天才科学者を消すため過去へ!だが幼少期のライバルは“本当にアホ”で―!?SFギャグ短編に「まさかのオチ」と反響【作者に聞く】

念願のタイムマシンを完成させたとある科学者。しかし、世紀の発明はライバルに先を越されてしまっていた。科学者は「あいつを消す!」と過去を改変しようとするが……。

「あいつさえいなければ」科学者は幼少からのライバルを消し去ろうと過去にタイムトラベルするが…SFコメディ漫画に注目蟻沢粧(@arisawasyou)

蟻沢粧( @arisawasyou )さんの創作漫画「それなりの科学者が過去に戻って天才科学者を消そうとする話」は、過去の世界のライバルと、あの手この手で妨害する科学者を描いたコメディ作品だ。読者から「まさかのオチ」「結末が実によい」と反響が寄せられたように、ドタバタギャグの中にタイムトラベルものならではのストーリー性も見どころの同作は、「コロコロコミック」編集部主催の「曽山一寿賞」への応募作だったという。作者の蟻沢粧さんに、本作のアイデアや児童向け漫画賞への応募のきっかけなどをうかがった。

二番手科学者が天才を消すためタイムトラベル、けれどやることなすこと上手くいかず…

自力でタイムマシンを開発するほど優秀な科学者「其成秀(それなりしゅう)」は、作品が完成したにもかかわらず沈んでいた。子供時代からのライバルで天才科学者の「有園天才(ありえんあまとし)」が、今回も自分に先駆けタイムマシンを発表していたからだ。

「それなりの科学者が過去に戻って天才科学者を消そうとする話」(01)蟻沢粧(@arisawasyou)


「あいつがいる限り俺は世界一の科学者になれない…!」と考えた其成は、タイムマシンを使い20年前にタイムトラベル。小学校時代の有園に干渉し、科学者になる未来を消し去ろうとする。

「それなりの科学者が過去に戻って天才科学者を消そうとする話」(05)蟻沢粧(@arisawasyou)


無事過去に遡った其成だったが、子供の頃の有園は丈夫だけが取り柄であまり頭がよくない少年。「頭をよくする」という其成の罠にもすんなり引っかかってしまうが、どれだけ痛めつけても平気などころか、騙されていることにも気づかない始末だった。

「それなりの科学者が過去に戻って天才科学者を消そうとする話」(12)蟻沢粧(@arisawasyou)


「これからは自分の力で頑張ります」と前向きな彼を見て心が動いた其成。一度未来へ戻ろうとするが、手違いで自らの発明品が暴走してしまい……、というストーリーだ。

「子供の頃好きだった作品を読み返して」初挑戦した子供向け漫画

児童向け漫画の賞に応募した作品だけあり、わかりやすくテンポのいい笑いがちりばめられた同作。一方、“今の有園が存在するには其成の過去干渉が必要だった”というラストには、時間SFの王道ともいうべき物語性を感じさせる。

作者の蟻沢粧さんは、輪立さく「リプライズ 2周目のピアニスト」や酒井大輔「ゴリせん~パニックもので真っ先に死ぬタイプの体育教師~」の作画アシスタントのかたわら、オリジナルの作品も制作するクリエイター。子供向け作品は初の挑戦だったという蟻沢さんに詳しい話を聞いた。

――「それなりの科学者が過去に戻って天才科学者を消そうとする話」を描いたきっかけを教えてください。

「コロコロコミックの曽山一寿賞に応募するために制作しました。タイムスリップ・タイムリープものが好きなのと、ライバル同士の関係が好きなのでそれをアイデアに取り入れて描きました」

――曽山一寿賞を応募先に選んだのはどんな理由からだったのでしょうか?

「近年はホラー漫画など、基本的に中高生~大人に向けた作品を描いていました。今回、曽山一寿賞が開催されると知り、出せば曽山先生に読んでいただけるという部分に惹かれて初めて子供向けの作品に挑戦しました」

――ギャグと掛け合いのテンポに笑うとともに、時間遡行ものらしい結末に至る構成も巧みです。本作の演出や全体の構成で意識した点を教えてください。

「天才の殺害を目的として過去に遡ったのに、天才が科学者になるきっかけが実は其成だった、というオチを先に思いついていたので、そこに物語が向かうように構成しました。また『過去に戻ってライバルを消しに行く』という状況が結構ひどいので(笑)、いい話感を出して終わらせても許せる空気にしよう!と、全編通して暗い雰囲気にしないように気を付けました」

「それなりの科学者が過去に戻って天才科学者を消そうとする話」(20)蟻沢粧(@arisawasyou)


――「登場キャラは2キャラまで」という応募ルールがある中で、ニ人のキャラクターはどんな風に作りあげましたか?

「天才と其成、それぞれの役割を全うできるようにキャラを作っていったんですが、幼い天才は其成が毒気を抜かれるようなおバカないい子に。其成は悪い奴ではあるんですが主人公なので、どこか憎めないようにたまに間抜けだったりおバカなところを作るようにしました。未来の天才は、殺したいと思っている其成に共感してもらえるようにちょっとイヤなヤツにしました(笑)」

――確かに未来の天才はやや鼻持ちならないキャラです(笑)。過去と未来を描くことで、一人の人物にニつの顔を持たせているのもルールの中で上手な手法だと感じました。

「ニつの役割をもたせるのはまさに意識した部分なのでうれしいです!どうしても二人だけだとお話が進まない部分が出てきてしまったのでどうにか抜け道を探しました」

――子供向けは初挑戦ということでしたが、具体的な工夫や、これまでの作品と変わった点があれば教えてください。

「児童向けは初挑戦なので、コロコロコミックの作品をいくつか読んで研究しました。自分が子供の頃好きだった作品を読み返す作業はとても楽しかったです!また、今回仕事の都合で制作期間があまり取れなかったので、アシスタントさんに手伝ってもらう方法を模索したりしました。実際、本作のかわいいメイドロボさんは友人の作画によるものです」

「それなりの科学者が過去に戻って天才科学者を消そうとする話」(08)蟻沢粧(@arisawasyou)


――今後の漫画制作の目標や、描いてみたい題材などあれば教えてください。

「うれしいことに今回描いた作品をいろいろな方から褒めていただいたので、また児童向け漫画に挑戦してみたいです!今後もTwitterやpixivなどで作品発表していこうと思っているので、是非フォローお願いいたします!また、近々自作のKindleでの配信も考えています!よろしくお願いいたします!」

取材協力:蟻沢粧(@arisawasyou)

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