
「今連載中の『私達のモンスター先生』は、初めての完全創作作品として思い入れがあります。
昔読んでいた女学生と先生の恋物語って、当時は気づかなかったけど実は犯罪じゃない…?先生側に何らかの意図がないとキスとかその先は成り立たなくない…?じゃあ犯罪だったとして、それが純愛に変わるのはどのタイミングなんだろう?公になってしまったらどんな問題が起こるんだろう…?そんなところから着想しました。
中学生の女の子が若いイケメン先生から、今話題の“グルーミング”のような形で性加害を受けてしまうストーリーです。その中で、女の子からのガチ告白を受けたときに先生が本気になってしまうシーンがあるのですが、そのシーンは個人的に気に入っています。“女の子はおもちゃみたいなもの”とバカにしていたはずの先生の歯車はここから狂っていくので、ぜひ連載中のこちらもご覧いただければうれしいです」
――執筆される際、こだわっているポイントや込められている思いを教えてください。
「作品ごとに、はじめにテーマを設けるようにしています。『娘がインスタなりすましされました。』は“目の前の人を正しく信じる”、『私達のモンスター先生』は“好きってなあに?”と“洗脳”。描いているうちにぶれていってしまわないように、『この作品ではとにかくこれが伝えたい!』という軸を通すように意識しています。
あとは、私のお話は創作がメインなので、なるべくリアルさを追求しています。絵があまり得意ではないので、そのうえお話におかしなところがあると興ざめしてしまうのではと思い、小さな引っ掛かりがなるべくないようにと心がけています。
例えば、謝罪の場ではどういう言葉が使われるのかや、菓子折りを出すタイミング、夏休みの先生の一日のスケジュール、生徒宅への電話の掛け方、トラブル時の学校対応、不祥事をもみ消すときのよくあるやり方、などなど…(笑)。常に調べながら描いています。
ただ、最新作(「私達のモンスター先生」)はエピソード漫画ではなく半分少女漫画の要素も取り入れた創作なので、リアルさだけでなく漫画らしい展開も盛り込むことに挑戦しています!
ほかには、登場人物のなかでも悪役の気持ちを大切にしているのもこだわっているポイントです。悪役がいかに成長するか、というところから逆算して物語を組み立てたりしています。人間は誰も傷つけずに生きていくことはできないはずです。なので、主人公と悪役が傷つけあったとしても、最終的にお互いを高め合い成長できるということを物語の中で描けたらと思っています」
――記事を読む方に向けてメッセージをお願いします。
「読んでいただきありがとうございます。同世代の方から、最近は若い世代、特に中高生の学生さんにもたくさん読んでいただけているようでとても光栄に思っています。いろんな世代の方が読んでくださっているのもあり、インスタのコメント欄がたまに母娘討論のようになっていて、とても興味深く読ませていただいています…!描いた作品が、みなさんの日常のちょっとした楽しみになったら、とてもうれしいなと思います。ぜひ、気軽に読んでください!」
取材協力:ますまゆ(@masumayu3)
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