スマホでの悪質なカスハラでスタッフが体調不良に。「被害はないんだし…」という上司と温度差も【作者に聞く】
販売の仕事で体験した出来事や日常で感じたことなどを漫画に描き、TwitterやInstagramで発信しているタジマオオカさん(@pu92yu)さん。店舗で働いているとさまざまなお客様や場面に遭遇するという。なかでも、顧客の優位な立場から従業員に対して言い掛かりや理不尽なクレーム、侮辱などをする迷惑行為「カスタマーハラスメント」(以降カスハラ)について描いた漫画「かすはら物語」や「お客様に助けられた話」が大きな反響を呼んでいる。思わず「怖い」と身震いする場面も少なくなく、多くの共感の声が寄せられている。


ウォーカープラスでは「かすはら物語」をリメイクし、「お客様は神様ですか?」と題して連載をスタート。タジマさんが実際に体験したカスハラや、販売員に対するお客様からの無理なクレームや言動に悩み、対応を考え続けた日々についてお届け。
第2回となる今回は、タジマさんと一緒に働くスタッフがスマホによるハラスメントを受けたお話をインタビューを交えながら紹介する。
カスハラがショックで辞めてしまうスタッフも
――タジマさんは出勤状況に応じて各店を回っているとのことですが、固定の店舗で働くのと比べて、毎回違う店舗で働くことの難しさ、逆によい点などはありますか?
「状況に応じて8カ所ぐらいを回りつつ、臨時店舗の応援に行く…というパターンですが、いろんな場所へ行くので、いわゆる常連さんに出会えないのが寂しいところです。よい点は新規のお客様に接することが多くなるので、いつも新鮮な気持ちでいられます。新しいお客様に出会える機会が多いのは、やはり楽しいというか、私にとっては大きなメリットです」


――今回の漫画で急遽行くことになった店舗では、カスハラを受けたスタッフさんが泣きはらした様子でした。その後辞めてしまいますが、このようにカスハラが原因で辞める人は多いのでしょうか?
「接客を始めて日が浅い場合や、学生のアルバイトさんなどは、ショックでその日以降出勤できなくなる人はいます。仕事を続けるか少し悩んでいたけど、カスハラにあったことが決定打となって辞める人もいます」


威嚇してスマホを向ける客に恐怖
――辞めてしまったスタッフさんは、お客様にスマホのカメラを向けられたようですね。それを聞いたとき、タジマさんはどのような思いでしたか?また、そのようなカスハラを受けた場合はどのように対応すればよいと考えますか?
「ターミナル駅の店舗では多くのお客様がスマホを片手に歩いていて、少しこちらに向けるだけで写真が撮れます。なかには威嚇してスマホを向ける方もいらっしゃいます。撮影はご遠慮くださいとお声掛けしますが、『写真など撮っていない』と言われてしまえばそこまでです。その辺りの難しさもあって、ダイレクトにスマホを向けられるのは怖いことです」


一連の状況を報告すると、「でも被害はないんだし大丈夫ですよねー、そんなことよりも辞めちゃう子が多くて人手が減る方が大事件」と言う職場の上司。これに対してタジマさんの思いを聞くと、「言葉が悪くなってしまいますが、素直に『コノヤロー!』です。被害に遭ってからじゃ駄目でしょうと。確かに人が減るのは大変ですが、この上司の一言に、現場に出る人と出ない人の温度差を感じました」と話してくれた。


上司の言葉には、面倒なことには関わりたくないという世相をも感じてしまう…。
「お客様は神様ですか?」は隔週火曜17時に配信。第3回は8月29日(火)17時を予定している。